空想の扉
心は遊ぶ。
心の翼を広げてどこへだってゆける。
豊かな想像力が溢れ出し、空想の扉の向こうには無限回廊が続く。
それは決して当たり前のことではない。
時に、厳しい現実や毎日の些事に埋もれてゆくこともある。
年齢には関係なく、いつまでも持ち続けていられる人もいる。
私は小説を書いていたが、ある日、書けなくなった。現実に立ち向かうのに精一杯で、心に余剰がなくなった。
昔読んでいた本を取り出し、ページをめくると、以前とは違う視点でしか読めなくなっていた。
探せ!探せ!探せ!
なくしたものを取り戻せ!
鏡の中から年を重ねた自分がこっちを見ているけれど、見てみろよ!目、だけは変わらずあのときのままじゃないか!
目は心の窓っていうけれど、まだ、この目が活き活きしているうちはきっと大丈夫だよ。
赤いレンゲソウ、黄色い菜の花、青いスミレソウ、桃色スイートピー。
呪文のように口ずさむ。
これは現実という世界を相手取った冒険物語。
一人の少女が時間という有限のものに立ち向かうお話。
さあ、扉を開けて空想の世界へ行こう!