更なる力と帰還
最近忙しくてキツいっす、干からびたナマコです。「龍の牙と龍の腕」更新しました!
「…何とか、コルソテクの近くまで来れたな。」
荒斬がげっそりとした顔で呟く。
「確かにー。チョー疲れたっての。」
「…………は?」
いつもの龍牙より明らかに「高い」声に荒斬は驚きながらも刀を構える。
「え?ちょいちょい、どうしたんだよ。」
「お前、自分の名前言えるか?」
目の前の「全身が鱗に覆われた」何者かは目を丸くした後に、微笑みながら言った。
「いや、川浪龍牙だけど?」
コンコンコン。玄関の扉を叩く音が聞こえる。
「…誰だろう?」
お祈りをやめて玄関に向かおうとすると、アルマノス様が私を止めた。
『ノレア。言い忘れていましたが、どんなに信頼できる人にも、私の存在を教えてはなりません。』
『他人に私の存在が知られたら、その分敵に見つかりやすくなります。絶対に、言ってはいけませんよ。』
「はい、わかりました。」
『良い子ですね。さ、行ってきなさい。』
その言葉を最後に、アルマノス様の気配が消えた。
コンコンココンコンコココンコンコンココン。
…玄関の扉がやけにリズミカルにノックされている。誰だろう?
「はーい。今出まーす。」
扉を開けるとそこには、
「えーっと、取り敢えず…ただいま。」
「龍…………牙?」
龍牙が立っていた。
「うん。龍牙だよ。」
何日もいなかったからこっちも心配したけど、思ったより元気そうで良かっ
「ああああああああああああ!龍牙ああああああああ!」
抱きついてきたノレアが腹部にめり込み、思考が強制的に中断される。鳩尾に綺麗な頭突きが決まっていた。
「ああああああ!ああああああああああ!」
ノレアが号泣しながら抱きしめてくる。でも正直それどころじゃない。腹痛ぇ。
「ゴフッゴフッ……悪いな、心配かけて。」
「悪いなじゃないわよおお!もおおおお!」
ノレアがポカポカ殴ってくる………いやポカポカじゃねえ、結構本気で殴られてる!
「ちょ、ちょっとノレア、痛い!」
「あ……ごめん。」
ノレアは一頻り泣いて落ち着いたらしく、その場にペタンと座り込んだ。
「でも良かった…………帰ってきて。」
「ああ、帰ってこれて俺も嬉しい。」
「でも、何で誘拐されてたの?」
「それは…………」
龍牙たちが帰ってくる前夜、コルソテクの外れの森で、荒斬と龍牙が話していた。
「変身解除はできるか?」
「えーっと…………ほい、できた。」
全身鱗の爬虫類人間は、たちまち龍牙の姿に戻った。
「成る程。本当に龍牙だったんだな。」
「いやずっと一緒にいたじゃん。」
「まあそうだが、それにしてもあの姿だったら疑うだろ。」
「まあ、確かに。」
「色々確認するぞ、お前の身に何が起きたのか。」
「え、どこで?」
龍牙があからさまに「面倒くさそう」といった顔をする。荒斬はそんな龍牙を刀の鞘で叩いた。
「今ここで、軽く調べるだけだ。」
「それなら良いや。」
「じゃあまず、前の姿にはなれるか?」
「ちょっと試してみる。」
そう言うと龍牙はいつも通りの、左腕が鱗に覆われた姿になった。
「いつもの姿にはなれるんだな。」
「ああ、そうみたいだ。」
「じゃあ、さっきの姿になってみろ。」
「できるかな…?」
龍牙が不安になりながらも変身を試みると、全身が服ごと鱗に覆われ、全身に鎧のような何かが出現した。
「おおー!すげぇすげぇ!」
龍牙は全身をペタペタ触ってみる。荒斬もその姿をまじまじと見つめていた。
「その鎧っぽいの、左腕の部分だけ壊れてないか?」
「え、マジ?」
龍牙が左腕を確認すると、確かに鎧の鎖が千切れており、その上左腕に緑色の亀裂が走っていた。
「なんだコレ?光ってるけど。」
「そういえばいつもの姿も左腕だけ変わってるな。なんか心当たりはないのか?」
龍牙は数秒顔をしかめたが、すぐに閃いたように顔を上げた。
「そうだ!蜘蛛野郎が俺の左腕斬りやがったんだ!」
「その時に左腕の鎧も外れた……のか?」
「そうなんじゃね?ま、俺の記憶違いだったら全部水の泡だけど!」
「…お前、その姿になってからなんか煩くねえか?」
「確かに、自分でも思った。なんかこの姿、テンション上がるんだよね〜。」
「成る程な…あと、お前なんかデカくなってないか?」
荒斬の言う通り、龍牙の身長は明らかに大きくなっていた。
「本当だ、どうりでさっきから荒斬ってこんなチビだったけと思うわけだ!」
「…まだ調べたいことはあるが、取り敢えず家に帰れ。ノレアが心配してるぞ。」
「このバイクはどうする?」
「欲しいならやるが、いるか?」
「いる!カッコいいし!」
「ならやる。政府側には俺が話を通しておく。」
「じゃあ気兼ねなく街中を乗り回しても良いんだな、やったぜ!」
「それは止めろ。」
「まあ色々あったけど、荒斬が助けに来てくれたおかげで何ともなかったよ。」
「何ともなかったなら良かった。じゃあ、朝ごはんにしましょ!」
ノレアが元気良く台所に走っていく。その後ろ姿を見て、帰ってこれたことを改めて感じた。
「そうだな。ところでノレア、朝ごはん何するんだー?」
この事件、まだ終わりとはいかないだろうけど、一時休憩、と言ったところだな。
やっと龍牙が強くなった…。長かった、と思ったけどまだ十八話ですね。小説書くのって大変です(汗)。




