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龍の牙と龍の腕  作者: 干からびたナマコ
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正義と悪

干からびたナマコどす(舞妓風)。第三十四話、投稿しました!

謎の男は砦から姿を消したが、騒動は未だ終わっていなかった。

「荒斬さん!大丈夫ですか!?」

騎士の一人が荒斬に駆け寄る。

「クソが…あの野郎!」

荒斬の左腕が紫色に染まっている。上腕には痛々しい刺し傷があった。

「おい、さっきの乱入者はどこ行った?」

キョジンを撃退し終えた勝気が声をかける。

「悪い…逃した…」

「そうか。取り敢えずオズマ、荒斬の治療を。」

「ちょっと動かないでねー。」

オズマが黒いモヤの様な魔術で荒斬の腕を覆う。皆が事態収束のために動く中、ノレアは龍牙を探していた。

「龍牙ー!どこにいるのー!」

「呼んだ?」

龍牙がノレアの方に歩いてくる。傍にアルトガはいなかった。

「龍牙!無事で良かった〜。建物内は無事だったんだね。」

「まあな。そっちはどうだった?」

「怖い人がいなくなったと思ったら、蜘蛛みたいな人が現れて、荒斬さんが刺されちゃったの。」

「蜘蛛?」

龍牙の頭の中に嫌な予想が浮かぶ。

「結局あいつら絡みかよ。」

「あいつらって、ギャルブリア帝国?」

「え、あ、うん。」

ノレアはギャルブリア帝国に拐われたことだけは知っているらしく、龍牙からしたら微妙に言い訳しにくいラインだった。

「なんか、なんかよく分からないけどつけ狙われてるんだよね。」

「そうなんだ…でも、近々それに関して国が大きく動く、って荒斬さん言ってたよ。あ、そうそう。」

ノレアは簡素なテントの方向を指差した。

「そう言えばなんでか知らないけどギャングが来て、事情聴取受けてるんだって。」

「ふーん…」

知ってる。なんならさっきまで一緒にいた。

「連絡でーす!ギルドの方々はこちらに集まってくださーい!」

「あ、収集だ。いこう、龍牙!」

「おう。」


「…で、怪物数匹の死体が…」

ギルドと騎士団がそれぞれ並ばされ、周辺の状況の説明が一通り行われていた。そして、

「今回の襲撃者について詳しい、アルトガさんにご説明いただきたいと思います。」

は?

龍牙が予想外の言葉に思考停止する。

「ねえ龍牙、アルトガって誰?」

「え。…いや、うーん。わかんね。」

ノレアの言葉で再起動した龍牙。だがここでギャングだと言ってしまえばとんでもないことになる。何で知っているのか含めて。

「えーどうも、フルコースギャングのボス、デンジャラスデザートのアルトガだ。」

言いやがったよ!

案の定会場がざわめきだす。

「おい、あいつ今…」

「ギャング?何でギャングがここに。」

「あー、落ち着けお前ら。何もここを乗っ取ろうって訳じゃねえ。用件は…こいつだ。」

アルトガが大きな紙を取り出す。そこには似顔絵が書いてあった。

「これは…さっきの奴らか!?」

「ああそうだ。顔は覚えていたからな。今し方即興で描いた。」

「なんて丁寧な絵なんだ…本物みたいだ。」

「で、こいつについて今から教える。」

紙を壁に貼り付けると、アルトガは向き直った。

「こいつの名は『異形の』ゲルモンド。ヘレシーキメラという組織のトップだ。」

「ヘレシーキメラだと!?」

その場にいた人々が動揺する。龍牙は分からなかったためノレアに聞いた。

「ヘレシーキメラって何?」

「裏社会の中でもかなりの力を持ってるっていう組織。一つの国家に近い権力を持ってるらしいわ。」

「静かにしろ。続きを話すぞ。」

アルトガが手を叩き注目を集める。

「ヘレシーキメラの拠点はサールジニアより南に位置している。支部はねえ。」

「話は以上だ。」

そう言ってアルトガは去っていった。


その日の夜。誰もいないはずの外に怪しい人影が一つ。

「クックック、良い子にしてくれよな。」

「ンーー!」

布でノレアをぐるぐる巻きにしたゲルモンドが去ろうとするのを、二つの人影が阻んだ。

片や、包帯を巻いた侍。

「待てよクソ野郎。」

そして、ヘルメットをつけた黒腕の男。名無しのライダーだった。

「ノレアを返してもらうぞ。」

「お前らは、昼間の剣士に…クックック、待ち侘びたぞ。」

「?」

身構える名無しのライダーに、男はノレアを見せつけた。

「お目当てはこいつだろう?欲しけりゃ取り返してみな。」

「龍牙、あいつは俺が引きつける。その隙にノレアを!」

「了解。」

了承の言葉を聞き荒斬が飛び出す。するとゲルモンドの腕が蟷螂の腕に変わった。

「お前はお呼びじゃねぇ!」

「こっちが用事あんだよ!昼の借りを返してやる!」

「!今のうちに…!」

背後に回った名無しのライダー。が、その頭をノレアが掠めていった。

「何!?」

「ヒャッハー!こいつはもらってくぜぇ。」

ライダーはその声に聞き覚えがあった。

「やっぱりお前か。何度やられれば気が済む!」

「あれくらいで死なねーよ!それより、お仲間が大変だぜ?」

「!」

ライダーが振り返ると、荒斬はゲルモンドに対し防戦一方になっていた。

「おいおい、まだ毒回ってんじゃねえか。」

「そんな!荒斬、もう治ったはずじゃ!」

ライダーの言葉にゲルモンドが反応する。

「ほーう。心配させないために仲間に嘘をつくとは、泣かせるじゃないか。」

「黙れ…!」

「お前がな。」

ゲルモンドが鳩尾に蹴りを叩き込むと、荒斬はその場に崩れ落ちた。

「クックック、ククククク…ハハハハハハ!」

「何が楽しい!」

人を痛めつけ嘲笑するゲルモンドに、ライダーの怒りが爆発する。

「何が楽しいかって?そりゃ楽しいさ。力を持つ強者が、崩れ落ちる様は、何度見ても、ハア、心地が良い…!」

「…もう良い、死ね。」

ライダーの目から光が消える。それを見たゲルモンドは龍牙に向き直った。

「怒りに燃えているな。だが、お前は俺に偉そうにものを言えるのか?」

「…………は?」

理解できない龍牙に対してゲルモンドは続ける。

「確かに俺は悪さ。その自覚はあるぜ。だがな、お前はどうだ?正義の名の下に、何をしてきた?」

龍牙の表情が曇る。

「…それは、」

「相手が襲ってきたから致し方なし?本当にそうか?相手が悪なら何をしても良い、すべては正義だと思わなかったか?」

「そんなこと、」

「無い、のか?」

「……」

完全に黙ってしまった龍牙。しかしゲルモンドは止めなかった。

「『自分を正当化して正義という快楽に溺れる』。どんな薬物よりも手を出しやすいくせにどいつもこいつもハマりやすい。最悪の快楽さ。」

「………………」

何も言い返せない。そんな龍牙を尻目にゲルモンドは言い放った。

「愛するお姫様を助けにきて、俺たちを成敗してみろよ、『ヒーロー』さん。」

ゲルモンドやアルトガは本来出す気は無かったんですが、入れないと三十話行かずにパパッと終わっていたと思います(汗)。以上!龍の牙と龍の腕を読んでいただき、有難うございました!

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