夜の街と名前
二十二話書き終わりました!干からびたナマコです!最近、冬なのに暑い気がしますが、めげずに頑張っています!
「マスター。オレンジジュースおかわり。」
「はい。」
「マスター。こっちもおかわり。」
「はいはい。」
ある日の仕事終わり、俺とノレアは久しぶりに酒場に寄っていた。
「前に来てから随分と間が空きましたね。」
オレンジジュースを差し出しながらマスターが言う。
「まあ、色々あったんですよ。」
ジュースを飲み干しながら質問に答える。横にいるノレアも飲みながら頷いた。
「ていうか、龍牙はまだそんなもの飲んでるの?」
「いやそんなものって、お前もオレンジジュース…」
じゃない!?
「ふっふーん。私はもうオレンジジュースは卒業したの。そんなもの飲むお子ちゃまじゃありませーん。」
ノレアがドヤ顔でコップをちらつかせる。
「はいはい。大人大人。」
「龍牙さん。もう少しかまってあげたほうが…」
軽くあしらわれたのが悔しかったのか、ノレアは拗ねてそっぽを向いていた。
「あー、ノレア?拗ねてるとこ悪いが、もう行くぞ?」
「まだ飲み終わってない。…ゲホッゲホッ!」
どうやら残った飲み物を無理に一気飲みしてむせてしまったようだ。ドジなんだから。
「後は俺が飲むよ。」
ノレアが飲んでた液体は…茶色か。麦茶にしてはちょっと濃いな。
「これ何のお茶だ?……グビグビ」
……………………苦っ!
「それアイスコーヒーだよ。」
「それ、もうちょっと早く言って欲しかった。」
しかもブラックだし。
「龍牙はコーヒー飲まないの?」
「飲めはするが…美味しいとは思わないな。」
「そうなの?こんなに美味しいのに。」
意外だ…ノレアがコーヒーをブラックで飲めるとは。
そして龍牙とノレアが家に帰り、夜も更けたのだが、
「眠れなーい。」
「カフェインの摂り過ぎだな。」
ノレアはコーヒーを飲んだせいで眠れず、家の中を歩き回っていた。
「ふぁぁ…眠。先に寝るぞ。」
「うん、おやすみー。」
全く寝る気配のないノレアを残して、龍牙は自室へ入っていった。
「暇だなぁ…お散歩してこようかな?」
思い立つが早いかそそくさと家を出ていくノレア。しかしそんな彼女を狙う不穏な風が吹いていた。
「ちょうど寝れそうだったのに、トイレに行きたくなっちまった。」
自室を出て、トイレに向かう。リビングにノレアの姿は無かった。
「あいつももう寝たのか。良かった。」
トイレで用を済ませ出てくると、違和感に気付いた。
「…あいつ、寝てるよな?」
嫌な予感は的中した。ノレアの部屋には誰もいなかった。
「あいつ、どこにいったんだこんな夜中に。」
無用心にも程がある。ギルドと王政の険悪ぶりからして、無用心なノレアは格好の的だろう。
「…あれ使うか。」
俺は家の裏手に回った。そこにはギャルブリアから盗んできた大型の二輪が停められていた。
「こいつ、何て呼ぼう。」
まあ名付ける必要は無いんだが。折角マイバイクを手にしたんだから名前くらいつけたい。
「うーーーん…………よし決めた!グレートパンサー!略して『Gパンサー』だ!」
特に深い意味は無い!でもそれっぽいから良いや!
「変装も済ませたし、行くぞ!Gパンサー!」
こうして俺は夜の街に繰り出した。
「まさかこうも簡単に捕まるとはな。」
「ああ、所詮は子供か。」
そう言いながら厳つい男2人がノレアを取り囲む。ノレアには、特殊な造形の手錠がはめられていた。
「離して!」
「そうはいかん。この国発展には、お前たちギルドの面々は邪魔でしか無い。」
「…お前らほどでは、無いと思うがな。」
突如投げかけられた言葉にその場にいた全員が振り向く。そこには、フルフェイスの男が立っていた。
「『これ』は音がほとんど出ないから便利だな。」
フルフェイス男は後ろに置いた大型の機械に手を置く。それは男たちが知る文明の力を遥かに超えていた。
「貴様、キョジン撃退戦の時の!」
「ああ、あの幼稚な茶番劇を終わらせたな。」
「貴様…!無礼だぞ!」
顔を赤くして怒鳴る男を、フルフェイス男は鼻で笑った。
「成る程。つまりそこそこの偉い奴がバックにいるんだな。」
「な…あ…!」
「こいつごと始末すれば良い話だ!やっちまうぞ!」
「おう!」
そう言って男たちは飛びかかるが、フルフェイス男は常人離れした跳躍力で横に跳び、そのまま建物の壁を蹴って突進した。
「うおっ!?」
男の1人が吹っ飛ばされる。しかしもう1人が空中のフルフェイス男を狙い拳を飛ばす。
「おらぁ!」
鳩尾に拳が差さり、フルフェイス男が吹き飛ぶ。
「ぐっ…………まだだ!」
飛びかかる男をいなし、そのまま腕と首を掴んで地面に叩きつける。男は頭から地面に突っ込み、そのまま気絶した。
「ふぅ………。」
「あ、あの…」
ノレアがフルフェイス男に声を掛ける。フルフェイス男は何か考え事をしているようだった。
「ん、何だ?」
「あ、いえ、助けていただいて、ありがとう、ございます。」
「そんなにかしこまらなくて良い。ついこないだ、お前に諭されたばかりだろう?」
「は、はい…。」
ノレアは返事をしながらも、顔を赤くしたまま俯いている。
「取り敢えず、手錠外すぞ。鍵は?」
「あ。多分、あの男の人たちが。」
「そうか…おい!」
フルフェイス男は意識のある男の胸ぐらを掴み、そのまま続けた。
「手錠の鍵は?」
「教えるものか…………!」
「そうか。」
そう言って男の後頭部を殴り気絶させると、フルフェイス男は男のポケットから鍵を探し出した。
「あったぞ。」
カチャリ。錠が外れ自由の身になったノレアは、フルフェイス男に抱きついた。
「ありがとうございます!」
「…さっきまでの照れっぷりはどうした?」
「え…あ…その……良いんですよ!別に!」
そう言ってノレアはフルフェイス男の腹に顔を埋める。そんな彼女の頭をフルフェイス男は優しく叩いた。
「そうだ。言っておきたいことがある。」
「何ですか?」
ノレアは抱きついたまま顔を上げた。
「俺の名前をまだ言ってなかったな。」
「あ…………確かに。」
「言っておこう。俺の名は」
後にこの名は、この国だけでなくこの世界全てに知られることになる。
「『名無しのライダー』だ。」
名無しの「ライダー」とかバイクに名前付けてるとか色々仮◯ライダーっぽいですが、別に意図した訳ではありません。まあ、仮面ラ◯ダーは大好きですけどね。アマゾ◯ズとかオススメですよ。と言うわけで、「龍の牙と龍の腕」第二十二話、読んでいただきありがとうございました!




