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理性と彼女  作者: 真坂トオル
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1.理性隔離性症候群

最近新たな都市伝説が生まれた。

それは、自分の体と理性が離れてしまうという症候群の一種だ。

俺はそんな話は信じない。なぜなら目で見た事実しか信じないからだ。そう、都市伝説のはずだった…


1.理性隔離症候群

俺は青木信治この春、高校2年になった。1年の頃は特に大きな実績も残さずただ過ぎていく時間の流れに従って生きてきただけだ。俺の通う高校は名門校!というわけではなく、ただ家から近いという理由だけで通っているそこそこの私立高校だ。

そして今日は始業式。長かったとも言えない春休みが過ぎ、また学校が始まってしまった…

そんなことを思いながら見慣れた通学路を進み電車に乗り込む。中は俺と同じ制服を着た学生でいっぱいになる。今日は少し寝坊したため俺の特等席は取られていた…クソッ

そこから3駅ほど進んだところで俺の高校の最寄駅に着く。それからも特にこれといったイベントが起こったわけでもなくいつもの日常が流れた。

今日は両親が「今日は私たち結婚して丁度3年目なの〜」とか言いながら旅行に行ってしまったため家には誰もいない。妹がいるが今日は友達とどこか行くとかいってたため夕刻まで帰ってこないだろう。そんなこんなで我が家には食料がないのである。

だがしかし!今の俺には親の金がある!この金でコンビニでも寄るか。俺の青東高校の近くにはコンビニにスーパーなんでもござれだ。高校の帰りに寄っていくのは校則に反しないため好きに寄ることができる。

この調子でゲーセンとか建てろ。なんてな…

といいつつコンビニに入っていくとカウンターで必死に店員に怒鳴りつける…とまではいかないが呼びかける女生徒がいた。クレーマーか?

「ちょっと!聞きなさいよ!お願いだから気づいてよ…何で私が見えないのよ…」

ん?見えないってなんだ?あの店員はあの女生徒が煩わしいから無視してるんじゃないのか?そんなことを考えながら俺は弁当とイチゴパンを手に取り会計に行った。すると店員は俺にはすぐに気がついた。

会計を済ませ、俺はイチゴパンをその女生徒に差し出した「ほらよ。クレームはほどほどにな。」

女生徒はキョトンとしていたがそれが自分のことだとわかると頬を膨らませ反論してきた。

「誰がクレーマーよ!私のことが見えないこの店員が悪いんじゃない!」

ふっ、横暴だな。しかし、さっきから自分のことが見えないとか言ってるがどういうことだ?こいつイカレてんのか?「なあ、さっきから自分のことが見えないとか言ってるがどういうことだ?」

彼女はイチゴパンを飲み込みながら答えた

「あなた、知らないのかしら?あの都市伝説のこと」

「都市伝説…?」

「そうよ、都市伝説よ…私も知ったのは最近なんだけどね」

都市伝説ねぇ。俺はそういう類の話はあまり好まない。なぜなら非科学的だからだ。実際に目で見たわけでもないのに信じろというのは無理がある。

しかし彼女は話を続けた。

「この都市伝説は元はある症候群から生まれたものなの」

「私は3か月ほど前、ある病気にかかった。それは自分の思っていることが言葉にだせなくなるの」

「それって病気なのか?」

「分からないわ。でも無理に 言葉にしようとすると意識が飛びそうになって酷い目眩に襲われるわ」

「でも今はすごい喋ってるけど…」

「それについてはこれから話すとこよ。私が今こうして自分のことを話せているのは私が今体と離れているからよ」

は?体と離れてるってなんだ?

「てことはお前幽霊か?」

「お前じゃなくて先輩ね」

先輩だったのか。

「でも幽霊ではないわ。だって私生きてるもの」

「死って意外と気が付かないらしいぞ?」

「勝手に殺すな!ホントよ」

話が読めん

「あなた、理性隔離症候群って知ってる?」

「知ってますけど…あれって都市伝説上の話ですよね?」

「そうね、私も少なくともそう思っていたわ」

「てかいきなり敬語になったわね」

「そりゃあ先輩ですから」

「そう。とにかくこれは都市伝説ではなく実際にあったのよ」

「つまり先輩はその病気にかかっていると」

「そうなるわね」

なるほどな。2割型分かったぞ

「私がこの病気にかかった理由は、人間ってのは空気を読んで自分の気持ちはできるだけ抑えているでしょ?それで私は自分の気持ちを抑えすぎてしまったのが原因みたいなの」

気持ちを抑えていた時はどんな人だったんだろうか。

「とまぁ、こんな感じで理性を無理に抑えていたがためにこんなことになってしまい私は昏睡状態に陥ってしまったの」

「目が覚めたと思ったら目の前には眠った私と医師に必死にせがむ父と泣いている母親がいたわ」

そういった先輩の目にはじんわりと涙が浮かんでいた

「先輩、俺の胸使います?」

「いらないわよ」

そう言われた俺の目にはじんわりと涙が浮かんでいた。勇気出したのにな

「話し込んじゃったわね」

「いえ」

「聞いてくれてありがとう、少し楽になったわ」

「先輩のためならいつでも聞きますよ」

「ありがたいわね。でも…」

「どうしました?」

「いえ、なんでもないわ」

私ったらこんなことを言ったってどうしようもないのに…余計悲しくなるだけよ

「そうですか」

「それじゃ、また今度ね」

「ええ!俺にできることがあればいつでも頼ってください!俺は2年A組の青木信治です!」

「私は3年C組の犬井小町よ」

「ではまた!」

「そうね…」

私は何を後輩君に期待しているのかしら…

そして俺は電車内に入り込んだ。

「…先輩、また会いましたね」

「まさか同じ方面なんてね」

その後少し会話をしたあと先輩と別れた。

もうすっかり夜だ。日は沈みきりあたりは暗闇に染まりかけていた。

「うー、やはり春の夜はまだ冷えるな」

俺は家に帰り冷えた弁当を温め直し食した。


次回投稿は未定です。


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