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メタキャラ日記  作者: おうないがー!
2/2

キャラの名前を探し出せ!

 さぁて……。このオトコの娘、名前は一体なんだろうか?あの作者は、結構分かりやすい名前を付ける傾向がある。俺のことも、メタくんとかつける始末だしな……。


「……オトコ・ノコ君。君の趣味って何かな?」

「……誰?それ……」

「…………」


 ですよね!そんなわけないよね!!さすがのあの作者もここまで変な名前は付けないし、俺だって成神とかいう普通にいい名前だった。今回はコメディだけじゃない、リアル路線でもあるという事だろうか?


 というか、名前間違ったんだから「僕だよ!ボク!〇〇だよ!」とかいう展開を待ち望んでもいいんじゃないの?全然そんなことないんだけど……。


「……えぇっと、そうだな。すまんが、さっきまで脳死状態で、今どういう状況なのか教えてくれないか?なんでみんないないんだ?」


 下手に誰もいないことに理由付けしてしまうのはいけないことだが、こうしていても何も始まらないしな……。


「何言ってるの?みんなそこらへんにいるじゃん」

「え?いやいや……」


 俺が首を振り否定しようとした刹那。周囲には一瞬にしてざわめきが広がり、一気に華やいだ青春の一ページに大変貌した。


 ……いつもだったら、こんな風に物語を進行させてしまうと、作者にめっちゃ怒られるが、怒られないという事は、主人公である俺にも物語を構成する権限が与えられているという事だ。俺の動きが、そのまま作者の想像になる。そう言う事だ。なら、わざわざ名前を聞くために、策を弄する必要などないか……?否。ダメだろ。仮にもラブコメ主人公。友達の名前を忘れるなんて……。


 そうだよ。上履きがあったじゃん!こんな簡単なことに……。ってあれ?上履き……どころか、靴下も履いていない?他の有象無象は履いているよな?なんで?


「何で、靴下とか、上履き履いてないの?」

「え?だって僕、上履きと靴下アレルギーだよ?」


 いらねぇ設定つけてんじゃねぇよ!!なんだよ!?上履き、靴下アレルギーって!?実在すんの!?するんだったら現実世界の可能性に脱帽しちまうわ!


「……今日、なんかおかしいね。成神君」

「え?え?そう?いつもの俺ってどんな感じだっけ?あははは……」

「いつもはなんかこう……、泥みたいと言うか、ダリの時計みたいと言うか、人生諦めてるというか……、とにかく人間として終わってるのに、今日はなんだか……」


 すっげぇ言われよう……。作者はこんな主人公にしてどんな物語にしたいの?もしかして俺のラブコメ推理は間違いだった?


 だ、だが、俺とていろんな人間になってきた。人間として終わってる人間だって、数ある中で何度かやらされてきたんだ!いける!頑張れ俺!!


「……ま、まぁな、ちょっと、脳が一時的にドーパミンを発してたんだよ」

「そっか!」

「……それで、今何の時間なんだ?時計見た感じだと、授業中でもおかしくない時間なんだが……」

「う、うん。授業中だよ?」

「え?」という間に、場面は切り替わって俺たちはペアワークをしている場面になった。やばい。色々ガタガタな物語だな……。大丈夫か?


 ……ま、いっつも売れない作品ばっか書いてるし、そんなもんか!!気にするだけ無駄無駄。作品の心配をするより、自分の心配だ。


「あ、あ、そうか。そうだよな……」

「……どうしたの?なんか、やっぱり変だよ?隠し事してる?」


 そう言われた途端、俺の心臓がズキッと何かに殴られ突き刺されたような痛みが走った。これは恐らく警告だ。以前にもあった。俺が誤って物語を進行してしまった時に、作者にぶちぎれられたときだ……。


 なるほど、隠し事はメタキャラの性分。いつだって俺は隠し事をして、先を見据えて行動する。だが、今の俺は主人公。妙な隠し事や、それを思わせるそぶりなんてものは、下手したらメタキャラのそれに抵触しかねないという事だ。


「……あぁ、実は隠し事をしているんだ」


 だが、隠し事はあくまで隠し続けるから含みを帯びるのであって、それを打ち明けてしまえば、それはネタにも伏線にもなるわけだ!


「え!?何?なにを隠してるの?」

「それはだな……」


 やっべぇ……、自分のキャラをろくに掴んでいないこと忘れてた。なんか人間として終わってるやつの隠し事っぽいの……、いや、或いはラブコメという予想を貫いて、ギャップ萌えなんて物を狙ってみるのもありか?


「……最近、恋愛をしたいと考えだしてな。キャラ変を試してみようって……。でもこれってほら、公にするべきじゃないじゃん?だから一応隠れ隠れやってたんだけど、どうかな?」

「…………」


 この子はぽかんと口を開け、小首を傾げた。しばらくう~んと、唸ったあと、パッと笑みを浮かべて、「いいんじゃない?」と言ってくれた。


 あ、この子ホントにいい子……。この子と友達とか、主人公最高じゃん!


 だが、依然としてこの子の名前を聞き出せていない。しかし、問題はなさそうだ。時期に先生があててくれる。


「―――それじゃあ、戌神、成神ペア。発表よろしく」


 戌神……、戌神……。俺は胸の内で何度かその苗字?を反芻し、しっかりと記憶の奥にしたためた。

寝れない!!

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