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龍の牙と龍の腕  作者: 干からびたナマコ
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限界と狂気

第十四話!投稿しました!

木々の生茂る山の奥で、命をかけた逃走劇が繰り広げられていた。

「いたか?」

「西にはいなかった。南を探すぞ。」

束の間の休息。思うような力が出せず、一匹の獣は岩陰で息を潜めていた。

「見つけたぞ。」

声のした方を獣が向くと、そこには鎧を着た騎士が立っていた。

「逃げ出せると思うなよ。お前はジョーカー様の僕だ。」

「ヴゥゥゥルルル…」

獣が唸る。騎士の言葉を否定するように。

「威嚇のつもりか?負け犬が。」

「…いや、勝ちだよ。」

突如聞こえた新たな人の声。その声が聞こえると同時に白銀の騎士が獣の前に躍り出た。

「お前らの手から逃れる。っていう意味ではな。」

「貴様、何者だ!」

「ガァァウ!」

見境無く飛び掛かる獣を、騎士は片手で受け止めた。

「無茶すんな。ほれ、行くぞ!」

そう言うと、白銀の騎士は獣を突き飛ばす。突き飛ばした掌には青白い光が宿っていた。

「向こうで、また会おうな。」

「…貴様ぁぁ!」

鳴り響く金属音。しかし獣はその音を聞く前に、すでに姿を消していた。


「…夢か。」

前によく見た夢の続きだろうか。最近見ないと思ったらまさか続きが出るとは。

「にしても、」

あたりを見渡す。俺がいる部屋はどう見ても知らない場所だ。

「ラヴの仕業だよな…」

思い返すとあまりにも迂闊だった。相手のペースに押されがちな弱い自分が出ていた。

「…………でも」

あんななんともないような顔で嘘をつき、簡単に裏切ったアイツに恨みが湧いてくる。一発殴らなきゃ、いや、それよりももっと痛めつけて…………

「いや、落ち着け。そんなこと考えてる場合じゃない。」

今はこの状況をどうにかしなくては…………

「入るぞ。」

その声と共に男が一人入ってきた。服装はかなりラフで、とてもこの部屋には似合わない。

「ラヴの仲間か。」

「…ああ。」

「何しにきた。」

「…もう時期お前は連れて行かれる。」

「何処に?」

「ジョーカー様のところに。」

『ジョーカー様の僕だ。』

「…………っ。」

「…戻ってるのか、記憶が。」

男が顔をのぞいてくる。

「やっぱ、ただの夢じゃなかったか。」

「…知りたいか?お前の過去。」

「ああ。…知りたいに決まってるだろ!」

男の胸ぐらを掴む。男の服越しに爪が掌に食い込んだ。

「なんなんだよお前ら!人のこと散々追い回しやがって!もう、もう…」

「自分を騙すのも限界なんだよ!」

幾ら超人だなんだとポジティブに考えても、限界はある。頬を伝う涙がそれを証明していた。

「…すまない。」

とても自分勝手に人を追い回していた奴らとは思えないしおらしさに思考が止まる。

「亜守斗様。ジョーカー様が早くしろと。」

ちょうどその時、蟻頭の兵士が部屋に入ってきた。

「…わかった、すぐ着替える。」

「おい、説明は」

「後でする。…いや、ジョーカー様が話すか。…龍牙、最後に一つ言っておきたい。」

「なんだ。」

「ジョーカー様は病んでしまっている。…本当は、優しいお方なんだ。」

そう言い残し、亜守斗は去って行った。

「おい、行くぞ。」

…こいつだけなら倒せそうだが、今はやめとこう。どんな化け物がここにいるか分からないからな。


そして、ついたのは大きな広間だった。

「ジョーカー様、ヴルトロスを連れて参りました。」

…今何て言った?ゔるとろす?

「うむ。」

蟻頭が声をかけた先にいたのは。黒いドレスに身を包んだ女性だった。

「やっと……帰ってきたか。」

「…………」

病んでいると聞いていたが、まさしくその通りだった。髪は乱れ、目に光はなく、大きな隈ができていた。

「やっと、やっと、世界が…壊せる。」

「何で…………そんなことを。」

声を絞り出す。一瞬でも気を抜いたら狂ってしまいそうな雰囲気だ。

「何で?…………何で何で何で何で何でぇぇぇぇぇぇ!!!!」

「何で」という言葉に反応したのか、急に髪をかきむしりながらジョーカーが絶叫する。

「ただ喧嘩しただけなのに!私は、私は喧嘩!?して私は!私は!?私はぁぁぁ!」

彼女の叫びに呼応するように、黒い影が彼女から這い出てくる。影は瞬く間に広間を覆った。

ジョーカーさんヤバイっすね。というわけで、十五話、じゃなかった十四話!読んでいただきありがとうございました!

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