リセマラ三日目
本日も短いですが、投稿致します。よろしくお願い致します。
今朝から何となく嫌な予感がしていたんだ。それがこんな形で現れるとは・・・。
今日は買い出しのために、リセマラを休み、隣町に来ていた。買い出しは無事に終わり、いまは村へと帰っているところだった。
村へと帰ったら荷物を置いて、今日もリセマラをしようかな。
そんなことを考えつつ、村へと続く道を歩いていると、前方に人影があることに気づいた。
人影がだんだんと近づくにつれて何者であるか認識できるほどの距離となったとき、僕はげんなりとしてしまった。よりによって彼らに出会ってしまうとは。
「フィリスじゃねえか。」
「んだな?こんなところで何してるんだな?」
「村の外で会うなんて珍しいじゃん?」
めいめいに話しかけてくる3人。左側にいる小さいのがガレット。彼は身長は低く、非力だが素早さは村一番。その早さを活かしてよくイタズラをしている。そして右側にいるのがベポ。彼は、人一倍力が強いが知性にかけ、よく物を壊して村人を困らせている。そして、真ん中にいる身長が高く、シュッとしたシルエットのクワース。彼は頭がキレ、運動神経もそこそこだが、性格が悪い。村長の一人息子であり、親の権力を笠に着て悪さばかり起こしている。彼らは、村でも有名な札付きのワルなのだ。
「街へ買い物に出て、いまその帰りだけど忙しいからまたね。」
彼らと関わるとろくなことがない。
僕は面倒に巻き込まれる前に彼らから離れようと試みる。
「なんだよ連れねぇなぁ!」
「んだな!久々に会ったんだから少しはお話するんだな?」
「そうじゃんフィリス?」
しかし、そうは問屋がおろしてはくれなかった。彼らは、せっかく見つけたおもちゃを逃がすまいというような様子で僕の前へと回り込んできた。
「僕忙しいんだけど・・・。」
「何、そんなに長くはならないさ。ちょっとお前の噂を村で耳にしてたからよ。」
「噂?」
はて、何か噂されるようなことがあったかな?
「何でも、ずいぶん頑張ってリセマラしてるらしいじゃん?」
なんだ、リセマラのことか。
村にはもうしばらく成人する人がおらず、しばらく儀式がないから近年では最後になるであろう僕のリセマラについて、一部の人が面白おかしく話しているのだろう。
「それで、調子はどうなんだ?」
「ボチボチかな。昨日はレアスキルが一度だけど出たし。」
「良かったじゃねぇか。」
「リセマラを終える日もそう遠くないかなんだな?」
「そうかもしれないね。」
どうして、彼らが僕のリセマラ状況を気にするんだ?話の流れが読めない。
「その日を迎える前によ、ちーっとスキルの使い方を学んどいた方がいいんじゃないか?」
これは、嫌な予感がするぞ。
「俺たちが教えてやるよ。」
「いや、いいよ!僕なんかのために時間を使うのはもったいないし・・・じゃあね!」
僕は彼らの脇を足早に駆け抜ける。
「そりゃないじゃん?せっかくスキルの使い方を先輩たちが教えてやろうっていうのに、『サンドストーム』じゃん!」
ガレットが勢いよく腕を振るいスキルを発動させる。
すると、砂混じりの小さな旋風が巻き起こり、僕の行く手を阻んだ。
「わっ、ちょっと!?」
僕は砂に目をやられて足を止めてしまった。
「覚えとくじゃん!これが砂混じりの旋風を起こして相手の視界を奪うスキル『サンドストーム』じゃん?」
「服が砂まみれなんだな?キレイにしてやるんだな!『ウォータードロップ』!」
そこへベポが水魔法を発動させる。フィリスの頭上に大きな水球が現れ、そのまま落下する。
「ガボッ、ごほっごほっ」
僕は大量の水に飲まれ、思わず咳き込んでしまう。
「これは巨大な水球を生み出して相手の頭上から落とすスキル『ウォータードロップ』なんだな!」
「おい、ずぶ濡れじゃねえか?風邪ひいちまったらあれだから乾かしてやるよ、『エアウェーブ』!」
クワースが唱えたスキルにより生まれた、圧縮された風の波がフィリスへと襲いかかる。
「うっ!」
僕はこらえ切れずに吹き飛ばされて、近くの木に頭をぶつけてしまった。
「これが、風の障壁を生み出すスキル『エアウェーブ』だ。どうだ?いい勉強になったか?」
腹を抱えて笑うクワースたち。
「なんだ、もう気絶してやがんのか。親父に小言を言われてムシャクシャしてたけど、いい気分転換になったな。」
「んだな。」
「じゃん?」
「さて、そろそろ行くか。」
彼らは気絶したフィリスを残しその場を後にする。
僕が目を覚ましたたとき、もう日が暮れかけていた。
「くそー・・・あいつら、次に会ったときには許さないからな!」
不幸中の幸いか荷物は無事だったので、僕は散らばった荷物を集めて村への帰路へたついた。
今日はリセマラ一回も出来なかったな。
【本日新しく記録したスキル】
レアスキル
・サンドストーム
砂混じりの旋風を起こし、相手の視界を奪う
・ウォータードロップ
巨大な水球を対象の頭上におとし、衝撃を加える
・エアウェーブ
風の障壁を展開し、前方へと放つ