プリモとセコンド
年末が着々と近づいてきてますね、干からびたナマコです。第二十話、投稿しました!
「今日でオルトリオンともお別れかぁ。」
ノレアが青空を見上げながら呟く。
「もっと色々見て回りたかったなぁ。」
「まあ、もう仕事は終わったしな。これ以上長居する理由が無い。」
「龍牙が一日で終わらせたからね。」
まだ根に持ってたのか…。と言っても、ノレアも半分おふざけのつもりらしい。怒ってるふりをしているが、口角が少し上がっている。
「いや、でも、不可抗力じゃね?倒しちゃったもんは。」
「ふーんだ。」
ノレアが頬を膨らませてそっぽを向く。俺は無言でそのほっぺを突いた。
「プフッ。やったな〜、えいっ!」
ノレアが仕返しに俺の頬を突く
ズゴォォォォン!
…と同時にそんな音がした。
「ノレア、何の魔法だ?」
「いやいやいや、私じゃ無いよ!?あっ、ほらあれ!あれだよ!あそこの煙!」
ノレアの指差す方を見ると、街の一角から煙が上がっていた。
「行こう、龍牙!」
「おう!…ってノレア、荷物!忘れてるぞー!」
「邪魔にゃ。そこどくにゃ。」
「ブルル。俺らフルコースギャングの縄張りで随分と偉そうにしやがる。貴様、何者だ。」
「そんなのお前が知る必要ないにゃ。別にお前らと戦う気はないから早くそこどくにゃ。」
「そうはいかん!貴様からは厄介な匂いがする。放って置いたら面倒方を起こすだろう。そうはさせんぞ、ブルル!」
…なんか猫みたいな人と牛みたいな人がいる。
「なあ、ノレア。あの人たち誰かわかる?」
「ブルル!?」
俺の言葉に牛っぽい人が反応し歩いてくる。まさか、地雷だったか?
「おいお前、俺が誰だか知らないようだな。」
「はい。余所者なんで…」
下手に知ってるフリするとややこしくなるから正直に言ってみたが…どうだ?
「成る程。じゃあ覚えとけ!俺はフルコースギャングギャングのコンビ幹部『ピアット』の一人、ワイルドセコンド、ブルタだ!ブルル!」
「成る程、ブルタさんですね。」
良かった。知らない人を片っ端から打ちのめして悪名あげるような人じゃなかった。
「チッ。まさかここで鉢合わせするとは、運が悪いにゃ。」
今舌打ちした猫っぽいのは…まさかギャルブリアからの追手か?
「セコンド様、やっちゃって下さい!」
「頑張れー!ワイルドセコンドー!」
………ん?
「あのー、ブルタさん?」
「なんだ?」
「ギャングだけじゃなくて、一般人からも応援されてる気が…。」
「…まあ普通はギャングはただの暴力集団だが、俺らは違う。俺らは警察の代わりみたいなもんだ。市民の抵抗が少なすぎて最近はカツアゲも集金みたいになってきてるぞ。まあその分政府とは仲が悪いが…。」
「非合法の自治区みたいな感じですか?」
「そうだな。大体そんなところだ。」
「おい、ワイルドセコンド。」
先程までしなかった声に振り返ると、金髪ロングの美女が立っていた。…足でさっきの猫みたいなのを抑えて。
「何をもたもたしているのだ。見てられんから私がシメといたぞ。」
「ブロンドプリモ、来ていたのか。…ああ、紹介しよう。『ピアット』のもう一人、ブロンドプリモ、バラーバだ。」
「勝手に紹介するな!全くお前はいつもいつ」
「すごい美人なお姉さん!私、ノレア・アルマノリアって言います!よろしくお願いします!」
バラーバさんの言葉を遮ってノレアが飛び出てくる。ノレアって美人なお姉さんが好きだったのか。
「え………ま、まぁこちらこそ、宜しく。」
バラーバさんが赤面する。怖い人かと思ったけど、意外と褒め言葉に弱いんだな。
「む?ところでバラーバ、さっきの敵は?」
「あ。」
バラーバさんの隙をついて猫みたいなのは逃げ出していた。ボロボロのためゆっくりだが、結構距離を取られている。
「やばい、逃げられる!」
「落ち着け、小僧。さっきは見せれなかった俺の力、見せてやる!ブルル!」
ブルタさんが力むと、こめかみから角が生え、全身が茶色の毛で覆われた。これって…
「牛!?」
「いかにも!俺はバイソンのレボリューションだ!ブルル!」
…レボリューション?
「ノレア、レボリューションって何?」
「え………知らない。」
「教えてやろう!レボリューションとは、動植物の力を備えた改造人間のことだ!ブルル!」
ヘー、改造人間。そんなのあるんだ。
「いくぞ猫もどき!」
ブルタさんは猫のようなやつに全力で突進し、勢いそのままに吹き飛ばした。
「にゃぉぉぉぉぉ!?」
「地平線の彼方までぶっ飛べ!ブルル!」
「じゃ、私たちはこれで。お前らも気を付けて帰れよ。」
「あ、はい。ありがとうございました、助けていただいて。」
ノレアと二人でお辞儀すると、バラーバさんは手を振っていた。
「じゃ、俺らも帰るか。」
「うん。」
「どこで道草食ってたんだぁぁぁぁ!」
俺らは集合時間に十分ちょい遅れてしまい、勝気に怒られていた。
「いやちょっと、ギャングの抗争?に巻き込まれて。」
「お前らなぁ。そういう時はすぐに離れろ。危ねぇだろ。」
「すみません。」
「ごめんなさい。」
「…まあ、十分くらいなら誤差の範囲だからスケジュールとかには問題ないけどよ。次から気を付けろよ。」
こうして閉まらないオチで、俺らのオルトリオン生活は終わったのであった。完。
最後の完は、龍牙の心の声です。年末が近づいてみなさんも忙しいかもしれないけど、お互い頑張りましょう!「龍の牙と龍の腕」、第二十話でした!




