表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/26

15.人タラシ


絶滅した植物が4つ復活し、そのうち2つが芽吹き、害虫は3つの地域からいなくなり、害獣は1種が姿を見せなくなった。


私はサイモン様から、要約すると『いいぞ、もっとやれ』といったお褒めの言葉をいただき、ネスの町には恩賞として新しい馬車が、馬付きで3台支給された。


ネスの町では、私は適当な格好で家事をしていたので、“ティナ”の存在感はそれほどなかった。

だから酒場でキラキラを振りまいていた“ティム”の方が多少有名ではあっただろうが、それでも知るものは少ないだろう。

おそらく殆どの町人が『ティム?誰?まあ恩恵あるからいいか』と思っているに違いない。

ジョーイとクレマー夫妻だけはもしかすると、戦々恐々としている可能性はあった。



「あーもう、ティムかわいいなー」


テラスでお茶を飲みながらサラが言った。

最近のサラはこれが口癖になっている。

何故だろう、私はすこぶる男らしいはずなのに。


「男にかわいいはないでしょ?」


少し頬を膨らませて見せると「それぇ!」とサラが悶えた。


「顔立ちは確かにカッコいい系だけど。敬語抜けたティムったらもう!

語尾とかさ、こうちょっとした仕草とかが可愛いわけよ!ね、ニオもわかるよね?」


急に話を振られたせいか、ニオはビクッと肩を震わせた。

「え?いや……、男同士だし」


「男同士でもさ、きっとトマとかもわかってくれると思うんだよねー」


頬杖をつきながらサラはうっとりと私を見る。


「へ?トマさん?なんで??」

「だってさ、前に誑かしてるの見たもん!この人タラシぃ!」

「誑かしてないけど。ちなみに、いつ?」

「花が初めて咲いた日」


ああ、アレね。と思い返す。


「褒めてくれたから、褒め返したら照れちゃっただけだよ!なに人タラシって。人聞きの悪い」

「私もタラされたもん。今度トマに会ったら聞いてみよっと」


その時ガタン、と音を立ててニオが立ち上がった。

「仕事やり残してたから行ってくる」

と言ったかと思うと、足早に去って行く。


何となく、以前と同じ不機嫌を感じ取り、

「あ、サラ!オレも行って来ていい?」

「うん。行ってらっしゃ〜い」


ひらひらと手を振るサラにお礼を言って、私はニオを追いかけた。


ちなみにこの時のお茶会でも、花が一輪咲いたという。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