憂鬱と喧嘩
短いですが、三十二話投稿しました!
王都コルソテクの週末。人々で賑わう活気ある大通りに、一人沈んだ顔の男がいた。
「はあ…」
「ねえ龍牙、いつまで暗い顔してるの?」
「明日が終わるまで。」
「むぅ〜。せっかくの日曜日なのに…」
龍牙のテンションにノレアの機嫌まで悪くなる。
「ん?」
その時、龍牙は大通りの先に人だかりが出来ているのに気がついた。
「参ったな、帰り道が混んでる…すみません、ちょっと通りますね。」
迂回できそうに無いため、人混みを掻き分けて通っていると、人だかりの中央に、原因であろう二人が立っていた。
「ねえ龍牙、あれって荒斬さんじゃない?」
ノレアは片方しか分からなかったが、龍牙には二人とも見覚えがあった。
「…ちょっと行ってくる。先帰ってて。」
人だかりの中央では、男女が睨み合っていた。
「だから、ぶつかったことは悪かったって言ってんだろうが。」
荒斬の言葉に男は返す。
「うちのやつにぶつかっておいて『ごめんなさい』で済むわけねえだろ。出すもん出しやがれ。」
男の答えに荒斬の表情が変わる。
「てめえ…あんまり調子乗ってるとぶっ飛ばすぞ。」
男が不敵に笑う。
「やってみろよ。クソアマ。」
「あのー。」
「ん?」
割り込んできた龍牙を男が見下ろす。
「お前…この前の。」
「やっぱりアンタか。えーっと…なんとかかんとかのアルトガ。」
「『デンジャラスデザート』だ。」
「そうそれ。で、何でサールジニアに?」
「所用があってな。長居するつもりだ。」
「おい。」
二人の会話に荒斬が割り込む。
「龍牙。そいつと知り合いか?」
「ああ、紹介するね。この人はギャングのボスやってるアルトガさん。」
「宜しく。」
「誰が宜しくするか。」
「こっちからお断りだボケ。」
じゃあ何で言ったんだよ。
「まあいいや。何があったの?」
「こいつが俺の部下にぶつかったんだ。」
「俺は謝った。そしたらこいつら金出せって言ってくるんだぜ?」
「ギャングに迷惑かけたんだ。当然だろう。」
成る程。面倒くさい事態だということは分かった。
「金払わないと駄目?」
「駄目。」
「ここはオルトリオンじゃ無いのに?」
「どういう意味だ?」
「いやほら、アルトガさんのシマはオルトリオンでしょ?ここに来たばっかりでデカい顔出来るの?」
強面の大男が相手なので正直怖いがまあ荒斬がいるから大丈夫でしょ。
「…確かに、一理あるな。」
やったぜ。
「帰るぞ、ブルーマウス。」
アルトガが声を掛けると、後ろから青髭の男が顔を出した。
「わ、わかりやした。おい、女!覚えてろよ!」
いや穏便に済んだのにそれを言う必要はあるのだろうか。
「ちっ、ムカつく奴らだったぜ。」
「まあまあ、無事終わったから。帰ろうぜ。」
「そうだな。明日はキョジン撃退戦だからな。……どうした?」
全てうまく行ったはずなのに、龍牙の顔だけは死んでいた。
次回はキョジン撃退戦です。何かイベント入れようと思っていますが、何にしましょう。まあそんなわけで、龍の牙と龍の腕、三十二話でした!




