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魔王討伐の旅に出ていた俺達は、旅の途中このハウンド王国に寄ることにした。
勇者「ここが世界に名声轟くハウンド王国か。なんて立派な国なんだ」
魔女「見て勇者。こんなに人が多くて賑やかなのにゴミひとつ落ちてないわ」
勇者「本当だ。隅々まで掃除が行き届いているんだな」
魔女「空気も綺麗だし、本当にいいところね」
勇者「ああ、この城下町も活気に溢れているし……きっとこれは国政がしっかりしているんだろう」
魔女「こんな国を治めている王様はさぞ素敵なんでしょうね」
勇者「そろそろ今日の宿を決めないとな……ここは観光客も多いから宿屋も多くて迷ってしまうな……」
魔女「ねえ、ここにしましょうよ!とっても綺麗よ!」
勇者「おいおい俺達は旅人だぜ?こんな立派で素敵なホテルに泊まるお金は………」
魔女「見て!一泊二食付き2000Gですって!」
勇者「え!?本当かい!?なんて安いんだ!それなら旅人でも心配せずに泊まれるな!」
魔女「でも見て!あのホテルも、あのホテルも、あの旅館もみんな立派なのに低価格だわ!」
勇者「あーなんて素晴らしい国なんだ!」
そして俺たちはこの国営三ッ星ホテル『エルパッソ』を選んだ。
勇者「ふぅー……いい湯だったな……この国には温泉が湧いているからどのホテルにも大浴場が備わっているらしいが……やはり旅の疲れは温泉で癒すに限るなあ」
魔女「女湯からは海も見えてもう最高!」
勇者「ここの温泉は冷え性、肩こり、筋肉疲労、神経痛への効能もあるらしいぞ」
魔女「これで明日からの旅もバッチリね!」
……………………。
支配人「こちらが今朝、海からあがったばかりの鯛の活け造りとなります」
魔女「んーー!新鮮!海が近いこの国だからこその料理ね!」
勇者「近隣でこんな新鮮な海の幸がいただける国なんてこのハウンド王国だけだろうなあ」
魔女「ほんとほんと!隣の国に寄った時はこんな美味しい料理食べられなかったものね!」
こうして最高のおもてなしと温泉と料理に満足した俺たちは、清掃の行き届いた部屋でふかふかのベットに横になりあっという間に眠ってしまった。
……………………。
勇者「いやー……昨日はぐっすり眠れたなあ」
魔女「本当にこのハウンド王国に寄って大正解だったわ!」
勇者「しかし、ここからは気を引き締めないとな。この国を一歩出ればまた魔物退治の始まりだ」
魔女「あーあ、さみしいなあ。ずっとここにいたいくらい」
勇者「ハハハ……またいつでも遊びに来ればいいさ。さあ、ここの城下町で装備を新調したら出発だ」
……………………。
勇者「よし……あらかた買い物は終わったな……さあそろそろ行くか!」
魔女「どのお店の店員さんも優しくて元気が良くていい店ばっかりだったわね!」
老婆「そこの旅のお方……もうこの国の名産品『ハウンド饅頭』は食べたかい?」
魔女「こんにちはおばあさん!ハウンド饅頭ってなあに?」
老婆「このハウンド王国で最もポピュラーなお菓子じゃよ。この国の子供たちはみんなこのハウンド饅頭を楽しみに3時のおやつの時間を待っとるんじゃ。ほれ、これじゃ。お土産に持っていくと良い」
勇者「ええ!?そんないいんですか?」
老婆「このハウンド王国は旅人や観光客に優しい国じゃ。これくらいは当たり前じゃよ」
魔女「うーんますます好きになっちゃうなあハウンド王国!」
勇者「おばあさん本当にありがとうございます!旅のお供にします!さようなら!」
老婆「気をつけるんじゃぞー」
……………………。
魔女「こんな見知らぬ私たちに声かけてくれて、お土産までくれるなんて本当に暖かい人達よね!」
勇者「それがこの国の魅力だよ。この国には国王様をはじめとして優しい人たちばかりなんだ」
犬「ワンワン!」
魔女「きゃっ!なにこの犬かわいい!!!」
勇者「あはは。それはこの国の看板犬『エンジェル君』だな」
魔女「なんてかわいいのかしら!それにとても人懐っこいわ!本当に天使のよう!」
勇者「このエンジェル君に会うために遠くからこの国を訪れる人もいるそうだよ」
魔女「私もまたエンジェル君に会いに来たい!」
こうして俺たちは、後ろ髪を引かれる思いでこの素晴らしいハウンド王国を後にした。
そして魔物退治の旅は続き…………。
