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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

おっさんとクマ

作者: よよよし

「ただいまー」


仕事が終わり、いつもの道を通って帰宅。廊下を抜けリビングの扉を開く。


「・・・・ただいま」


「・・・」


それは、こちらをチラっと見ると視線をテレビに戻す。


「・・・今日はなにもなかったか?」


「・・・」


否定も肯定もしないが、まぁ、なにもなかったんだと思う。



そう、クマのぬいぐるみを見て思う。


「・・・こいついつまでいるんだろう。」


一週間前から住み着いてるコレは、毎日特になにをするわけでもなくただいるだけ。


ぬいぐるみだから表情はないはずだが、最近はなんとなくわかってきた。


「なんだよ」


立ち上がりこっちに歩いて来た。1mほどのかわいいぬいぐるみさん。


「・・・飯か?」


ハッキリとうなづくと同時におなかが鳴る


「わかったよ。てか、どっから鳴ってんだそれ。

 なにがいい・・・・ってラーメンか。」


すると、パァっと目を輝かせる。


実際は、ボタンみたいなのがついているだけだが。


「お前本当にこれ好きなんだな。」


鍋に水を入れ、火を付けながら言う。

すると、俺の腰のあたりを掴みながら揺らしてくる。


口には出さないが、うざいなと思いつつクマに目をやる。


「・・・・」


クマの目をまっすぐ見ながら


「相手に伝えたいことがあるときは、

 相手の目を見てきちんと口で伝えるのが礼儀ですよ。

 もやしを入れて欲しそうな顔をしてますが、

 違うかも知れませんからね。ほら、そのお口で言ってごらん。

 ・・まぁぬいぐるみでは無理か。これでしゃべり出したら

 とうとうテッ〇だもんな。

 

 ・・・ってあああああああああああああああああ!!!!!!!!」


フッと鼻で笑いながら言うと同時に、

クマのぬいぐるみの背中に黒いものを感じ、下腹部にドンと衝撃を受けた。

立っていられず、床に這いつくばる。


それを見たクマは満足気な笑みを浮かべたまま見下す。


追撃をかけようとするクマに、倒れたまま蹴りの反撃を繰り出す。


「てめぇ!俺の大事な息子が使いもんにならなくなったらどうする!!!」


キュウと空気の抜ける音を出しながら飛ぶクマ。

俺はぬいぐるみだから物理無効なんだよ、という顔をしながら立ち上がる。


クマが一気に駆け出し右ストレートを振りかぶった。俺の股間に向けて。


「何度も同じ手はくらうかよ、くそクマ!!」


ズキズキと痛むが何とか後退るが、その瞬間クマがニヤリとしたのを見逃さなかった。


ぬいぐるみのふわふわな手に小さな切れ込みが入っていた。

大振りな右ストレートのその中からビー玉が勢いよく飛び出した。


ビー玉は俺の股間に命中する。俺は死んだ。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




クマは美味そうにラーメンを食べていた。もちろんもやし入りで。


「こいつマジでどっから食ってんだ。

 麺は口らへんの糸に吸い込まれてるように見えるし、

 何度見てもわからんな」


美味そうに食ってるが、実際は無表情だ。


ワンタ〇メンやチ〇ンラーメンとかのパッケージは

案外こうやって出来たのかもなーと、

しょーもないことを考えながら見守る。


「・・・きもっ」


言い終わると同時にもやしが一つ飛んで来た。

食べ物を粗末にするなよデコ助やろう。


クマは汁まですべて飲み干し、手を合わせる。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




「・・・暇だなー」


ぼけーっとテレビを見た。

芸能人がチーム対抗で様々なゲームで対決している番組だった。


何気なくクマに


「ゲームでもするか?」


ぱぁっとキラキラと花を咲かせたような顔をしながら立ち上がり、

すぐさまキリっとした顔に変わり、右、左とシャドーボクシングを始めた。


「いや、ゲームはゲームでもセ〇ゲームじゃねえんだよ。

 急に野生を出すなよ。怖ぇな」


これだよこれと言いながら取り出すトランプ


今ちょっと寂しそうな顔した?

嘘だろ、野生が完全に出たのか?俺を食って山に帰るつもりか・・・?


