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龍の牙と龍の腕  作者: 干からびたナマコ
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面倒と最後の手段

色々あって一ヶ月ぶりの投稿になっちゃいました。干からびたナマコです。第二十八話、投稿しました!

正午のコルソテクの大通りを人々が行き交う。雲一つない空から降り注ぐ太陽光が気持ちいい。

「あ〜平和だ〜。」

ここ一ヶ月ギャルブリアの手先も来ないし、刺激は特にないけどやっぱり平和が一番だなぁ。

「急にどうしたの?龍牙。」

あ、ヤベ。ノレアと一緒なの忘れてた。

「い、いや、何でもない。独り言だ。それよりノレア、最近はその、あれだ、ええと…名無しの、ライダーさん?には会いに行かないんだな。」

…自分で名乗ったのに完璧に忘れてた。気をつけよ。

「会いに行きたいけど、仕事が忙しいからな〜。帰ってきたら寝ちゃうもん。」

「晩飯前まで起きてた試しが無いもんな。」

「でもその分早起きでしょ?」

確かに。ノレアと二人で暮らして始めてから一回もノレアより先に起きたこと無いんだよな。まあ俺は元々生活リズムは酷かったけど。孤児院でも一番起きるの遅かったからなー。

そんなことを考えてると、ノレアが袖を引っ張ってきた。

「ちょっとトイレ行ってくる。」

「りょーかい。じゃあここで待ってるから。」


そう言ってから、十分が経った。大の方だったかー。

「こっちの世界じゃスマホないしなー。ちょっとトイレの前まで様子見に行くか。」

ノレアが走って行った方向に向かっていくと、ノレアはトイレの前で男と喋っていた。誰だあれ。

「まあいいや、おーいノレ」

「いい加減にしてっ!!」

…ノレアの大声であたりが静まり返った。

「おいおい、そんなに嫌がるなよ。俺とデートしようぜ?な?」

あ、ナンパか。

「もしかして彼氏いる感じ?まあでも俺の方がカッコイイっしょ?だからさー」

「ストーーーーーーーーップ!!!」

全力で二人の間にスライディングで割り込みつつ叫ぶ。ナンパ男を止めに来た。のではなく…

「取り敢えず落ち着け、ノレア!」

ノレアさん。拳はアウトです。構えないで下さい。

「どいて、龍牙。」

ノレアはもうナンパするどころかそっとしておいた方が良いレベルの形相だったが殴ったらアウトなので取り敢えず落ち着かせよう。

「…拳、ダメ、絶対、だよ?」

「何、そいつが彼氏?ダッサイなー。俺に乗り換えなよ。」

礼儀なってねえなこいつ。俺が殴りたくなってくるわ。

「でも龍牙、この人が」

「こんな『駄目人間』の言うことなんて気にするなよ。」

「…………は?」

俺の言葉に男の声色が変わる。

「おい。お前今なんて言った?」

「あ、言ってほしい?『駄目人間』って言ったの?」

「ふざけんな!俺のどこが駄目人間なんだよ!」

少し煽り口調ではあったけどこんなにキレるとは思わなかった。正直うるさい。

「見ず知らずの他人のことを自分より下って決めつけるやつは基本駄目人間だよ。言葉には気をつけなた方がいいよ。」

「てめぇ、偉そうに。」

「確かに偉そうかもね。俺はあんたの言動からあんたを軽蔑してるか」

