6-2 小説版とセッションとの違い、状況説明及びテクニック解説
吊り橋のシーンはシナリオ的には一つのシーンとして作りましたが、セッション進行状況から、「吊り橋が落ちるまで」「落ちた吊り橋の先」「落ちた吊り橋の手前」と言うように三つにわけた方が解説しやすいと思い、その順番で説明を行っていきます。
吊り橋が落ちるまで(1章-5)(2章-5,6)(3章-5)(4章-5)(5章-5)(6章-4)(7章-5)(8章-4)
馬車が吊り橋を渡る前、カイロウとディスが先行偵察したのは小説の通りです。この段階では誰も吊り橋に手を出していないのでそこまでは予定通り。
そして残りのみんなで吊り橋を移動していきます。みんなで、というのはイェルとリリー、そしてキースも一緒だったと記憶もあるのです。重量的な問題で「渡り終わるまで待機する」と言ったような気もします。
休憩時間に、キースプレイヤーと「橋を渡り至近距離でロープを切断する」という打ち合わせをしたような気もしました。もしかしたらキースも橋の調査に同行しロープに細工する。だったかもしれません。
ここのところは記憶が少々曖昧なのです。そこで話を判りやすくするために、三人は橋の手前で待機することにさせました。
確定しているのは、キースが何らかの手段で橋を切断したこと。荷馬車をコーディが投げたこと、そのあたりです。
実際に荷馬車を投げる力に吊り橋が耐えられるのか? という疑問があるかも知れません。しかしシナリオの盛り上げ的に、マスターとしては荷物は手の届く場所にあってほしかったのです。その為、コーディの規格外の力を理由に腕力判定を行い、その結果で飛距離が変わる。と言う判定を行いました。
プレイヤーの皆さんも、荷物が行方不明になっては困るのでその結果に満足です。
プレイヤーもキャラクターも橋が落ちることを前提に行動していたため、ロープが切れた瞬間も誰もが冷静でそれぞれなりに対応しておりました。
ディスは先行して渡りきっていたことと、自分がやらなくても誰かが橋を落とすと信じていたためか橋に対して手を出しません。もしかしたら荷物が渡り終わった瞬間を狙っていたのかも知れませんがそれはもう判りません。
キースは狙って橋を切断しました。戦闘力の高いディオンとコーディ、この二人とターゲットであるクーナを分断出来るように。です。このキースの判断がその後の展開に大きく影響したのは間違いないでしょう。
橋を渡った先(1章-6)(2章-6)(3章-5)
ここから先は完全に二つのシーンとして処理されております。橋を渡ったところから処理したのは、こちらの方が人数が少ないことと、処理時間が早く終わる。と計算してのことです。この時間計算は、シナリオとプレイヤーを考慮して算出します。先にも言いましたが、セッションの時間計算が瞬時に出来るようになると、こう言うときに便利です。
橋を渡ったところに待機していたのはカイロウとディス。この二人の頭上を越えて荷馬車は飛んでいきました。
ディスはそれを見て急いで荷馬車に駆けつけます。そしてそれを制したのがディオン。
ここも記憶が曖昧なのですが、ディオンは橋を渡る隊列で一番前にいたのかも知れません。その状態でもディスの次に荷物に駆けつけることが可能です。ディスが聖剣を探して見つけた頃にディオンが追いついたのは確かなのでおそらくこれが正解でしょう。
しかし、橋の途中からよじ登ってくるのと、地上から駆けつけるのでは時間にかなり差が出そうです。ディオンとコーディの時間差があるのも不思議な感じです。
そのあたりの状況に折り合いをつけたのが小説版。荷馬車と一緒に飛んでいくディオン。なかなか絵になると思いませんか。
ともあれ、聖剣を見つけたディスがそれに近づこうとしたところをディオンが制しました。ディスはディオンを見ると、「荷物を拾い集めようとしていた」と主張します。
そこに追いついて来たのがコーディ。彼はディオンの制止を無視し躊躇無く聖剣を拾いました。そして高らかにそれが自分のものであると宣言します。
そこから先の展開は小説通り。有り余る筋力で地面を破壊し目くらましをして逃げるコーディ。それを逃がさないようにとディオンが衝撃波を放つ。
コーディの「うっっそおぉぉーーんん」は、記憶にはっきりあるので本当に叫びました。目くらましを突き抜けて攻撃されるとは思ってもみなかったようです。その「予想外の攻撃」を受けてコーディは聖剣を落とすと判定した記憶があります。運チェックか何かの判定を要求し、それに失敗しました。
再び二人の中間点におかれる聖剣。チャンスとばかりに躙り寄るディス。そしてディオンは最後の技を披露します。最大威力の剣技を目にしたディスもコーディも目を見開かんばかりに驚きました。ディスはそれを見てあきらめの表情を見せましたし、コーディも残り体力1。周りで見ていた橋の手前組も含んで勝負は付いたように思えました。
