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「な・に・が! 殺道部だああ!」


 怒り心頭であった。


 僕は昨日から今日の朝方までずっと酒を浴びるように飲まされたり、あの悪魔から一発芸を強いられてそれが面白くないと、ポテトチップスを耳から食えなどと理不尽な拷問をずっとさせられた。


 朝の四時になってやっと悪魔が眠ってくれたので、僕は逃げるように帰宅して倒れるように眠った。


 そしていま、まだ気だるい体に鞭を打ちながら登校しているわけだ。

 今朝、鏡に映った自分の額に刻まれた悪魔の印(根性焼き)を見て僕は絶望する。


 華々しい高校生活の初日からえらい目にあった。僕は今日、学校にあの悪魔の所業を訴える。


 校長に直談判(じかだんぱん)し、あいつを女子少年院にぶち込むのだ。


「あの女……! 絶対に許さん……!」


 面と向かって言えないのがなんと情けなく僕の弱いところだが、あんな野蛮な奴とそもそも対話なんてできないんだ。


 僕は握りこぶしを震わせて、決意を固めた。

 学校に着くや否や、僕はまっすぐに校長室の扉を叩いた。


「失礼します! 一年の千野です! 校長先生にお話がありうかが──」


 扉を開けた先にいた校長先生が僕の瞳に映る。

 ハゲ頭に口ひげを生やした校長先生は──なぜかパンツ一丁で十字架に(はりつけ)にされていた。


「校長⁉」


「おっリキューじゃねえか。お前もこのハゲに焼き入れに来たのか?」


 悪魔いるやん、茶々先輩は磔の校長を足元から火あぶりにしている。中世ヨーロッパの魔女狩りかな?


「いったいなにが……」


「このハゲよお、殺道部のみかじめ料をしぶってきやがったんだ。誰のおかげで校長やれてると思ってんだ? ああ?」


 先輩は竹刀で校長をバシバシと叩く、しかもかなり容赦ない。


「せ、先輩! さすがにやばいですよ!」

「と、止めるな……少年……」

「校長⁉」


 校長はボロボロの身体で僕に言ってくる。

 それは暴力には決して屈しないという意志の強さなのか、僕はその校長の姿に漢を見た。


「君が止めたら……茶々君が──殴ってくれないだろ‼」


 変態だった、ただの変態。くそハゲ、感動を返せ。


「おらあ! ハゲ! 金よこせえ!」

「もっとおお! もっと打ってくださいいいいい!」


 僕はそっと校長室から出る。

 ここの高校はダメだ、トップが腐ってやがる。ため息をつきながらひとまず自分の教室へと行った。


 僕のクラスは一年二組、三階の真ん中にある教室だ。心の安寧を取り戻すために今度は担任に相談しよう、そうしよう。


 僕が教室に入ると、みんなそれぞれのグループがすでに出来上がっていて楽しそうにお喋りをしている。


 ふっ、別にいいさ……これから僕もどこかイケてる輪の中に入り、そして楽しく学校生活をエンジョイするんだ。

 そして茶道部で実績を上げてかわいい彼女なんかも……。


「朝のホームルーム始めるぞー」


 他愛なき妄想をしていると、先生が入って来た。


「あっ先生! 少しお話が──」

「ん? おい千野、お前はこの教室じゃないぞ」


 先生はおかしなことを言いだした。


「へ? だってここ一年二組じゃ……」


「千野、お前は〝一年五組〟だ。今朝変わったんだ。連絡がいってないのか?」


 なんだそれは、初耳だ、というかまて、変わったってなんだ。


「それはどういう……」


「お前はあれだ、あの部活に入ったということで五組に飛ばさ──変わったんだ。五組は四階だ。まあ、なんだ、達者でな……」


「え」


 つっこみ所がありすぎてまいった。

 まず一年のクラスは四組までしか無いこと、そして五組とやらがあるのは四階らしいが、あそこはたしか移動教室や物置しか無いはずだ。


 それに先生の言葉、まるでその五組が波乱に渦巻くような所みたいな発言に聞こえたのだが。


「キャンセルしてもいいっすか?」

「GO TO HELL だ」


 死刑宣告されたわ、神も慈悲もねえな。



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