膝が笑い出すのと反対に、クマは無表情のまま前に座り直した。


「ふぅ・・・、ババ抜きでいいか?」


安堵の溜息と同時に黒い感情が体の奥から湧き出すのを感じた。

こんな見た目だけかわいらしいクマごときにビビるなんて

俺もまだまだ未熟だな・・・





ババ抜きがスタート


現在5戦目。俺の圧倒的勝利によりクマをタコ殴りにしている。

俺の手札は1枚、クマの手札は2枚。ここで俺がババを引かなければ勝ちだ。



だが、俺は必ず勝つ。必勝だ。


どっちがババか分かる。文字通り分かる。なぜなら先ほどから

クマの後ろの姿見鏡を通して戦いを管理していたのだから。


真剣な顔をしているが、内心ほくそ笑みながらカードを選ぶ。


「・・・・・こっちだ!

 よっしゃああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」


カードを机に叩きつけながら勝利の雄たけびを上げる。


「よし、これで5勝したから

 食器洗い、洗濯、風呂掃除はお前な」


ぐぬぬと体を震わせるが俺には関係ない。

なぜなら勝利したのだから。


「はやく動けよ、俺は風呂に入りたいんだ」


ベットに横になり携帯を見ながらクマに吐き捨てる。


クマが立ち上がり、突然動かなった。


なんだと思ってそっちを見ると、鏡を見ながら動かなくなったクマがいた。


ゆっくり俺の方を向くと、そこには鬼の表情を浮かべたクマがいた。


「・・・・・・・・」


「へへっ、お疲れでしたら肩でも揉みましょうかね。」


腰を低くしつつ手もみしながらクマに近づく。


ゴンと低い音をした瞬間目の前が真っ暗になった。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




「・・・ちっくしょー、バレねぇと思ったのになー」


食器を洗いながら呟く。


完璧な作戦だったはずだ。どこに抜け穴があったんだ・・・

グルグルと思考しながら、ふと思い出す。



そもそも、この家の家賃、食費、光熱費は俺が出しているのだ。

それなのに、このクマときたら毎日飯食うわ、お菓子に風呂と贅沢し放題だ。


俺なんて、3つ100円のプリンなのに1つで120円もする生クリームの乗った

プリンがいいと駄々をこねたこともある。


「・・・・・なんか段々腹立ってきたな。」


すでに何度も意識を飛ばされているにも関わらず、

そんなことは一切頭から抜け落ち次のプランを練っている。



そんな中、お風呂に向かおうとしてるクマを見つけた。


「・・・・よし」


地べたに這い蹲るほど低姿勢でニヤニヤ顔をまったく隠さずに、クマに近寄る。


「クマの兄貴、お風呂ですかい。なんならあっしが洗いやしょうか?」


これほどかというほど雑魚感を出しに出した。


「・・・・・・」


怪訝そうな顔をするが、気分がいいのか了承してくれた。



そういえば、テレビからはちみつ特集の音が聞こえた気がする。

なんだこいつはテッ〇じゃなくて〇ーさんかよ。



「へへっ、なんなら連れて行きやすぜ」


ひょいっと持ち上げると風呂と反対方向に歩き出した。


・・・クマは気づいたのか暴れるがもう遅い


「しっかり、洗剤付けて洗いましょうね~~」


グルグル回る洗濯機にぶち込んだ。


ゴールにシューっだ。


「はぁ~~、気分がいいなぁ~、心が洗われていくようだ~

 このまま体も綺麗にしよう~」


パパッっと服を脱ぎお風呂に入った。


後ろからガコガコと洗濯機が不自然に揺れているが気にしない。






たっぷり時間をかけて湯舟に浸って、シャンプーしているところで音も無く扉が開く




「~~~~♪...ん?」



・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・


・・・・


・・




「よーし、寝るかー」


頭のタンコブが3〇アイスクリームのように

綺麗に3段積み重なっている。下から、バニラ・ミント・ストロベリー。

うーん、美味しそう。しかし冷たいもの食べてないのにずっと頭が痛いなぁ。


ちょけているが痛々しすぎて、鏡を直視できなかった。



明日も朝からお仕事に精を出さないといけないからとっとと寝よう。


パパッと寝床の準備に入り、布団に入る。すぐに睡魔が襲ってきた。


クマはクマで別の布団にもぐると、そういえばと言いながら


「・・・・自分宛てに電話かかって来とったで」


・・・・俺宛てに電話?誰や?なんでこいつ帰ってきた時に言わないんだ

いや、その前に、


「お前しゃべれるんかい!!!!!!!!!」


ここまで読んでいただき誠にありがとうございます。


"ギャルと恐竜" 面白いなーと思って書いてみました。


そしたら、テッ〇になってました。見たことないですけど。


あと、文字の上に「・」を付ける方法は調べておきます。




初投稿なので、活動報告にも投稿させていただきます。


もしよろしければご覧ください。


重ねて、ありがとうございました。


よよよし

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