魔物「ゲハハハハ!!おい勇者ども!この俺様が食い殺してやるぜええええ!」
勇者「そうはさせるか!おりゃあああああああ!」
魔物「グハッ!!なんて鋭い切れ味!!その剣……まさかハウンド王国の……」
勇者「ああそうだ!ハウンド王国城下町の武器屋『ゲンさんの刀屋さん』で作られているオリジナルソードだ!」
魔物「くそおおおお!ハウンド王国に寄った旅人はこれだから恐ろしいぜ!」
勇者「さあ!トドメは任せた!」
魔女「はああああああ!!」
魔物「ぐわああああああああ!その杖は……まさかあの魔力を上昇させるという……」
魔女「そうよ!ハウンド王国城下町の魔道具屋『Magical Cats』の店主ミケさん考案のオリジナル商品よ!!」
魔物「くそおおおおおお!強すぎる!強すぎるぞハウンド王国オリジナルブランドおおおおおおおお!!」
勇者「ふぅ……危ないところだったな」
魔女「ええ、ハウンド王国で装備を新調していなかったらどうなったことか」
俺たちはついにこのエリアを支配するボスとの戦いを迎えることになった。
勇者「ハウンドソードアタック!!!」
ボス「ぐはああああああ!」
魔女「攻撃魔法『ハウンドに光あれ』!」
ボス「ぐええええええええ!」
勇者「よし!この調子なら倒せそうだな!」
魔女「ええ!私たちにはこのハウンド王国オリジナルブランドがついてるもの!」
ボス「フフフ……果たして本当にこのワシに勝てるかな……?」
勇者「なに!?」
ボス「おらあああああああああ!」バーン
勇者「なんだと!?俺の鎧が砕け散った!?この鎧、98000G(税抜)もした最高級鎧のはずなのに!!」
ボス「フハハハ………貴様、その鎧をどこで購入した?」
勇者「この鎧は…………ハウンド王国と隣接する国『エフィー帝国』で購入したものだが……」
ボス「そのエフィー帝国は粗悪な大量生産品を高価格で旅人に売りつけることで有名なのだ!」
魔女「なんて酷い!!ハウンド王国とまるで真逆じゃない!!」
勇者「なんか全体的に陰気で、旅人にも冷たいし、海も見えない国だとは思っていたけれど…………」
ボス「ガハハハハハ!!エフィー帝国に寄ったことが貴様らの運の尽きだったようだな!!」
勇者「くそ……エフィー帝国に……エフィー帝国にさえ寄らなければ………」
その時……絶望する俺たちの前に太陽のように眩しく輝くあのお方の姿が現れた!!!
国王「ちょっと待ったー」
ボス「誰だ貴様は!!」
国王「ワシはーハウンド王国の王、ハウンド5世なるぞー」
勇者「王様だ!!ハウンド王国の王様が直々に助けに来てくださった!!!」
魔女「なんてダンディーなの!!それにあの声!!渋くて素敵だわ!!」
勇者「こんなただの旅人の俺たちを助けにきてくださるなんて、まるで神のような人だ……」
魔女「エフィー帝国とはまるで真逆ね!」
ボス「ハッ……ハウンド5世だとおおおおおお!?まずいこんなすごい人には勝てない!!逃げるぜ!!」
国王「貴様のような魔物はこのワシが逃がさないぞーー………ええと……ハウンドギガビーム」
ボス「ぐわあああああああああああああ!!!強すぎるうううううううう!!!」
ハウンド5世様の大変なご活躍により、ボスは消滅した。
勇者「王様!ありがとうございます!このご恩は一生忘れません!!」
魔女「私たちこれから一生ハウンド王国のために仕えます!!」
国王「そんなことはしなくていいぞー。ワシは、こっ、困っている人を助けるという当然のことをしたまでだー」
勇者「なんて謙虚なお人だ……」
魔女「私、涙が止まらないわ…………」
勇者&魔女「「行ってよかった!ハウンド王国!!」」
……………………。
ワン!
ツー!!
スリー!!!
フォー!!!!
ハウンド〜♪ハウンド〜♪
みんな集まれハウンド王国〜♪
素敵な街並み自然がいっぱい〜♪(海も見えるよ!)
優しい国民素敵な王様〜♪(超イケメン!)
ゲンさん「武器ならお任せ!」
支配人「最高のおもてなしをお約束」
ミケ「かわいいアイテムいーっぱい」
老婆「お土産はーーーーー?」
全員「ハウンド饅頭!!!!!!!!」
ハウンド〜♪ハウンド〜♪
みんなおいでよハウンド王国〜♪
国王「ご旅行の際にはー、ぜひ、お立ち寄りください」
ハーウーンードーおーーうーーこーーくーー♪
ジャカジャン♪
エンジェル君「待ってるワン♪」




