モンスターと絡み酒
週一定期!
平良さんは中学校の先生をやっている。元々ストレスの多い職場だったのが、今回のモンスター化騒ぎで更に酷くなったらしい。
もうかれこれ2時間近く平良さんの話を聞いているが、モンスター化は社会人よりも学生の方により大きな影響を及ぼしたようだ。
先ずモンスター化で起こったのがスクールカーストの崩壊。
クラスの人気者が河童になったらどうだろう。日本のトップも河童化して警察に捕まったのは記憶に新しい。実際、平良さんのクラスの学級委員長は河童化し、心の方が追い付かずに学校を休んでしまっているそうだ。
逆というわけでもないが、いじられ役だった子が強靭な肉体を持つ牛のモンスター化したケースも。周りは今までと同じノリで揶揄っていても、ミノタウロスの反応は違う。教室が滅茶苦茶になったとか。
「キイテルノ!?ヌカリヤ!!」
いつの間に呼び捨て!平良さんは大分酔っ払っていて、話があっちこっち行き始めた。
「聞いてますよー。スマホの顔認証の話でしょ?」
「ソウヨ。マエト、カオガカワッテ、ニンショウトオラナイシ、アタラシイカオモトウロクデキナイノ!!」
まぁ、それはそうだ。オークの顔で認証出来てしまえば顔認証の意味がない。
「テガ、オオキクナッテ、パスコードノニュウリョクタイヘンナノニ!」
スマホメーカーもモンスター用のスマホを開発しないといけないのか。大変だ。
「フクハ、ソノママキレルカラ、タスカッテルワ」
それは、元々大きかったからですね。
「ブタニク、タベルノ、テイコウアルノヨネエ」
そ、それはコメントに困る。
「ヌカリヤ!!」
「はい!!なんです!?」
「アナタ、ワタシノコト、ヨッパラッテルトオモッテルデショ!!」
酔っ払ってるだろ!!
「違うんですか?」
「フフフ、ヨッテルノ。ワタシ」
なんだよ!知るか!!
「キョウハ、アリガトウ」
「急になんですか?」
「コンナカラダニナッテ、ハジメテコンナニ、スキカッテハナシタワ」
「ははは。これぐらいならお安い御用ですよ」
「ヌカリヤ、アナタ、カワイイワネ」
背筋が伸びる!
「フフフ。ジョウダンヨ。タイショウ、オアイソ」
平良さんは覚束ない足取りで店を去っていった。
「お疲れ様」
店主のヤマちゃんがスッと冷酒を入れてくれた。奢りということだろう。
「いやー、長かったね」
ヤマちゃんがニコニコしている。
「まぁ、平良さんが楽しそうだったので良かったですよ」
俺は出された冷酒をちびちびと飲み、店を出た。問題は明日も仕事だという事実だけだ。
お酒飲みたくなります。飲んでるけど