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青春オートバイ  作者: もと
3/3

ひとりじゃない

下駄箱に向かうと先輩の姿はもうなかった。


キーンコーンカーンコーン♪


おっと10分前の予鈴だ…あまりゆっくりしてるほど余裕はない。

昨日の入学式、退屈で眠かったけど、教室の場所くらいは覚えてる。

1年生の教室は下駄箱から少し遠い。校舎が王の字になっていて北側から1年棟2年棟3年棟だから、あの先輩とはあまり会う機会がなさそうだ。

教室に入るとほとんどの席が埋まっていた。流石に初日から遅刻してくるやつはいない。


キーンコーンカーンコーン♪


チャイムの音と共に前の扉から教師が入って…いや後ろの扉も開いた。

それもかなりの勢いで。

扉のところにはヘルメットを被った人がいた。

その勢いのまま席についた。それを見ていた教師に、元から座ってましたけど?のような態度をとっているが…

「とりあえずヘルメットを脱ぎなさい」

教師から言われて、あっ…と声を上げた。どうやら気づいていなかったようだ。

「ギリギリ間に合ったから遅刻にはしないが、余裕を持って登校しなさい。特に二輪は大きな事故に繋がりやすのですから」

「はい…気をつけます…」

と落ち込んだような声でその女子が返事した。

あれ?初日からバイクなのって俺以外にもいるの?しかも女で?

これは…後で話しかけてみるしかない。とりあえず、何乗ってるの?から入れば問題ないな。その後は…

「えーあの娘、バイク乗ってんの?ヤバくない?昨日はおとなしい子だと思ってたけど。ちょっとないわー」

「ねー、バイク乗ってるって危ない感じ。なんか怖いね」

「てか、バイクで通学とかありえないっしょ。なんで先生怒らねーの?」

「ウチの学校。バイク通学オッケーみたいだよ…ほら、学生証に…」

「まじかよ、この学校やばくね?」

唐突な会話が後ろから聞こえてきた…

え…もしかしてバイク通学認めてるこの学校でもライダーって迫害されるの?

当分はバイク乗ってるの見られないようにしよ…ヘルメット、バイクに置いてきて良かった。

HRホームルームが終わると、案の定、あの娘の周りには他の女子が集まっていた。

免許もう持ってるの?とか、バイクって怖くないの?とかヘルメットってどうなってるの?とかの会話が聞こえてきた。皆が皆、バイク危険視してるようではないようだ。

しかし、これは話しかけづらくなった。どうしたものか…

「なあなあ、本多さ、お前もバイク乗ってるんだろ?あの娘に話しかけてみろよ」

「えっ…え!?」

なんで、俺がバイク乗ってるの知ってんのこの人!?てか誰?!

「あ、もしかして覚えてくれてない?隣の席の末田修一まつだしゅういちって昨日自己紹介したじゃん。今日帰りにNinja見せてくれるって約束も忘れてる?」

あ〜〜〜〜〜!!したしたした。約束した。けど、河咲先輩とあの娘の事ですっかり吹っ飛んでた。すまねぇ…

「い、いや、覚えてるよ。マツダ君ね。いい名前だよね。広島風だよね」

てことは皆、俺がバイク乗ってるの知ってる?もしかして隠す意味無い?

「何言ってんだ?」

「いや、何でもない!」

「まあ、いいから、とりあえず話しかけにくぞ。あの地味娘めっちゃタイプだ」

おい…俺はエサか。

「話しかけようにも、あの女子の名前知らない…」

矢間場やまばさんだろ。自己紹介したんだから女子の名前くらい覚えておけよ」

え…何その発想、チャラくない?

「とりあえず、行くぞ、モタモタするな」

末田くん、男前すぎ!


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