俺が最後まで言い切るより早く、男が俺を殴っていた。

「ふっざけんじゃねぇ!おらどうした?やり返してみろよ!ざーこ!」

最早レベル低すぎて笑ってしまいそうな煽りだが、まあ気にしてない感じでゆっくり立ち上がる。

「ちょっと、あなた…!」

「ノレア、大丈夫。」

「でも!」

ノレアは目に涙を浮かべているが、俺は後ろから迫ってくる足音の主に目を向けた。

「ですよね、騎士さん?」

「ああ。我ら騎士団の本拠地でもあるコルソテクで白昼堂々暴力とは、舐められたものだな。」

目を向けられた男の顔がサーッと青くなっていった。

「ま、待ってくださいよ。これは」

「説明などいらん。全部見ていたからな。行くぞ!」

そうして男は騎士に連れられて行った。

「よーし、一件落着!怪我は無いか?ノレア。」

「怪我してるのは龍牙でしょ!あ、その………ごめん。迷惑掛けちゃって。」

ノレアが下げた頭を頬を摘んで無理やり持ち上げる。

「わぷ!?」

「確かにすぐ手を出そうとしたのは駄目だったけど、お前は自分以外のために本気で怒ってただろ?それはとても良いことだ。」

「そ、それは当たり前だよ。龍牙は大切な家族だし。それに名無しのライダーさんはか、か、彼氏、なんだから…」

彼氏って言うだけでもこんなに照れるのか。余程気に入られているらしい。

「ていうか付き合ってたんだ。」

「う、うん。多分…」

まあそういう反応するよな。あの時は感極まってたけど、結局告白云々の話はしてなかったからな。

「服汚れちゃったし、帰るか。」

こうして俺らは家に帰り、晩飯を食べ、風呂に入り、ベッドでぐっすり…


その日の早朝、ギャルブリア帝国ではバールが一人叫んでいた。

「ローザめ、ふざけおって!何が『もう少しマシな作戦を考えて下さいな。あんなのでは私のやる気も無くなって当然ですわ。』だ!あいつが真面目に動いていれば今頃…!」

「荒れてるな。バール。」

「…ラグナか。」

「少し落ち着け。城の廊下で騒がれたらうるさすぎる。」

「だが!」

「確かにローザが撤退しなけりゃ捕らえられたかもしないが、最近お前の作戦が杜撰になってるのも事実だろ。龍牙の生死を問わなくても、あいつを回収したらまた追手が来るだろ。その時に兵たちをどう指揮するきだ?」

「うるさい!偉そうに指図するな!地位は同じでも私は指揮官だぞ!」

「だから落ち着け…行っちまった。…はぁ。」

一人取り残されたラグナは大きな溜息をついて自室に戻って行った。


「いざ眠ろうって時に誰だ?」

物凄い勢いで扉を叩きまくるなんて、非常識にも程がある。

「昼のやつかな?だとしたら面倒くさいな…」

ガチャ

蟻頭が立っていた…がなんか前と服装が違う。戦闘用じゃなくてこれは…配達員?

「郵便でーす。」

「待てや。」

何故いけると思ったのか。ノレアが爆睡してて起きなかったから良かったものの一緒にいたらヤバかったな。

「待て、戦いに来たわけじゃ無いんだ。」

「じゃあ何の用だ。」

「郵便だ。」

「…宗教勧誘はお断りしてるんで。」

ドアを閉めようとする俺を蟻頭が必死で止めてきた。

「違う違う違う!あれだよ、果たし状ってやつ!」

「誰から?」

「バール様からだ。」

バール…分からん。ラヴじゃ無いよな?

