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龍の牙と龍の腕  作者: 干からびたナマコ
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心と誓い

皆さんどうも、干からびたナマコです!第二十九話、投稿しました!

爆発で発生した煙が、彼の頬を撫でる。

その肌は黒く、頭には皮膚が硬質化してできた三本の角が生えている。

体長は三メートル近く、他の生物とは似ても似つかぬ異常なまでに筋骨隆々とした体。

その「龍」の名はヴルトロス。世界を破壊するために生み出された兵器である。


「馬鹿な…」

満身創痍になりながらも爆発を耐えたバールが絶望の声を漏らす。自分は最悪の結果を招いてしまったと。

「…………ふわぁ〜お。」

そんなバールとは裏腹に龍牙「である筈のもの」は大きな欠伸をした。そして、

「…ーーーーーーーーーーー!!!!!」

眼前の敵に対して咆哮をあげた。

「そこまで、ですわ。」

「!!」

「ローザ!?」

上を見上げたヴルトロスとバールの視線の先には、ローザ、そしてラグナがいた。

「逃げるぞ、バール。」

「しかし、ヴルトロスは…」

「…チャンスはまだある筈だ。ローザ!龍牙を頼む

。それと…」

「分かってますわ。『生きて帰って来い』、でしょう?」

「…ああ。」

「ーーーー!!!ーーーー!!ーーーーーーーーーーー!!!!」

ローザに向かってヴルトロスが吼える。先程とは違う、怒りに満ちた咆哮だった。

「やっぱり、恨まれてますわね。…『ココン・ダ・モーレ』!」

ローザの掛け声で彼女の身体が黒のドレスに包まれる。ただの服ではなく、魔力で編まれた戦闘服だ。

「さあ、捕まえてごらんなさい!」

「ーーーーーーーーー!!!!!!!!!」


ヴルトロスの暴れる土地から少し離れた山をバールを背負ったラグナが歩いていた。

背負われてからずっと無言だったバールが、そこでようやく口を開いた。

「すまない。私の、せいで……。」

「…それは、うちのマリンマインのこともか?」

「……ああ。私が『次失敗したら自爆しろ』なんて馬鹿げたことを言わなければ、あいつは」

「バール。」

バールの話を遮ってラグナは続けた。

「お前は俺の部下を犬死にさせた。それは許さない…だから、あいつの死を忘れるな。もし自暴自棄になりそうだったら、あいつを思い出せ。あいつの死は無駄だったとしても…あいつの存在は無駄にはさせない。」

「…心得た。」

誰もいない山道で、その誓いは固く結ばれた。


「ーーーーー!!!ーーー!!」

「…そろそろ、頃合いですわね。」

ヴルトロスはローザよりも強い。回避と防御に専念してはいるが、それでも永遠には耐えられない。

故にそこそこ時間を稼ぎ、離脱する算段だったが、

「何だあの化け物は!?」

「あっちは悪魔か!?」

灯りを持って現れた集団はローザにとっては予想内だった。

「人間、ですわね。」

本来この世界の人々は満月の夜以外は出てこないが、ヴルトロスの攻撃の余波がコルソテクにまで及んだらしく、騎士団やギルド、少量だが野次馬も来ていた。

「何とおぞましい…!遠距離部隊、一斉攻撃!」

「おら!くたばれ化け物ども!」

騎士団とギルドの一斉攻撃がローザとヴルトロスを襲うも、両者対したダメージは入っていなかった。

「ーーーーーーーーーー!!!!!!!」

「こっちに来るぞ!」

「逃げろ!」

ヴルトロスが怒りの咆哮をあげ、人間たちに襲いかかる。

「迎え撃てー!」

「ーーー!!ーーーーー!!」

騎士やハンターたちの抵抗を難なく押し返しヴルトロスが蹂躙する。

「ーーーーー!!!」

「ひいっ!」

ヴルトロスが拳を振り上げ、眼前の騎士を潰そうとしたその時、

「待てやコラーーーーー!」

一人の女侍が、間に躍り出た。

「後は頼むぞ!」

「はい!」

少女を小脇に抱えて。


「龍牙…何処行っちゃったの。」

止まない地響きに起きたノレアは、家の中で姿の見えない龍牙を探し回っていた。

「何か外が騒がしい…今日は満月じゃない筈なんだけどな。」

そう呟きながら窓の外を見ると、ギルド内で見たことある顔が歩いていた。

「勝気さん!オズマさん!」

「おお、ノレアか。」

「どうかしたの?」

「龍牙見なかった?後、この騒ぎは何?」

ノレアの質問に二人は顔を見合わせ、互いに首を横に振ってからノレアに向き直った。

「龍牙は見てないが…この騒ぎはあれだ。地響きの原因を止めに行くんだよ。」

「原因?」

「そう。ここから結構離れた所みたいなんだけど、何かが暴れてるみたいなんだ。だから退治しに行くの…野次馬もいるみたいだけど。」

ここでノレアの頭に一つの考えがよぎった。

「私も行きます!龍牙がいるかもしれないし!」

「じゃ、俺が連れて行こうかな。」

「あ!騎士団の侍さん!」

「荒斬だ。名前覚えとけよ。さっさと着替えて来い。」

「はーい。」


「で、来てすぐに『私に考えがあります!』って言ったけど、策があるのか?」

「うん、任せて!荒斬さん達は動きを抑えて!」

「おう!行くぜ!」

そう言って勝気が飛びかかる。ヴルトロスの右脚に組み付くが、

「ーー!!」

ヴルトロスが振り解こうと暴れる。しかし勝気もただ闇雲に組み付いたわけでは無い。

「行くよ!」

オズマが楽器を取り出し音を響かせる。オズマの使う音楽魔術が、ヴルトロスの動きを阻害する。

「今だー!」

「ーー!!」

ヴルトロスの頭目掛けて飛びかかるノレアにヴルトロスの左腕が迫るが、

「させるかよ!」

荒斬がそれをいなしノレアを守る。ノレアはそのままヴルトロスの頭に抱きついた。

「よーしよし。もう怖がらなくて良いからね〜。」

「「………………………は?」」

その場にいた全員が動きを止め、棒立ちする。

「な、何をしている!」

「駄目!怖がっちゃうでしょ!攻撃禁止!」

「馬鹿か!?お前が死ぬぞ!?」

しかしその言葉に反してヴルトロスは動かない。

「…」

彼はゆっくり手を挙げ、ノレアを抱き抱えた。


「ーー!ーー!」

何かが、何かを言っている。何を言っているかはわからない。

「ーー!」

攻撃してきた。敵だ。殺す。当たり前のこと。

その龍は、そう考えていた。周りには敵しかいない。ならば皆殺しにする。

周りから見れば人殺しの化け物だと言うことなど、どうでも良いことだった。我慢などしない。意味がない故。

それは人の目から見たら冷徹な悪魔のように映るだろう。しかしその龍は、敵意を嫌い、

「ーー泣くほど辛かったんだね。よしよし。」

温もりを、欲していたのだった。

時間はあった筈なのに、めっちゃくちゃ深夜に投稿することになってしまいました。第二十九話は以上です!読んでいただき、ありがとうございました!

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