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婚約者が親友と浮気したので婚約破棄したら、なぜか幼馴染の騎士からプロポーズされました  作者: 鳥柄ささみ


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23 いいお湯だった

「はぁ、いいお湯だった」

「うふふ、マリーリさまとのお風呂楽しかったです〜」

「私も」


 ドレッサーの前でミヤに髪を梳いてもらいながら、お互いにキャッキャと盛り上がる。

 ブレアの地の食材をふんだんに使った夕食を終え、先に風呂を譲ってもらってマリーリはジュリアスより先にこの家の風呂を体験したのだが、驚くほどに広く泳げるほどのスペースに感嘆した。

 しかも浴室や浴槽が大理石でできていて、シンプルに美しく、ミヤも掃除がしやすい! 綺麗、素敵! と大喜びで、マリーリも嬉しくなるほどのはしゃぎようだった。

 それからお互いを洗いっこしたり、開放的なぶん普段話さないようなことを話したりといい時間を過ごし、普段は両親から咎められるようなことができ、マリーリも久々に童心に返ったようで楽しかった。

 ちなみにミヤの身体は以前よりもさらにパワーアップしたグラマラスさで、まさにボンキュッボンを体現していて、あまりの美しさにマリーリはまた見惚れてしまうほどだった。


「本当、ミヤみたいに出るとこ出て引っ込むとこ引っ込む身体になりたいわ」

「何をおっしゃいます〜! マリーリさまはどこをとってもちょうどいい身体つきではないですか〜! 美乳、美尻に薄い腹部。肌もなめし革のようにきめ細やかに引き締まってて、吸いつくほどにハリがあって、水も弾いて羨ましいです〜」

「そんなに褒めても何も出ないわよ?」

「いいんですよぉ。あ、でもまたお風呂一緒に入りたいな?」

「ふふ、またそのうちね」

「はぁ〜い!」


 ミヤは上機嫌で髪を梳きながら返事をする。

 いっそこのままミヤと寝てしまってもいいかな、と思うが、それはそれで他の使用人に示しがつかないかもと考え直した。

 両親がいないため自分で判断し、切り盛りしなければいけないのだが、そのぶん自由度が高い新生活がマリーリにとってとても有意義なものだと心踊るも、やはり主人としてある程度分別はつけないとな、と普段から口酸っぱくマーサから言われていることも思い出す。


「そういえば、明日は早速親睦会をなさるんですよね?」

「えぇ、ついでに新しい子達を雇おうと思って」

「え、そうなんです?」

「えぇ、数人新たに雇用しようと思ってるから来たら仲良くしてあげてね」

「んー、それなりに善処はします〜」

「もう、そういうとこは素直なんだから」


 ミヤは生い立ちが生い立ちだけに心を開いている人物が少ない。

 そのため、今回新居に連れてきたのも比較的ミヤと交流のあるメンバーだった。

 ミヤ優先で依怙贔屓だと言われてしまうだろうが、誰よりもよく自分を理解して何でも話し合えるミヤが一番なのはマリーリにとって仕方のないことである。


「お召し物どうしましょうかね」

「うーん、そもそも普段あまり社交界に出ないからコルセット入るかしら」

「そこはもうギュウギュウに絞りますからご安心ください」

「うぅ、手加減してよ?」

「ふふふ」


 怪しい笑みを浮かべるミヤに、実際明日は何を着ようかと悩む。

 服は色々と持ってきたつもりだが、初めて挨拶するとなると明るい色味のほうがいいだろうか、と持っているドレスを思い出していく。


「ミヤは明るい色ならどれがいいと思う?」

「そうですねぇ、明るい色味ですと……オレンジや黄色辺りでしょうか? マリーリさまの元気な部分が表現できるかと」

「元気は表現しなくていいのよ。こちらでは淑女として過ごすのだから」

「えー、マリーリさまが? 淑女ぉ? それはさすがに無理がありますよ〜」

「酷い言われようね。喧嘩売ってるの?」

「とんでもないですー。うふふ」


 絶対からかってるな、と思いながらも本当にどうしようかと悩む。

 こんなことになるなら先にいくつかドレスを新調しておけばよかった、と今更ながら夜会に出なかったことによる弊害をひしひしと感じた。


 ーーコンコン……


 ちょっと控えめなノックが聞こえて、首を傾げる。

 そろそろ寝る時間だというのに、一体誰だろうかと思いながらマリーリは「はい」と返事をした。


「マリーリ、起きているか? 俺だが」

「ジュリアス?」

「あぁ、今いいだろうか?」


 まさかジュリアスの訪問とは思わず、ミヤと目を見合う。


「ジュリアスだって、どうしましょう」

「どうしましょう、って待たせていないで早く出てあげてください」

「え、私が?」

「だってこの部屋マリーリさまのお部屋ですし」


 こういうときって使用人が開けるものではないもかしら、と思いながらも言われるがままにドアを開ける。

 するとそこには風呂上がりなのか、多少髪が湿り、火照って頬が紅潮したジュリアスがいた。


「どうしたの、こんな時間に。何かご用事?」

「あぁ、ちょっと。申し訳ないが、部屋に入ってもいいだろうか」

「え、えぇ、構わないけど」


 一体何の用事だろうか、とマリーリは首を傾げながらジュリアスを迎え入れる。

 すると、「では、私はこれで。おやすみなさいませ、マリーリさま」と言うと、ミヤはウインクしたあとそそくさと出て行ってしまった。


「え、ちょ、ミヤ!?」


 相変わらずこういうときの空気を読むのに長けているが、マリーリからしたらまさか突然こんな夜更けにジュリアスと二人きりにされると思わず、動揺してあたふたしてしまう。

 でも、ミヤは帰ってくる気配もなく、ジュリアスも勝手にベッドの上に座って寛ぐ姿に、マリーリは諦めたように「はぁ」と小さく溜め息をつくのだった。

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