そこから大逆転、コーディが正体を現し魔法一閃。使った魔法は、某魔法使いダンジョンで有名な核爆裂魔法。ものすごく嬉しそうに呪文名を叫んでいました。
判定の余地無くディオンは死亡。そんなのうけたらどうにもならないとディオンプレイヤーも諦めました。
ディスは一応魔法の範囲外としておいて、その後の行動を確認したところ、逃亡を選択し、コーディも追撃する気持ちも無かったのでこちら側は終了です。
しかしよく考えたら核爆裂魔法は範囲攻撃なんですよね。そこで小説版ではディスも効果範囲内であると変更しました。しかしそのまま死亡ではイロイロ不都合があるので、カイロウが後ろから引っ張ることでギリギリ死ななかったとしています。小説では少し判りにくいですが、ディスの体を盾にしてカイロウが隠れることでカイロウはダメージを最小限に抑えたのです。そしてそのままの勢いで谷底へ飛び込んで逃亡しました。
全ての敵対者が居なくなったことを確認したコーディは自分の住処へテレポートすることを宣言し、マスターである私はそれを認めました。
これにて橋を渡った側の処理を終わります。
橋の手前(4章-5,6)(5章-6)(6章-5)(7章-6)(8章-5)
橋の手前側のシーンですが、こちら側のプレイヤー、特にキースはこれからのことをいくつもシュミレーションしていたに違いありません。明らかに待ちきれない様子でした。
この気持ちと流れを斬るわけにはいきません。休憩など入れずそのままセッション続行です。実際こちら側のプレイヤーは全員向こう側の状況を見ているだけでしたからそれほど疲労もしていないと受け取れました。
まずは、落ちていく橋から落ちないかのチェックを行いました。難易度は低く設定しましたし、万が一失敗しても他者からのフォローが出来るように考えておりました。幸いにして全てのキャラクターが判定に成功したので、ここは問題なくクリア。
イェルム、リリーは前述の通り橋の上に居たのかも知れませんが、最後方に居たのは間違い無く、最初に岸上に到着します。
その後岸上にたどり着いていたキースが、小説の通りロープを使ってリーブを引き上げます。そして満を持してクーナに攻撃開始。使ったのは含み毒針。ここまでキースの暗殺計画は完璧でした。
毒を受け、クーナが落下することを知ったリーブは即座に能力を発動。その後の判定に成功したリーブは落下を免れます。毒を受けてもリーブが動けたのは呪いのおかげです。
特殊能力の発動については、リーブプレイヤーとアイコンタクトだけで行いました。その為能力を使ったのがリーブなのか、クーナなのかは他のプレイヤーには判らなかったはずです。勘のいい人は気がついていたかも知れません。
キースプレイヤーとは、事前打ち合わせとメモのやりとりで毒針を使用してます。このように特殊な行動の一部は他のプレイヤーにそれと判らせないように判定することもあります。
自分の作戦が失敗したことを知ったキースですが、この段階で他のプレイヤーから疑いの目で見られるようになってしまいます。そこで最終手段であるなりふり構わぬ全力攻撃を行うことを選択。キースの作った闇のフィールドは周囲の人々から視界を奪いそして標的に絶対命中する特性を持っています。欠点は一度しか使えないことと、攻撃するたびに闇が晴れていくこと、三回の攻撃で闇が消失することでした。この弱点については最初から決めてありましたが、文章にすると長くなるので、初期の打ち合わせで口頭にてプレイヤーに説明してありました。
ともかくこの特技を使ってクーナへ直接攻撃による殺害を行います。ダイス目的にも致命的なダメージを与えるはずでしたが、これもまたリーブの特殊能力にて回避されてしまいます。
二度目の転移からリーブプレイヤーはその能力発動を隠さなくなりました。クーナプレイヤーが状況について来られなくなったからでもあります。
もっともクーナプレイヤーは、この段階において何故自分が攻撃されているのか、そして護られているのか全く理解していませんでしたね。
余談になりますが、「バカな。おまえじゃ無い!」の台詞、キースプレイヤーは本気で叫んでいました。マスターとしては心の中で大爆笑、してやったり、です。
さらにそこから戦闘は続きます。闇の攻撃を行ったことで視界が開けてきました。そしてついにリリーがはキースが母を殺した事に気がつきます。もちろんこの気づきはリリープレイヤーに渡したメモによるものです。
そこからリリーの攻撃が始まります。
リリーの戦闘参加はクーナを護ろうとするリーブにとってありがたいことだったでしょう。リーブの能力は強いのですが、攻撃力は低い。聖剣無しのクーナも同様。イェルムは戦う理由がありません。リーブの能力限界については特に表記しませんでしたが、時間があればキースがクーナを倒すことも可能でした。
