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友達以上

女騎士「外、どうなってる?」


勇者「うーん。ますます強くなってるな」


女騎士「閉じ込められちゃったね」


勇者「そうだな……」


女騎士「このまま吹雪が止まなかったら、私たち、どうなっちゃうのかな……」


勇者「弱気になるなよ。きっと大丈夫だ」


女騎士「そうよね。見当違いな予報をした気象庁が悪いんだもんね。訴えたら勝てるよね」


勇者「強気に出ろってわけじゃねえよ」


女騎士「でもこのままじゃ凍え死んじゃうよ。温めてよ勇者」


勇者「抱きしめろってことか?」


女騎士「燃え盛れって言ってんのよ」


勇者「俺そんな熱い男じゃないんだわ」


女騎士「ていうか……眠いかも…………」


勇者「おい!起きろ!寝たら死ぬぞ」


女騎士「勇者ごめんね……私……もう…………」


勇者「女騎士……女騎士いいいいい…………起きろてめええええ!!!」ボコー


女騎士「痛ったああ!!!ちょっとあんた何普通にグーでぶん殴ってんのよ信じらんない!」


勇者「ハァ……ハァ……お前……今、死のうとしただろ……」


女騎士「…………ごめんなさい。耐えられなくて」


勇者「もっと正確に言うと、先に死んで吹雪が止んだら生き残った俺に下まで運んでもらって麓の教会で蘇生してもらおうとしただろてめえ」


女騎士「…………チッ」


勇者「先に死んだもん勝ちだもんなこの状況。お前の考えそうなことくらいお見通しなんだよ」


女騎士「あーもうじゃあどうすんのよ。眠いし寒いしやってらんないわよ」


勇者「とりあえず眠らないように喋ってるしかないだろ」


女騎士「じゃあ勇者、なんか爆笑おもしろトークしてよ」


勇者「フリが雑すぎるわ」


女騎士「勇者なら爆笑トークの一つや二つ持ってないと魔王に勝てないよ」


勇者「そんな呑みの場で魔王と勝負しないだろ俺」


女騎士「自虐ネタで上司に気に入られた魔王に出世の先越されちゃうよ」


勇者「魔王と勇者の上にいる上司何者だよ」


女騎士「というわけでいい漫談が仕上がったら起こして」


勇者「寝させねーよ」ガシッ


女騎士「……クッソ」


勇者「隙あらば寝ようとしやがって」


女騎士「もー勇者ったら今夜は全然寝かせてくれないんだから」


勇者「お前がそういうこと言うと語弊があるからやめろ」


女騎士「ふふふ、なに照れてんのよ。いい歳こいてみっともない。生きてて恥ずかしくないの?」


勇者「なんで途中からものすごい罵倒に変わったの今」


女騎士「ていうか、お腹空かない?」


勇者「言われてみれば」グー


女騎士「でしょ?なんか食べ物ないかな」ギュルギュルギュルギュル


勇者「お前それ腹下してないか。大丈夫か」


女騎士「雪あるし、かき氷でも食べる?」


勇者「多分致命傷になるぞ。いろんな意味で」


女騎士「じゃあどうする?共食い?」


勇者「最後の手段にも程があるだろ」


女騎士「でも私……勇者になら食べられちゃっても……いいよ?」


勇者「えっ」


女騎士「ふふふ、なにドキドキしてんのよ。痛風まっしぐらのくせに」


勇者「どんな罵倒だよそれ」


女騎士「はぁ……眠いけど寝れないしお腹空いたのに食べる物ないし勇者いるし寒いし地獄じゃん……」


勇者「俺、地獄の構成要素に含まれてるんだ」


女騎士「勇者さ、なんか魔法とかないの?床暖房魔法とか唐揚げ食べ放題魔法とか」


勇者「そんな生活に根ざした魔法はねえよ」


女騎士「ったく、使えないわねえ。かわいい顔して」


勇者「なんで急に褒められたの今」


女騎士「なんだか……私、本当に眠くなってきちゃった。肩にもたれてもいい?」


勇者「おい、起きろって。お前背負って運ぶの本当に大変なんだから」


女騎士「私が死んじゃったら置いてってもいいよ」


勇者「そんなわけにもいかねえだろ」


女騎士「ふふふ。やっぱり優しいね勇者は」


勇者「やめろよ」


女騎士「薄毛のくせに」


勇者「やめろよマジでぶん殴るぞ」


女騎士「ねえ勇者、もし無事に雪山を降りられたらさ…………」


勇者「なんだよ」


女騎士「…………ううん。なんでもない」


勇者「…………」


女騎士「…………」スー


勇者「…………女騎士……」


女騎士「…………」


勇者「……屁こいただろ」


女騎士「…………ごめんw」


勇者「おっ前マジふざけんなよおおおお!!この密室のかまくらで何やってくれてんだよおおおお!うおおおおくせえええええ!!」


女騎士「大丈夫!ちゃんとすかしたから!!」


勇者「余計くさいんだよ!やっぱお前腹壊してんだろ絶対これ!昨日何食ったんだよ!」


女騎士「昨日は……キムチとビールと伝説のすた丼と……」


勇者「お前は痔まっしぐらだな」


女騎士「うるさい!食らえ!ヒップクライシス(痔になれ)!」


勇者「バカやめろ!お前なんでそんな訳のわかんねえ魔法持ってんだよ!使い道どこだよそれ!」


女騎士「ヒップクライシス(痔になれ)ヒップクライシスW(共に痔になれ)!」


勇者「既になってんのかお前」


女騎士「ハァ……ハァ……まさか、こんなところで対魔王用のとっておきの魔法を使うことになるとはね」


勇者「魔王にそんな魔法かけてやるなよ」


女騎士「あ、目眩が……」クラッ


勇者「危ないっ!」バッ


女騎士「ありがと勇者……」


勇者「お前、騎士のくせに無理して魔法なんか使うから……」


女騎士「ごめん……でも、勇者なら支えてくれるって信じてたから」


勇者「何言ってんだよ」


女騎士「勇者の腕の中……温かいな……もしかして恋の炎が燃え盛ってる……?」


勇者「バカなこと言ってんじゃねえよ」


女騎士「えへへ、ときめいた……?」


勇者「どうしたんだよ!罵倒しろよ!いつもみたいに、憎まれ口叩いてくれよ」


女騎士「ねえ勇者……さっきの話の続きだけど……」


勇者「おい!もうしゃべるな!」


女騎士「もしも無事に山を降りられたらさ……その時は…………」


勇者「…………」


女騎士「…………蘇生は任せた!」カクンッ


勇者「女騎士いいいいい…………!!!!」



勇者「どさくさに紛れて先に死なれたあああああああぁぁ」



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