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休み前の立ち飲み屋

週一定期!

「おっ、今日は遅かったね」


立ち飲みヤマちゃんの店主は洗い物をしていたらしく、慌ててタオルで手を拭いている。


「ちょっと待ってね!すぐ出すから」


そう言うと、カウンターにはハイボールと3種のおばんざいが置かれた。おばんざいはサービス──残り物──かな?遠慮なく頂こう。


「さっきまで平良さんいたんだけどねー、サクッと帰っちゃったよ」


「ああ、学校の先生は明日も仕事でしょうから」


「忽滑谷さんとこは、明日休みだったよね?」


おばんざいの煮物が美味い。自分では絶対に作らないからありがたい。


「そうですそうです。よく覚えてますねー」


「そりゃー、常連さんだからね。あっ、常連と言えばカメさんが壊した看板、やっと新しくしたんだよ!」


見ると確かに電飾看板が新しい。以前のどこか霞んだ光がLEDのはっきりしたものに変わっている。


「カメさん、月の満ち欠けで酒に対する強さが全然違うみたいでさー、満月で狼化した時が最低で新月の時が一番飲めるって。カメさんの件があってから人生で初めて月齢カレンダー見るようになったよ」


「へええ。それは面白いですね。狼男の集まる居酒屋は新月に繁盛するんですね」


「ね!ウチも新月サービス始めようかな。サワー半額。忽滑谷さんとこの社員さんも連れてきてよ」


「あ、そういえばウチ、社員が増えたんですよ」


「そりゃーよかったね!最近ずっと忙しそうだったから」


ヤマちゃんは空いたハイボールのグラスにサッとお代わりを注いだ。


「モンスター化した人を雇うと補助金が出るからって社長が張り切って採用したんですよ」


「ということは、モンスター化した人を雇ったの?思い切ったねー」


「とてもいい子ですよ。ハンドル握ると人が変わりますけど」


「その子はなんのモンスターなの?」


「メデューサって感じですね。頭に蛇がたくさんついてます」


「それならお酒飲みそうだね!」


ああ、確かに蛇は酒好きのイメージがあるな。


「この前、下半身が蛇になったお客さんが来てね、ラミアっていうのかね、めちゃくちゃ飲んでいったよ」


「やっぱり蛇は酒好きなんですね」


「1人で日本酒の一升瓶を空けてたよ。いやー、儲かったね」


「今度、新人の子を誘ってみますよ。多分近所ですし」


「頼むよー、モンスター化があってから、なかなか新規のお客さんが増えないからね」


「ああ、それはあるかもですね。家族が1人でもモンスター化すると、がらっと生活も変わってしまうんで。ある程度落ち着かないと、なかなか飲み歩いたり出来ないでしょうねー」


「ということで、独り身の忽滑谷さん!なるべく毎日来てね」


ヤマちゃんは冗談のように笑ったが、目は笑っていなかった。

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