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歴史に関連する作品

世界史における大量殺戮者トップスリー

作者: 恵美乃海

(以下は、産経新聞 斎藤勉氏著「スターリン秘録」を読んだ感想として、5年前にフェイスブックにアップした文章です)


 その人物の権力、影響により犠牲者となった人物の数。トップスリーは、いずれも19世紀末期に生まれ、20世紀に政治的活動を行った人物である。20世紀は世界史的にみれば、戦争の時代であり、異常で狂的な思想を、現実の世界で実験の場とした大量殺戮者を生んだ時代でもある。

 大量殺戮者第三位はヒトラー、1100万人。


 第二位はスターリン、2000万人。

 このような人物が何故三十年間もトップの座に君臨し、人々はそれに従ったのか。

 想像を絶するような暴力と、抵抗者に対する人格破壊的な蛮行。恐怖による統治。

 誰もが平等で、労働それ自体が喜びとなる共産主義。それを目指したはずのロシア革命。

 さらに遡れば、特権階級を打破し、自由、平等、博愛(は誤訳だそうだ。全人類に対する愛ではなく、友愛、あるいは同志愛と訳されるのが正しいようだ。つまり自分の味方に対する愛で、敵はその対象ではない、ということであろう。)の旗印の元に行われたフランス革命。

 だが美しき言葉の元に行われた革命が生んだものは、スターリンによる、ジャコバン、ロベスピエールによる、人々を反革命の名の元に、簡単に死に至らしめる恐怖政治だった。

 ロシア革命だけでなく、フランス革命は、世界史において、負の遺産として断罪されなければならないと思う。

 食、日々の生活の安全、言論の自由。政治の要諦は、この三つを守ること。

 そして権力は分立され、独裁者の存在を認めないこと。

 普通の人々が主役となり、より多くの人が幸福になることができる社会は、どのような政治構造と、その時代に生きる人々の意識により実現させることができるのか。それが、歴史が、今、生きている人々に突きつけている不断の問いであると思う。



(以下は、ユン・チアン氏、ジョン・ハリディ氏共著「マオ」(注 マオは毛沢東の「毛」の中国語読み)を読んだ感想として5年前にフェイスブックにアップした文章です)


 著者は、文化大革命の時期に、紅衛兵となった経験を持ち、時代にもてあそばれた自らの体験を描き、世界的ベストセラーとなった「ワイルド・スワン」を著したユン・チアン氏とその夫君で歴史学者のジョン・ハリディ氏。


 毛沢東。自ら計画した大躍進政策の失敗で、中国全土で数千万人単位の餓死者をもたらし、そのことにより、一旦は、実権を失おうとしていたが、文化大革命の発動により、神格化された独裁者となる。その文革は、三角帽、自己批判の強要など、残虐極まりない憎悪に満ちた社会をもたらし、やはり千万人単位の人が犠牲となった。

 彼により、犠牲となった人は6000万人(この著書では7000万人以上としている)。

 史上最大の大量殺戮者。

 暴力を好み、執拗な加虐嗜好者。

 井岡山、長征といった、中国共産党創成期の神話的伝説の、その実態がどのようなものだったか、この著作は余すところなく描く。

 実はこの図書。私は、現時点で上巻を五分の三程度読んだところである。

 が、毛沢東関連の本は、これまでにも「ワイルド・スワン」も含めて、何冊も読んでいる。

 初めて読んだのは、中学生の時だったと思うが、毛沢東と文革を礼賛した西園寺一晃氏のベストセラー「青春の北京」だったのは、今、思えば、皮肉な話だ。

 当時は私も、中国の人たちは、世俗的な欲望には無縁で、お化粧とか自らを飾るような浮薄な精神とも無縁で、ひたすらな革命精神に燃える高潔な人たちなのだ、と畏敬の念を持って眺めていたと思う。当時の自分の、思考の単純さ、粗雑さも腹立たしい。

 三大大量殺戮者の掉尾として、改めて別の毛沢東の評伝を読んでみるか、と思ったわけだが、かくも巨大な悪と向き合い、読み進めていくのには多大な精神的エネルギーを要する。取り敢えず、途中で投げ出します(注 その後、結局読了しました)。

 この図書、中国の人にこそ、読んでもらいたいと思いますが、まことに残念ながら、今の中国で、この本が普通に読まれるというのは、あり得ないことであろう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 仮にそういったお話が好きなのであれば、 コロンブスとか マゼランとか 欧米の植民地支配とか も調べてみると良いかもしれません。
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