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お返し待ってます

作者: なたでここ

「空くん!ハッピーバレンタイン!これ一番きれいにできたとこなんだよ!他の所は失敗しちゃったけど…次渡すときは絶対もっと上手くなってるから!」

そう言って彼女は、絆創膏だらけの二本の手には不釣り合いなほど綺麗なフロランタンを僕にくれた。

それはとても固かったけど、それ以上に優しい味がしたまるで初恋のあの彼女のようだったそれがまだ僕の心に染みた次はもうないのに…。



懐かしい夢をみたな、そう思いながら目が覚めた。

昨日日曜日だったので夜更かししていたからか時計をみると遅刻寸前だった。

俺は慌てて昨日買っておいたパンを食べながら家を飛び出した。

「よぉ空今日は機嫌よさそうだな」

「あぁ山田か、別にいつもと変わらないぞ」

山田は中学から一緒の俺の数少ない友達の一人である

「今日転校生来るらしいぜ!しかもめっちゃ美人らしい」

「そうなのか」

「おいおいつれないなぁ転校生だぞ?!

この時期に転校生とか絶好のシュチュエーションだろ!?」

「ただの転校生だろ?何をそんなにはしゃぐ必要があるんだ」

「まさかお前まだ初恋の女の子のこと追いかけてるのか?かぁ〜そんなのもう一生あわないだろ」

「別にそんなこと言ってないだろ」

そんなことをいいながら席に着くと、前の席の関口香苗が金髪のポニーテールを揺らしながら話しかけてきた。「ねぇ今日の転校生どんなだと思う?」

彼女関口香苗は、このクラスでもトップの中に入る美少女なのだか一見怖そうな一匹狼ギャルなのでクラスの人に怖がられているがなぜか入学当初からよく俺に話しかけてくるのだ。

「山田が美人らしいと言っていたがよくわからん」

「もしかしたら私にしゃべりかけてくれたりしないかな?そしたらもっと友達もできるようになるかな?」

そう、実は関口は一見怖そうなだけで別に怖くはないただの人見知りなのだ。

そうやって軽口を叩きながら、俺は朝の夢について思い出していた。そうあのバレンタインの日、親の都合で次の日に引っ越すことになっていた。そしてあの日に俺は彼女に告白して連絡先を交換するつもりだった。しかしただ勇気がでなかった、今ならそんなとこで意気地なしを出すなと怒鳴ってやりたいところだかもう後の祭り、俺は高校生になってまで初恋を拗らせつづけ今では彼女のこと思い出そうと毎週末にフロンランタンを作るモンスターになったのだ。おかげでフロランタンだけは得意になってしまったぐらいだ。

転校生を紹介するぞ〜

そうやって担任が教室に入ってきた

「始めまして、埼玉県から来ました! 北見弥衣です!よろしくお願いします!」

じゃあ北見関口の隣の席が空いているからそこに座れ

「はい!」

「関口さん!これからよろしくね!」

「もちろん!」

関口が北見に懐いた。ちょっとちょろすぎだろと思った。

お昼休みになり、あいも変わらず山田とご飯を食べようとしていると山田が急に転校生とお近づきになりたいと言い出した。

「あんな美少女めったにいないぞ!!」

「わかった、わかった」

そう言っていると、関口が声を掛けてきた、

「今から北見さんとご飯食べるんだけど、北見さん来たばっかりだから色んな人と食べたほうがいいかなって思って一緒に食べない?」

「もちろん!!!」

山田がとても大きい声で言ったので頭をはたいておいた。

「ねぇねぇ北見さんはさ好きなものある?」山田がグイグイ行っている。

「そうですね、甘いものとか好きですねスイーツとか果物とか」

「ほんと!じゃあ私お菓子よく作るからあげるね!」

「やった〜!ありがとうすごく嬉しい!」

「じゃあさじゃあさ北見さんこのクラスで気になる人とかいない?」

「おい失礼だぞ」

「いいじゃんいいじゃんね北見さん」

「アハハハ」

「おい困ってるじゃねぇか」

「はぁじゃあ関口さんは?」

「え私?!私はそのぉ小さい頃からの初恋が…

いややっぱ今のナシナシナシ!!」

「え空と同じじゃん!こいつも初恋引きずってるぞ」

「え空くんも?!」

「おい山田!」

そうやって会話していると昼休みが終わり授業が始まった。

掃除の時間になり

「はぁめんどくせぇ〜掃除とかだるすぎるだろ俺トイレ言ってくるわ」

「はぁ?」

俺は優しいのでそういったサボりも見逃しつつダラダラやっているとパスケースのようなものが落ちていた。

「一体誰のだよ」

そう言いながら中を見ると関口の生徒手帳が入っていた。

危ないなぁと思っていると中から一枚の写真が出て来た。

そこには小さい頃の俺と初恋の彼女かおりちゃんがいた。「なんでこれを関口が」

この写真は俺も持っていてあの悲しみのバレンタインのときとうとう言い出せなかった俺が泣きながら彼女に写真を一緒に撮ってくれっと言って撮ってもらった1枚だ。

なんでそう思う反面実はなんとなくそうだと思っていた自分がいた。入学したころからずっとにているなとか、こんな感じだったななどとずっと思っていた。が確証がなかった。名前が違ってていたし、彼女はおとなしい感じの子だったので気のせいだろうと思っていた。

「空くん」そう言いながら関口が教室に入ってきた。

「それ私のパスケース、拾ってくれたの?」

「あ、あぁ」

「ありがとう!」

「あのさ関口そのパスケースに入ってる写真って」

「あこれ?これはね私の初恋の人が引っ越す前に泣きながら私と写真が撮りたいっていうから、お父さんに撮ってもらったものなんだ」

「その初恋のやつってどんな感じだったんだ?」

「うーんそうだねぇすっごく優しくて私の話を親身になって聞いてくれる人だったかなぁ私お菓子作るの上手くなるって約束したからずっと練習してたんだ」

「そう、なのかその人のことって今も」

「大好きだよ!!

「私ずっと待ってるんだお返し」そう言いながら関口は俺の方にぱっと振り向いた。

「そうか」

そう言いながら俺は顔を背けた、絶対真っ赤になっいると思ったから。

「きっと返ってくるよ」

俺はそう言った。



それから俺は帰ってから即刻フロランタンを作り今までで最高のできになった。次の日学校に朝早くに行き準備をしたがここで俺は意気地なしを発揮してしまい関口が帰るギリギリまで冷や汗をかきながらじっとしていたが山口や北見さんにせっつかれ何とかお返しと告白を成功させ。無事付き合うことになった。

おとなになり結婚した今でもバレンタインにフロランタンを送り合っている。























なぜ空が、かおりちゃんと呼んでいたかというと、幼い頃から周りの人が香苗の香をあだ名として呼んでいたからです。幼い頃の記憶はそんなものです。そうしておいて下さい。

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