二人で会うのはいけません
一乃下夕陽は人間である。
紛れもなく、人間なのだ。
その事実が、俺の心を軽くする。
彼女が人間であってくれるのが、きっと俺は嬉しいのだろう。嬉しいに違いない。
そこまで考え、そして。
────ピンポーン。
ふと、インターホンが鳴る。
「……」
時計を見る。午後八時零分。
こんな時間に、と思う。誰だろうか。
────ピンポーン。
また、鳴った。
「お客さんなの……?」
夕陽と、服を着せられ不貞腐れた陽香がリビングに戻ってきた。
「みたいだな」
────ピンポーン。
また。
「やけにしつこいわね。非常識な時間にお訪ねになってるくせに」
「出ない方が良いわ。桜利くん」
陽香と夕陽の言葉に、「だな」と頷く。このまま居留守としてしまおう。そう決め込んで、俺たちはリビングに身を寄せ合い、来客が去るのを待っていた。
すると。
ガチャ。
と、音。まるで鍵が開けられたかのような。
「は……?」
間髪入れず、ガチャリ、という音が続く。コツ、コツ、という土間を打つ硬質な音。足音。「────!」ようやく、思考が事態に追いついた。ぞわりと総毛立つ身体で立ち上がり、
「────夕陽!」
叫ぶと同時に、リビングの扉が緩やかに ヂ
開か ヂヂ れ ヂ ヂヂ そ ヂ こには
ヂヂ
「こん ヂ は、 」ヂヂ 刃
ヂ 「桜利くん!」 ヂヂ 彼女がヂ 俺の ヂヂ 前ヂに ヂヂ噴 ヂ 血が ヂヂ