そう言う意味でリリーの覚醒は状況打破として良いタイミングで行えました。覚醒したリリーは攻撃と回避にボーナスを得てキースとの戦いに挑みます。
最初のラウンドはお互い通常ダメージを与え合います。そしてそのタイミングでキースプレイヤーにメモ投入。リリーが自分の娘であると気づかせました。
リリーの方は覚醒直後で怒りによって正常な判断が出来ないと解釈。一応判定は行いましたが結果は失敗。キースの正体に気づけません。
その後の戦闘は一方的になります。キースプレイヤーとのアイコンタクトによって攻撃判定にペナルティを与えたからです。
状況としてはこんな感じ。
キースプレイヤーの目を見て軽くうなずく。
「あれとあれを加味して、このラウンドから攻撃-2のペナルティーつけてね」
「判りました。それでオッケーです」
キースプレイヤーも自分で攻撃を緩めたいと思っていたけど、その理由を直接言うわけにも行かない。それを察したマスター側からのフォローです。他のプレイヤーから見ると、特殊能力の連続使用によるペナルティー、とかに見えたことでしょう。
その後もリリープレイヤーが判定に失敗し続けキースの正体に気づけません。プレイヤー自身も異変に気がつけないし、マスターとしては判定に成功するまで直接教える気もありませんでした。
この状況に一手を投じたのはイェルムプレイヤーです。キースプレイヤーの異変に気づき、こちらに視線を飛ばしてきました。それに応じて判定を行います。プレイヤーも気がついていることですし、判定に少しボーナスもつけました。判定にも無事成功し、キースとリリーの関係についてメモを利用して教えます。
それからすぐにイェルムプレイヤーはリリーを止めようとするのですが、覚醒リリープレイヤー(こう言うときやたら高い目を出す人って居ますよね)のダイス目の高さに誰も手がつけられません。
まぁ、なんとかイェルムの制止が届いて戦闘は終了しました。
その後、キースとリリーのシーンになります。
補足しておきますと、キースの体力は少し残っていましたが、戦闘の結果死亡と判定しました。その事を告げるとキースプレイヤーもそれを受け入れます。
最後はリーブ独白のシーン。
リーブプレイヤーには設定と口頭で「呪いのことについて話をすると死亡する」とはっきり告げておきました。
その上で独白を始めたリーブプレイヤー。これは最終的にそこまで言いだすな。私は予見しました。そこで、独白の途中に擬音だけで体の崩壊を伝えていきます。
もちろんそれを理解したうえでリーブプレイヤーも、所々独白を止めたりします。そして強調するようにして「そ…れ…は……」で言葉を句切ります。それを受け私も体が崩れ去って灰になったと告げました。
この辺は、プレイヤーとの阿吽の呼吸という奴ですが、後で聞いたところ「呪いのことについて話をすると死亡する」と言うことをすっかり忘れていたそうです。
時間的なこともあり、区切りも良かったのでこれにてセッション終了としました。
セッション外シーン
実際にセッション内で行われなかったシーンは多数あります。それらは大きく分けて三つに分類されます。
1、過去設定(1章-1)(2章-1)(3章-1)(4章-1、2、3)(5章-1、2、3)(6章-1、2)(7章-1、2、3、4)(8章-1、2、3)
各プレイヤーに渡した過去設定を読み解いて作られたイメージです。創作部分が多いですが、事前に行われたプレイヤーとの打ち合わせや、セッション中の行動などを思い出して作りました。
出来る限りキャラクターイメージを膨らませることが出来るように作ったつもりです。
2、セッション終了後、感想会にて話し合われた部分(1章-6)(2章-6)(3章-6)(6章-6)(8章-6)
セッションはリーブが灰になったところで終了しています。当然この後どうなったかと言うことは各プレイヤー毎にイメージがありますた。
セッション終了後の感想会や、その後の飲み会で思い出話をしたときなど、様々なシーンで話し合われたことを元に作成されています。
ある意味では、プレイヤーの判断をマスターが判定した部分でもあるのでセッション内の出来事であるとも言えます。
3、後付け設定(3章-2)
このセッションを初回として、後にキャンペーンへと発展していきました。 キャンペーンと言っても同じキャラクターを連続して使う一般的なものと違い、毎回違うキャラクターを使用して同じワールドの歴史を作っていくオープンワールドキャンペーン(オリジナルネーミングです。他に似たような名前があったとしてもそれとの関連は一切ありません)です。
で、そのキャンペーンを行っている内に作られた設定です。正直言ってこの小説自体には何の関係もありません。ですがこのセッションに少なからず関わっている内容であることは間違いないのです。