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龍の牙と龍の腕  作者: 干からびたナマコ
34/55

乱入と作戦

龍の牙と龍の腕、三十三話投稿しました!

黒布の蹂躙者、キョジン。

遥か昔から一定の周期で暴虐を尽くし、退けども決して懲りぬ「災害」。

その周期から外れた襲撃に、騎士団やギルドの面々は疑問を抱いていた。

「この前襲撃してきたばかりなのに、何故こんなにも早く?」

「やつの身に何か起きたのか?」

「そもそも今までが偶然だったんじゃないか?」

それぞれが己の見解を述べ、意見を交換していると、キョジン接近を知らせる鐘が鳴った。

「全員、配置につけ!」

号令が飛び、全員が指定された位置についたと同時に、地響きが聞こえてきた。

「いつ見てもでかいな。」

窓から龍牙が外のノレアに呼びかける。しかしノレアは全く臆していなかった。

「うん。でも、前回みたいに上手くいくよ!」

「ま、俺は戦力外だからな。頑張れ〜。」

ズシンズシンと、キョジンが迫ってくる。騎士団とギルドから一つずつ、キョジンの足元に影が躍り出た。

「抜刀術、『滝登り』!」

「『怒ストレート』!」

荒斬と勝気の技がキョジンの脚を捉える。

「……!」

この一撃で体勢を崩しつつも、立ち上がろうとするキョジンに、無数の砲弾が降り注いだ。

「うっひゃあすげえや。」

室内から戦況を見る龍牙の目に、一人の男が写った。

「何だあいつ?」

騎士団やギルドとは離れた場所で、ただ戦闘を傍観していた園生とかの姿が消えたと思った瞬間、

「ぐあっ!」

勝気の背中から血が噴き出した。


「クックックック。」

男は笑いながら勝気を足蹴にする。

「弱いものいじめはいけねえなあ、こんなに寄ってたかって。」

「おい。」

荒斬が男に刀を向ける。その瞳は殺気に満ちていた。

「おっと怖い怖い。ちょっとは殺気を隠したらどうだ?嫌われちまうぜ?例えば、こんな風に。」

「!」

男が指差した先には、拳を振りかざすキョジンの姿があった。

「くそっ!」

拳を紙一重で躱し、男に向き直る。

「オズマ!こいつは俺がやる。お前らはキョジンを迎え撃て!」

「うん、わかった。『パイプオルガン』!」

オルガンの音が響き渡ると同時に地面が揺れる。衝撃がキョジンのバランスを崩すと同時に、揺れた地面が勝気を砦の方へ押した。

「クックック。そんな器用なこともできるのか。」

「余所見すんじゃねえ!」

荒斬の一閃が当たる直前、男の姿が消えた。

「遅いな。クックック。」

「!いつの間に。」

男は砦の天辺に立ち、荒斬を見下ろす。

「さあどうする?主戦力のお前が俺に構っている間に、お前の仲間はどんどんやられてくぜ?」

嘲笑うような声色とは裏腹に、男の顔は全く笑っていなかった。

「そこまでだ。鉄仮面野郎。」

「ん?」

男が振り向いた先には、デンジャラスデザート、アルトガの姿があった。



「何であいつここに!?」

驚く龍牙の肩を、細身の男が叩いた。

「うわあびっくりした!」

「どうも、龍牙さんですね?」

「あ、はい。」

「私、ロイヤードと申します。フルコースギャングの幹部です。」

ロイヤードは懐から手紙を取り出した。

「ボスがこちらを。」

「手紙?どれどれ……」

手紙に目を通した後、龍牙は裏口から砦を出て行った。


「おいおいアルトガ。お前はうちのレボリューションの技術を提供してやってるだろ?邪魔すんなよ。」

「用がなくなりゃ用済みだ。もううちにレボリューションは要らねえ以上、お前の味方でも何でもねえよ。」

「そうかい。」

男はおどけたポーズをした後にキョジンの方を見た。

「で、何しに来た?俺がちょっとここの邪魔したくらいで、お前に損は無さそうだが。」

「嘘をつく時も鉄仮面は変わらねえんだな。」

「何?」

アルトガの一言で男の動きが止まる。

「気付かねえとでも思ったか?お前は自分とキョジンに最大限注意を引きつけて、本命はその後に隠してるんだろう?」

