フルコースとバイキング
どうも、干からびたナマコです。第十九話、投稿しました。
ギャルブリア帝国から脱出し、何とか帰って来れたのに…
「次の日から仕事かよ!」
「しょうがないじゃない。お休みはとっくに終わってるんだから。」
揺れる船の上で嘆いていると、ノレアが横にやって来た。
「でも、この船どこに行くんだ?」
「オルトリオン合衆国よ。」
「…………それ、外国じゃね?」
サールジニアの人は日本語喋ってたけど。オルトリオンの人はどうなんだろう。
「言葉は通じるのか?」
それを聞いたノレアが不思議そうに俺の顔を見た。
「言葉って、日本語以外の言葉があるの?」
「…いや、無いならいい。」
「?」
この世界でも日本語って言うのか?でも全く同じ名前の国があるとは思えないし…まいっか。帰ったら荒斬辺りに聞いてみよう。
『間もなく、オルトリオン合衆国です。』
「お、着いたみたいだな。」
窓の外を見ると、中々に発展した街並みが見えた。
「結構発展してるんだな。」
「うん。ただ、私たちがお泊まりする町ってギャングが幅をきかせてるんだって。」
「…何で新入りの俺らがそんな危険なとこまで?」
「ギルドの偉い人たちは、新入りの私を大活躍させて、民衆からの印象を良くしたいんだって。」
「あー、なるほど。『うちにはこんな凄い奴がいますよー。頼りになりますよー。』ってアピールしたいんだな。」
「ま、上手くいけばギルドでデカい顔出来るだろうし、頑張らなくちゃ!」
そう言えば前もそんなこと言ってたな。だけど、
「どんなに偉くなっても何から何まで我儘に出来ることは無いと思うぞ?」
「えっ」
「ノレア様、龍牙様、着きましたので早く船から降りて下さい。」
「あ、はい。」
「…」
ショックで固まったノレアを連れて、俺らはオルトリオンに足を踏み入れた。
「おらぁ、覚悟しやがれ!」
ギャングの下っ端の拳が飛んでくる。
「危ね!」
すかさず横に躱すと、下っ端の腕と襟を掴む。
「こうだったっけな…背負い投げ!」
テレビで見ただけだけど、何とか成功し下っ端を地面に叩きつける。受け身は取れなかったらしく、頭を打って気絶していた。
「ノレアのやつ、またはぐれやがった。」
ノレアはあの後「腹いせに今回の獲物ぶっ飛ばす!」と言って作戦開始と共に森に突っ走って行ってしまった。それを追って入ったはいいが、結局見つからず今に至る。
「それにしても、本当にギャング多いな。これでもう五人目だぞ?」
幸いにも一人でうろついてるやつばかりだから何とかなっているが、徐々に体力は減って来ている。
「えーっと、今回のターゲットは鳥だったよな……あ、あったあった。」
「風の鳥」バルホーク。手帳に書いた事前情報だとこの森にいるらしいが
「森、広すぎだろ。」
もう少し何処にいるか特定して欲しかった。
「…海岸まで来てしまった。」
森のすぐ横は海岸か。おー、鳥が飛んでる。ん、あれってまさか…。
「キュオーーーーーーン!!」
甲高い鳴き声が海岸に響く。あれは間違いなく
「バルホークじゃねぇか!」
周りには誰もいない。だったら、変身してもいいよな!
「フーー!レッッツ、パーーリィーー!」
よっしゃあ、テンション上がって来たぁ!もうこれで怖いものはない!
「キュオーーン!」
急降下してくるバルホークにを受け止めることは出来ないから、飛び道具で何とかしよう。
「丁度ここ、砂浜だしな。…………わぷっ!」
砂を取ろうとしたら飛んだ砂が顔にかかってしまった。
「…………あれ?あの鳥は?」
「キュオ、キュオ、キュオオン」
上を見るとバルホークはフラフラとこちらに落下してきていた。
「お前らか、俺の島を荒らしてんのは。」
声のした方に振り返ると、屈強な男がこちらに歩いて来ていた。
「下っ端が世話になったな。」
「あんたは…ギャングの人?」
「クッ、ククク。おい、笑わせるな。」
あれ、変なこと言った?
「俺はここら一帯を牛耳る『フルコースギャング』の頭領、『デンジャラスデザート』、アルトガ。この俺を知らねえでオルトリオンに入るとは、珍しいやつもいたもんだ。」
オウッフ。いきなりボスかよ。
「何の用でここに来た?政府の手先か?」
「いや、違うよ?俺らはサールジニアから来たの。あの鳥を狩りに。」
俺が鳥を指差すと、アルトガは納得したように頷いた。
「なるほど。じゃあウチの奴らが迷惑かけたってわけか。悪かったな…チッ、無駄足踏ませやがって。」
おお〜怖。刺激しないうちに帰ろっと。
「その鳥、持ってっていいかい?」
「構わねぇ。さっさと」
喋るアルトガに、横から大波がかかった。
「え………?」
海の方を見ると、巨大な蛸がこちらを見ていた。
「ク、クラーケン!?」
いや、あれは確か…やっぱり手帳に書いてた!えーっと…………
「『海の魔物』パイチェトス。…いやこんなの近くにいたの!?」
よく合わなかったな!いや出来ればここ付近にいるって知らないまま帰りたかった!
「…………クソ蛸が。」
あ、ヤバイ。アルトガがやる気だ。でも、勝てるのか?丸腰だけど。
「グオオオオオオオオ!」
パイチェトスが咆哮する。蛸って鳴くんだ。
「ウルセェんだよ!『エスプレッソ』!」
するとアルトガが構え、拳を突き出した。
その瞬間轟音と暴風が発生し周囲のものを吹き飛ばした。
「ふぅー、ざまあみやがれ。」
パイチェトスは完全に吹き飛ばされたようで、影も形も無くなっていた。
「あの鳥持っていっとけよ。じゃあな。」
「あ、うん。」
アルトガ、洒落にならない強さじゃん。
「…むぅ。結局龍牙が狩って来ちゃった。」
「いやまあ、運が良かっただけだよ。」
あの後下っ端がやってきてアルトガのことは内密にと言われたので俺が運良く狩れた、ということにしている。その方が俺も宿った力についてボロが出にくい。
「それよりノレア、またはぐれやがったな。というか、俺置いて行きやがったな。」
「う…ごめんなさい。」
ノレアが素直に頭を下げる。前は拗ねることが多かったから大きな進歩だ。
「ちゃんと謝ったから許す。でも、気を付けろよ。」
「はぁい。」
「よし、説教は終わり!飯だ飯だ!」
ドアを開けると、豪華なバイキングが俺らを迎えてくれた。
「美味しそう!!」
「確かに。さ、沢山食おうぜ!」
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