出会いと始まり
第一話を投稿しました!残念ながらまだ戦闘シーンはありません。次回までお待ちください。
どれぐらい走っただろうか。既に体力は限界に達していたが、捕まれば奴隷になってしまう。そうなりたくない一心で足を動かし続けていた。
下り坂に差し掛かった時、坂の先に集落が見えた。それと同時に離れていく足音。逃げ切った安心からか、全身の力が抜け坂を転げ落ちる。だが、もう起き上がる体力も残っていない。この集落の誰かが見つけてくれることを願いながら、俺は静かに目を閉じた。
…ああ、腹が減った。いや、それよりも喉が渇いた。その上全身がヒリヒリする。火傷でもしたか?いや、この際そんな事はどうでもいい。とにかく水が飲みたい。水は何処だ。水は…
「…………はっ。ハア、ハア…」
またあの悪夢だ。しかも前より鮮明になっている。そのせいか、着ている服が汗で濡れていた。
「…ここは、何処だ?」
寝ていたベッドから起きて自分の状態を確認する。服も着ていたパジャマではなく、もっと新品そうなものになっている。汗で濡れてシワシワになってしまってはいるが。
「あ、目が覚めたのね!」
声のした方を見ると、可愛い女の子が二人分の飯を持ってきていた。
「一緒に食べましょ。」
正直身元不明の男に対して不用心すぎて心配になるが、まあ俺は何もしないから大丈夫。
「ありがとう。悪いね、返せるものもないのに。」
「あら、そんなもの必要ないわ。人を助けるのは当たり前よ。」
「君が見つけてくれたのか?」
「うん、朝の散歩をしていたらあなたが倒れているのを見つけたの。」
「あ、自己紹介を忘れてたわ。私はノレア、よろしくね!」
「川浪 龍牙だ。よろしく。」
お互いに自己紹介を済ませた所で、ノレアが持ってきてくれた朝ご飯を食べる。
「ウメェ。」
思わず声に出してしまった。だが本当に美味しい。
「本当!?よかった。それ、私が作ったの。」
「そうなのか、それならお前に朝ご飯を毎日作ってもらいたいぜ。」
「えっ。」
「え?」
俺の言葉にノレアの顔が真っ赤になる。いや、俺なんか変なこと言ったか?…あ。
「すまん。普通に美味しかったて伝えたかっただけだ。何も下心とか無いから。」
「もう、びっくりした…」
「まあ、ノレアみたいな可愛い女の子だったら大歓迎だけどな。」
その言葉でノレアの顔がさらに赤くなる。可愛い。
「ははは、トマトみたいになってる。」
「もう!からかわないで!」
そうしてノレアと仲良く談笑した所で、俺はノレアに聞いた。
「なあ、魔法って知ってる?」
「え、はい。私も使えるけど。」
その一言で俺は確信した。俺は異世界に来てしまったらしい。俺はダメ元でノレアに聞いた。
「ノレア。異世界って、信じる?」
「え?信じるも何も、つい最近王都の魔術師さん達が存在を証明したよ?」
まじか、王都の魔術師スゲーな。
「もしかして、龍牙さんは異世界から来たの?」
「あー、まあ。来たっていうか、起きたらいた。」
俺は、これまでの出来事をノレアに話した。
「へー、大変だったんだね。ところで龍牙さん、これからどうするの?」
それな。本当それな。俺このままじゃヤバイんだけど。
「行くあてがないなら、私と一緒に王都に行かない?私、そこでギルド所属の魔術師として働くの。」
「是非同行したいけど、お前、魔術師になるのか?」
「うん。だって私、昔から才能があるって言われてて、魔術師になるって決めてたの。」
ノレアが自慢気に語る。やはり人に誇れる才能があるのは嬉しいことなのだろう。
「じゃ、一緒に行かせてもらおうか。出発は?」
「明日の朝よ。」
「わかった。ところで、俺服とかその他諸々持ってないんだけど…」
「大丈夫!お兄ちゃんのお下がりがあるから!」
まじか、ありがてぇ。
こうして、俺の異世界生活が始まった。
「龍の牙と龍の腕」第一話を読んでいただきありがとうございます!次回からようやく戦闘シーンが書けます!読んでくれている皆さん、楽しみにしていただければ幸いです!




