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青春は2人いるとうるさい  作者: 澄田 葵伊


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教室は2人いるとうるさい?

初めましてラブコメ書いていきます。初めてなのでなかなか変なところとかあるかもしれませんがよろしくおねがいします!


登場人物

田中悠斗(たなかゆうと)

佐藤ひかり(さとうひかり) 女

相沢翔(あいざわかける)

矢崎一(やざきはじめ)

私立大平大高校の第35期生の入学式ーー

俺は大きな期待を胸にこの入学式に挑んだ。中学ではいろいろとめんどいやつに付き合わなければならなかったから、高校こそは最高の青春を送ろうと心に誓っていたのだ。


「入学生代表の言葉」


そう呼ばれた少女は、大きな返事と共に立ち上がり舞台の上へと歩んでいく。その姿は誰もが目を取られる。そんな中もちろん俺もその光景に目を取られることはなかった。


「ふぁーー」


というあくびと共に俺は強烈な眠気に襲われていた。舞台の上では立派に準備してきた文章を読んでいる入学生代表。そんなことはお構いなしに眠い。ほんとに眠い。うとうとしていると後ろから肩を叩かれた。


「入学式で眠るんじゃねーぞっ」


この女が俺が中学時代の青春を送れなかった元凶。佐藤ひかりである。綺麗な瞳に、澄んだ色の髪その顔立ちは誰が見ても国宝級だ。だがしかし、俺はこの人間に対して全くと言っていいほど恋愛感情が湧いてこない。昔からの腐れ縁というやつのせいだろうか。


「入学式に後ろから話しかけてくるバカもいねーよ」


おかげさまで眠気が吹き飛んでしまった。


「また同じクラスになれたら笑えるねー」


「そんなん笑えねーよ」


そう言って入学式は終えた。


高校の入学式といっても知っている人がほとんどだ。俺らの中学から高校に行くとすればほとんどの人がこの高校を選択する。校舎も綺麗だし学科も豊富、数多くの部活が全国区。この上ない最高の進学先が地元にあったら誰でも入学する。

ガラガラガラという音と共に教室のドアを開ける。


「俺の名前はー」

「昨日のテレビ見たー?」

「朝さーうちの犬がー」


上記に書いたようなことのせいで高校の入学初日とは思えない会話の量が教室に響いている。35人中18人は同じ中学の知った仲だ。


「あっ、悠斗じゃん!おんなじクラスー」


話していた友達ガン無視で俺のところに駆け込んでくる。ひかりだ。


「お前、入学初日にこんなに騒ぐなよ。耳がぶっ壊れる」


「はぁ?悠斗の耳とか知ったことじゃねー。こーわーれろっ!」


そう言って俺とひかりの会話が教室に響く。違う中学出身の人たちは少し不思議がっていた


「あんたたちほんとうるさいわー。高校でもこの調子って」


やれやれというふうにこちらにきたのは相沢翔。ひかりの友達で、幼稚園からの仲だ。


「ごめーん、かけっちー悠斗が生意気言うからさー」


「まったく、ほらそろそろ先生くるよ」


翔が俺たちを机に座らせようとする。その姿を見て周りのみんなも会話をやめ次々と席に座りだす。


「全く懲りないよなお前らは」


そう言ったのは俺の前の席に座っていた矢崎一。いちばん親しい仲なのは誰かと聞かれたら、真っ先に彼の名前が出てくる。


「お前らもしや付き合ってたり?」


「んなことはねーよ。あいつと付き合うとか天地がひっくり返ってもないね」


ほんとかー?という表情と共に一はひかりのほうを見た。それと同時に俺もその方を向いた。ひかりは周りの席の友達と話していたがこっちに気づいて満面の笑みで手を振ってくる。


「あれを恋愛対象に見れないお前は異常だぜ」


「じゃあ俺は異常なのかもな。あれを恋愛対象としてみる感覚がわからない。なんでそんな目で見れないのか、それは慣れなのか、腐れ縁だからなのか。そういう一はどうなんだ?」


「おれはまぁ、人を好きになるっていう感情をもう感じなくなっちまってるからな」


そんな話をしていたらガラガラと音を立てて先生らしき人が教室に入ってきた。


「皆さん席についてますかね。いない人いたら手をあげてください。」


みんなの緊張をとこうとしたのか、笑いを取ろうとしたのかわからないが、おかげさまで教室が静まり返ってしまった。しかし静かにできない人が1人


「せんせー、いなかったら手あげられませんよ。」


ひかりだ。彼女は至って真面目に自分の疑問を投げかけてしまった。先生が頑張って導き出したであろう渾身の冗談を叩き潰したのだ。そんな状況にさらに油が3滴ほど、


「もう、ひかり、先生はギャグをいったんだよ。それを真面目に捉えちゃダメよー」


今度は翔だ。


「そうなんだー。ごめんなさいせんせー」


ひかりは手を合わせて先生にごめんという表情をとる。その表情はどんな生命体でも心臓が壊れるほど美しかった。


「いや全然だいじょうぶだよ」


さすがの先生でさえその表情を見たら優しくならずにはいられなかった。


「魔性の笑みってやつだな」


「無駄にな」


俺と一がそんな会話をしていたのが聞こえたらしい


「あー!悠斗、なんか私の悪口言ったでしょー」


ひかりはだいぶ耳がいいらしい。


「お前が空気読まないのが悪いだろ」


「あー!私のこと悪く言った!バチあたれー」


俺たちの会話に先生が何か言いたげだが自分から始まった話題だからなのかなかなか声をかけづらそうにしている。


「お前らうるさいのも大概にしろよー先生が困ってるじゃねーか」


教室中に笑いが起こる。これがいいのか悪いのか先生が満足そうにしている。それはそれで良かったのかもしれない。


2人がいたら教室がうるさくなるのかもしれない




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