リセマラ五日目①
書きだめで間が空いてしまい申し訳ありません。
今後ともよろしくお願い致します。
5日目は長くなるため、全部で3つか4つに分けての投稿になります。
家や木々がパチパチと音を立てて燃えがっている。
ここはコヤット村からほど近い村だが、燃え上がる家屋に人気はない。
村人たちは、村の中ほどにある広場に全員集められていた。
その周りを剣や弓を携帯した者が取り囲んでいる。
その風貌は明らかにカタギのそれではなかった。
「頼む。ワシはどうなってもいい!だから、他の村人たちだけは助けてくれ!」
口ひげを傭えた老人が、周りの武装した集団に訴えかける。
おそらくこの村の村長なのだろう。
「頼む!金品はすべて持っていってもらってかまわん!だから命だけはッ・・・!」
彼は長としての勤めを果たそうと勇気を出して訴え続ける。
武装した者たちは、最近このあたりを荒らしている盗賊団「サンドイーター」。彼らの通ったあとには、そこに村があったことすらわからないほど何もかもを奪われるという噂があるほど凶暴な者たちの集まりだった。
「うるせぇ!ギャーギャー騒ぐな!」
彼の訴えは一際体躯の大きな男の怒声により霧散してしまう。
「金品は俺たちが拾ったんだから持って帰って当然だろうが!」
「ゲザドルのお頭!荷と女を積み終わりました!」
そこに小柄な男が現れ、荷物と女を馬車への積み込みが完了したことを報告する。
「おーそうかい。じゃあこんなあっちーところに長居する理由はねぇわなぁ。」
ゲザドルは下卑た笑みを浮かべて村人たちを見る。
「な、何をする気じゃ!?」
「お前たちには顔を見られているから、生かしておくわけには行かなくてなぁ。」
「そんな・・・!」
「いやだー!助けてくれー!」「死にたくない!」
村人たちは一様に青ざめた表情をうかべて口々に叫び出す。
「賑やかなのは好きじゃねぇんだよ。『サンドイーター』!」
彼がスキルを使って数秒もすると、そこには村人たちの姿はおろかそこにいた形跡すらなくなっていた。
「うはーさすがお頭のウルトラレアスキル!おっそろしー!!」
「サルスキー、ふざけてないでさっさと馬車を村から出せ。この村も消していく。」
「あい、わかりやした!」
サルスキーと呼ばれた小柄な男は、急ぎ隊列に指示を出して村の外へと向かう。
「じゃあ次の村へと向かうとしよう。『サンドイーター』!」
彼らが去った後、そこには先程まで燃えていた家屋や木々すらもなくなり、ぽっかりとした広場だけが残されていた。