「でも、俺がわざわざ行くと思うか?」

「行かなかったらお前と同棲してる金髪美少女を殺すってパール様がこの手紙に書いてた。」

マジか…。

「わかった。行くよ。」

「よし、ついてこい。」


「おい、ローザ。」

ラグナがローザの肩を揺らす。すると彼女はゆったりと身を起こした。

「んー。なんですの?ダーリン。」

「バール見なかったか?」

「知りませんわ。気が触れて家出でもしたんじゃ無いんですか?」

適当に答えるローザとは違い、ラグナはかなり神妙な面持ちで考えていた。

「いや、もしかしたら、まさか…!」

ラグナの脳内に最悪のシチュエーションが浮かんだ。

「行くぞ、ローザ!」

「え!?は、はい!」

この不安が杞憂に終わるのを願うラグナだったが、現実は非情だった。


「来たな。川浪龍牙。」

コルソテクから結構離れた場所に位置する平原に、鎧を着た人物が一人立っていた。

「御託はいいからさっさと始めようぜ。と言っても、正直勝てるとは思って無いけど。」

「なら降伏したらどうだ?その方が助かるんだが。」

「断る。悪いが俺も抵抗はさせてもらうぜ。」

「そうか、残念だ…」

そう言ってバールは装備していた槍と盾をゆっくりと構えた。

「だが、戦う前に聞かせてくれ。お前らは俺をどうしたいんだ?」

「お前が身に宿している力は貴重なものだ。だから回収する。お前自身の生死は問わない。丁度拘束具が発動しているから、傷の治りも遅いだろう?」

龍牙が息を吐く。龍牙も傷の治りが遅くなった理由は察しがついていた。

「やっぱりか…じゃ、始めようぜ。」

そう言って龍牙は変身し、バールに飛びかかった。

「おらぁ!」

「ふっ!」

龍牙の攻撃を盾で塞ぎつつ、バールが槍の一撃を放つ。

「よっと!」

それを跳び上がって躱し、バールの頭に強烈な一撃が入った、が

「効かん!」

バールは物ともせず空中で身動きが取れない龍牙に槍を突き刺した。

「ガッ!」

龍牙が苦悶の声を上げる。瞬時に身を捻ったものの、右の脇腹が抉られていた。

「はぁぁぁ!」

バールが槍を構えとどめを刺さんと突進してくる。

「死んで、たまるかよ!」

そして龍牙は回避せず、バールに対して真っ向から向かって行った。

「言動一致していないぞ!気でも狂ったか!」

「いいや。いたって正常、さ!」

龍牙が僅かに右側に逸れる。それと同時に右の手を振りかぶっていた。

「くっ!」

バールが槍を横に振り、龍牙の左腕を貫き、吹き飛ばす。しかし龍牙はそれも覚悟していた。

「う、おおおおおおお!」

鎧の隙間を突くように右手の指で首筋を突き刺す。

「ぐあっ!」

バールが膝をつく。龍牙はそれを見て一筋の希望を見出していた。

「攻撃が通るなら、まだ、勝ち目はある!…!?」

その時、龍牙が左肩に熱を感じると、無くなった筈の左腕が再生していた。

「馬鹿な!?拘束具は効いているはず!」

驚愕するバールと対照的に、龍牙は思い当たる節が一つあった。

「成る程な。」

「くっ、だがまだ負けてはいない!貴様を捕らえれば済むこと!おい、お前!川浪龍牙を攻撃しろ!」

バールの指示で、配達員姿の蟻頭が突撃してくる。

「ふっ。丸腰一人増えても大丈」

「それはどうかな!」

バールが槍を振るうのを避け、蟻頭に向き直ると、龍牙はその勢いで拳を振りかぶった。

「ふんっ!」

「なっ!?」

次の瞬間、龍牙にバールが投げた盾が激突する。

「今だ!押せ!」

「はいっ!」

バランスを崩した龍牙に蟻頭が突進してくる。

「なんの!」

龍牙は蟻頭を押さえ込み、バールに投げつけた。

「このまま!」

「かかったな!」

ブンッ

流れるように蟻頭はバールに盾を投げ渡し、バールは即座にカウンターの構えをとる。それと同時に蟻頭が龍牙の足元に飛び出した。

「そらっ!」

バランスを崩し止まらない龍牙がぶつかる勢いに任せてバールはカウンターを決めた。

「どりゃぁっ!」

龍牙の腹を槍が貫く。バールの鎧を返り血が濡らした。

「ふんっ!」

バールが槍を振い龍牙を槍から外す。

「クソ……」

「残念だったな。これでまた監禁生活だ。」

近づいてくる蟻頭とバール。しかし、龍牙にはまだ策があった。

「おら!」

「なっ、ふっ!」

不意打ちに驚くもバールは即座に対応し槍を振る。その一撃がまたも龍牙の左腕を抉り取った。

「諦めろ、お前の負けだ。」

「断、る…」

そう言って龍牙はバールの懐に倒れ込んだ。

「気を失ったか。まあいい、連れて行くぞ。」

「誰が気を失ったって?」

龍牙が脚を組み付ける。そして右腕で左肩の断面を握り始めた。

「な、何をする気だ、貴様!」

「俺は左腕しか治らない。他は拘束具のせいで治せない。なら…」

龍牙の左腕が熱を帯び、今度は緑色の液体が溢れ始めた。

「ごらぁ!」

龍牙が断面に爪を立てる。苦悶の表情を浮かべながらも決して手は緩めない。すると龍牙の左肩にコブが出来始めた。

「エネルギーの流れを妨げたら、自爆するんじゃねえの?」

一瞬、龍牙の全身が熱を帯びた次の瞬間。

「止めろ!」

眩い爆発が、辺りを吹き飛ばした。

個人的に主人公が楽ばかりしてちゃ面白くないと気をつけながら書いているのですが、そのせいか主人公の勝率があんまり良くない気がします。まあそこは気にしても仕方ないか。と言うわけで龍の牙と龍の腕、第二十八話でした!次回もお楽しみに!

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