到着と緊張
どうも皆さん、干からびたナマコです。また戦闘シーンが無い…(;ω;)
爽やかな風が大通りを駆け抜け、太陽の光が人々に朝を伝える。ここはサールジニア王国の王都コルソテク。豊かな暮らしを求め多くの人が訪れる都。ある日の朝、馬車が一つ、都のはずれに止まっていた…
「おーい、着いたぞー。」
寝ているノレアの頬をぺちぺち叩く。
「う〜ん…あと五分…」
「こら。」
起きようとしないノレアの身体を持ち上げ、無理矢理起こす。
「眠い〜。」
「何かすることがあるんじゃなかったのか?」
その一言で閉じていたノレアの目がパッと開く。
「そうだ!ギルドのお偉いさんに挨拶しなきゃいけないんだった!」
「だろ?ほら、早く行こうぜ。運転手さん、代金だ。」
運転手に金を渡すとお辞儀をして、ノレアに続いて走り出す。少し走ったところで、ノレアが立ち止まった。
「ハァ、ハァ…この、建物、だわ…」
「お前、息切れしてんじゃねぇか。」
別にそんなに長い距離を走ったわけでもないのに、ノレアはマラソンを完走した選手のように疲れ切っていた。
「まあいい、入るぞ。」
扉を開けると大勢の人が中に整列していた。その中でも一際豪華な服に身を包んだ男性が声を掛けてくる。
「おお。ノレアさん…と、誰です?」
「付き添いです。気にしないで下さい。」
「そうですか…では改めて。ノレアさん、あなたをギルドのハンターとして迎え入れましょう。」
そう言って男性がノレアに手を伸ばすと、ノレアが顔をしかめ袖を引っ張ってきた。
「どうした?」
「龍牙、この人変な匂いする。」
場が凍りついた。男性も予想外の発言に半ば放心している。恐らくノレアは香水の匂いが気になるのだろう。確かに結構キツイ匂いだが、このままではかなり不味い。俺がフォローをしなければ。
「すみません。ノレアはまだ幼いので、香水の香りの良さがわからないんです。」
「…あ、ああ。そういうことか。いやいや、昨日確かに風呂に入ったんだけどなー、と驚いてしまったよ。ハッハッハ。」
「ハハハ…」
笑いながらノレアをチラッと見やるも、本人は不思議そうにこちらを見つめてきた。このままではまたボロを出しかねない。一旦ノレアをどうにかしなくては。
「そ、そういえば、試験などは無いのですか?」
とりあえずノレアが会話に入りにくいように話をすすめよう。ノレアに話させたらいつどこでボロを出すかわからない。
「試験は無いよ。彼女の魔法の凄さは、ギルドでもちょっとしたものだからね。」
「成る程。ところで、実は私は挨拶に行く、としか伝えられてないのですが、この後の予定はどうなっているのでしょうか?」
「ああ、この後は部下にギルドの各施設の紹介をさせるよ。ただ…」
「ただ?」
「ノレアさんが一人で来ると聞いていたので…」
「ああ。私のことならお気になさらず。行くあてがないのを途中で拾ってもらったようなものですので。」
「そうだったんですか…良ければ私の部屋で二人でお話ししませんか?」
「すみません。余計な手間を取らせてしまって。」
「いえいえ。では、行きましょうか。」
そうして、豪華そうな部屋の前に連れてこられた。扉の横には「ギルド長」と書かれた札が掛けられている。
「じゃあ、入ろうか。」
「はい。」
部屋の中は確かに豪華だったが、派手過ぎないセンスのある部屋だった。
「あの、さっきは…。」
「気にしないでくれ。子供の言ったことだ。そう目くじらを立てたりしないさ。」
「ありがとうございます。」
「実は、心配なのはこれからでね。彼女が国に目をつけられないかが心配なんだ。」
「国、ですか?」
「ああ。ギルド創立時から良く思われてなくてね。ずっと目をつけられているんだ。」
「今までは問題児は一人だけだったからまだ大丈夫だったんだが…」
既に一人いるのかよ。
「流石に二人は手に負えん。そこで君には仕事中の彼女のサポートをしてほしいんだ。」
「どのようにして?」
「君も彼女と同様ハンターとしてうちで雇う。彼女の相棒として彼女に同行してくれ。」
「わかりました。」
正直かなり有難い提案だった。職を手に入れることができるだけでなく、ノレアに悪い虫がつくことも防げる。一石二鳥だ。
「ありがとう。」
ギルド長がそう言って手を伸ばす。俺はその手を取り握手を交わした。
「龍の牙と龍の腕」第四話を読んでいただきありがとうございます!次回は戦闘シーン、書けるといいなぁ…