「でたらめだ。証拠でもあるのか?」

「証拠なら、」

その時、アルトガの後ろから影が飛び出た。

「これがそうじゃない?」

怪物の首を持った龍牙が出てきた。


時は数分前に遡る。

「おい、準備しろ。そろそろだぞ。」

騎士団ともギルドとも違う十数人の集団が砦の近くで待機していた。

「番号確認。1」「2」「3」「4」「5」「6」「7」「8」「9」「10」「11」「12」

「0」

「おい。ふざけてるとぶち殺…誰だお前。」

見たこともない顔に固まっている部隊長らしき人物を、龍牙は容赦なく殴り飛ばした。

「俺は『笑道化』、よろしく!もうやっちゃったけど!」

「て、敵襲!?」

「どこから情報が漏れたんだ?」

狼狽る隊員たちを一人、また一人と笑道化が殺していく。

「ちくしょおっ!やられっぱなしでいると思うなよ!」

隊員の一人がワニガメの様な姿に変貌すると、他の隊員たちも次々に姿を変えていった。

「いやーん怖ーい。手加減してよね?」

「誰がするか!」

飛びかかってくるワニガメ男を跳んで躱し、次に来た蜻蛉女の突進を受け止める。

「このまま突き落としてあげる!」

「いーやーだ、よ!」

笑道化が強引に体を捻り、それによってバランス感覚を失った蜻蛉女を叩きつける。

「今だ!」

そこに象虫女が割り込み、重いパンチを腹に打ち込む。

「ごっはあ!?」

勢いそのままに木に激突するも、笑道化はすぐに立ち上がり象虫女に向かっていく。

「私を砕けると思うな!」

そう言って防御の構えをとった象虫女を、笑道化は飛び越えた。

「あーらよっ、」

その時、

「え。」

巨大な鉄の拳が、象虫女を貫いた。

「脆いな。所詮虫か。」

拳を握り締めながら現れたそいつに、龍牙は見覚えがあった。

「げ!ゴリラロボ!」

「ゴリラではない!メタルボクサーだ!」

「全身鉄の化け物!?」

開いた口が塞がらないワニガメ男たちを尻目にメタルボクサーは笑道化に向き直る。

「さあ、一緒に来てもらおうか。」

「やなこった!」

そう言い放ち、笑道化がメタルボクサーの頭を蹴るが、ダメージは入らなかった。

「やっぱ硬いな〜こいつ。」

「俺の防御力を舐めるなよ!」

メタルボクサーが拳を突き出すと、笑道化は横に避ける。しかしその後ろにはワニガメ男達がいた。

「きゃっ!」

「ぎゃあああ!」

蜻蛉女の体が吹き飛び、ワニガメ男の頭が潰れる。

「なんちゅう威力だよ。………ん?」

笑道化は何かに気がつくと、近くの木を蹴り倒した。

「ムッ!」

拳で木を砕くメタルボクサー。しかしその隙に笑道化は追撃に出ていた。

「くらえー!」

「ガハッ!」

メタルボクサーの頭に、ワニガメ男の甲羅がめり込む。

「やっぱこっちの方が硬かった!」

そう言いながら笑道化が甲羅の腹面を蹴り、背面をメタルボクサーに打ち付けると、メタルボクサーの動きは完全に止まった。


「ていうわけで、あんたの部下は全員やっちゃったよ。」

「これでお前の計画は台無しだ。だが一つ聞かせろ。何でこんなことを企んだ?」

アルトガの問いに、男は笑っていた。

「『何で』だと?クックックック。人の行動全てに意味があると思うなよ、アルトガ。俺は『俺がやりたいこと』をやっただけだ。遊びだよ。遊び。」

「他人まで巻き込むなんて、随分と傍迷惑な遊びじゃないか。」

男はその言葉を嘲笑する。

「他人への迷惑?そんなもの考えて何になる?俺の心が傷つくか?俺の健康が悪化するか?財布の中の金が消えるか?クックック。ハハハハハハハ!」

男は高笑いすると同時に姿を消し、二度とその場に現れることは無かった。

今回やられたメタルボクサーはラグナに作られたメカで、稼働のためのエネルギーをササミやプロテインから取るなどボディビルダーのようなことをしています(メカなので効果はありませんが)。結局今回で鉄仮面男の正体は明かされませんでしたが、次回で明かす、と思います。以上、三十三話でした!

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