6-1 小説版とセッションとの違い、状況説明及びテクニック解説
すでに何度もお伝えしていますし、ここまでご覧になった方には念押しをするような話になりますが、小説化にあたり細かい追加や改変を行っております。そのあたりの違いを実セッションでの状況を含めて、確認していこうと思います。
基本的にセッションの流れ順に解説していくつもりです。
各シーンの後にある括弧書きは、該当するシーンの章番号です。
オープニング(1章-2)
セッション開始のオープニングでは、各キャラクターが荷運びの依頼を請けたところから始めます。依頼を請けるシーンからやったのでは、報酬などの交渉が発生したり、そもそも依頼を拒否することが可能になってしまうからです。
簡単な状況説明だけを行い、その後各キャラクターの外見と自己紹介をプレイヤーから行ってもらいます。その上で次のシーンに移りました。
ゴブリン退治(--)
このシーンはプレイヤーがキャラクター性能を確かめるのと、システム確認の為に行いました。小説版ではこのシーンが無かった事として描かれております。
シーンを小説化することで、キャラクター外見イメージを増幅することは可能でした。ですが当時の記憶が余りに薄く、文書化が進まなかったため思い切ってオールカットしています。
曖昧な記憶では、護るべき小屋の左右から迫ってくるゴブリンを、二手に分かれたキャラクター達が瞬殺する。そんな感じです。
このシーン終了後に一度目の休憩を取りました。休憩の間にシステム関連と設定や特技に関する質疑応答を行っています。もちろん一部の設定については担当プレイヤーと内密な打ち合わせとなります。
森の移動~野営(2章-2)(3章-3)
森の移動シーン、野営のシーンについては特筆することが少ないため、かなり少ない説明と会話にて構成してあります。
ディスの会話やコーディの会話などがそれに当たります。
この辺りから、各プレイヤーに秘密メモが配られ始めます。なお、この段階では重要なものは配られていません。
この段階から配るのは、今後加速的に増えていく秘密をぼやけさせるためです。何かが起きるような気がする。しかしそれが何かは想像するしかない。そんなミステリアスな部分を高めていく為のシーンになりました。
山賊の襲撃(1章-3)(2章-3)(3章-4)(4章-4)(6章-3)
渓谷で発生する山賊の襲撃は各キャラクター毎に紹介しています。同じようなシーンが続きますが、各キャラクター毎に出来る限り視点を変えてみたつもりです。
実際のセッションでは山賊の感知判定に多くのキャラクターが成功しています。その為奇襲扱いにはなりませんでした。
その上で弓を所持するキャラクターが山賊に対して反応します。戦況は拮抗しそうな予感がしましたが、コーディが力任せの投石を開始してから変わりました。命中判定にも成功し、その威力から逆算した結果山賊に大ダメージを与えます。この状況を逆転出来る策が山賊側に無かったこともあり撤退を選択させました。
吊り橋前の休息(1章-4)(2章-4)(3章-4)(5章-4)(6章-4)(8章-4)
小説版では休息所と吊り橋が別の場所となっていましたが、実際のセッションでは同じシーンです。吊り橋を前にして隊列変更をしたり現場確認をするあたりは同じとなります。
吊り橋付近の状況について一通り説明が終わった後、二度目の休憩時間を20分ほど取りました。この休憩を利用して個々のプレイヤー同士、マスターへの質問、行動指針の確認を行っています。
後に続く吊り橋のシーンはこのクライマックスとなるべきであり、プレイヤーにも十分な休息と作戦を練る時間を与えるのは大切なことです。
話は変わりますが、セッションを行う上で休憩は必須事項です。人は集中するにも限界がありますが、セッションが盛り上がっていると休憩を忘れがちになります。
体や頭を休める意味での休憩。食事などの栄養補給。これらが休憩時に行われる行動の一つです。
そして本当の意味での休憩以外に、プレイヤーが状況判断をするため、頭の整理をするタイミングでもあります。
セッションは連続して行われていることが多く、ユックリものを考える時間があまりありません。これがプレイヤーが予想以上に浅慮であったり、予想外の閃きによって行動する一因でもあります。
休憩を取ることで、プレイの流れをいったん止めることが出来ます。そしてその時プレイヤー同士、あるいはマスターに簡単な質問をすることで頭の整理が行われていきます。
このようにただ休む以外にも休憩には大切な意味があります。
もちろん体を休める意味での休息も大事です。先にも少し述べましたが、プレイヤーの能力は一定ではありません。集中力が続く時間にもばらつきがあります。
かといって休憩が多すぎても中だるみしてしまい、面白さが半減することもあります。それらの状況を踏まえて休憩するタイミングを取ることはマスターの役目の一つでもあります。
休憩タイミングは、シナリオ作成段階から頭の隅に置いておきましょう。連続した流れの中で、休憩を取りにくいタイミングは存在します。その流れに入る前後に休憩を入れるかどうかの判断があります。シナリオの全体像をきちんと理解した上で必要な処置を行っていくと良いと思います。
シナリオの話が出ましたので、ついでにその事を少し話します。
シナリオを作る時、セッション時間とリンクして作成出来ていますか? セッションの参加人数、全体の長さ、戦闘など時間を取られる部分、マスター自身の力量。参加プレイヤーの力量。
参加人数とプレイヤーの力量は、コンベンションなどで行う場合変動値が大きく成りますが、それ以外の項目はセッション開始前に理解出来ているはずです。
作られたシナリオを見直すことで、セッションのトータル時間はコントロール出来ます。もちろんそれは絶対ではありませんが、時間を意識してシナリオを作ることは大切です。
どんな場所でセッションをするか、そこで与えられる時間はどのくらいか。どのシーンを重要視して時間を取るのか、逆に不要なシーンは無いか。
出来上がったシナリオをもう一度見返しましょう。そして追加したり削ったりしてメリハリのある魅力的なシナリオにするべきです。
それを行うと時間が足りなくなってセッション中断になる可能性を減少することが出来ます。
ついでに言いますと、頭の中にある時間割を意識してセッションを行うと、シナリオ進行が速いのか、遅いのかも判ります。速いならジックリ説明したり休憩を多めにしたり出来ます。
逆に遅くなっている場合は幾つか省略したりして、進行を加速させることが必要でしょう。特に遅くなっているときに加速させることは重要です。いざクライマックスと言うときに時間切れでセッション終了なんて寂しい限りですからね。
もっともこれだけ言っておきながら、私自身でも時間が足りなくなってボス戦を省略した。なんてこともあります。そしてその度に思うのです。時間管理に失敗したと。次はこのようなことが内容に落ち着いてマスタリングを行おうと、決意を新たにします。
大事なことなのでもう一度書いておきます。
セッションの時間管理はマスターの大事な役目の一つです。常に時計が見える位置でマスタリングを行いましょう。
シナリオ作成時に大まかな時間割を作っておきましょう。
シナリオの進行に合わせて、適宜休憩を行いましょう。
進行が遅れてきたら、省略を上手く使ってシナリオを加速させましょう。
少し長くなってきたので二つにわけることにしました。