3.キャラクター解説
プレイヤーキャラクターの設定
プレイヤーキャラクターに手渡した設定について表記していきます。なお、能力値については正確な記録が残っていないため、記憶を頼りに再現しております。
この設定部分は、「国境を越えて」本編の各章最終話の後書きに記されているものと同じものです。
マスター補足部分は本編で記されておりません。また、担当プレイヤーにも知らされていない隠し要素もあります。
1.傭兵戦士。ディオン。
体力8/技術 10/知力 7/運 6
非常に高い戦闘力があり、戦闘に関するロール+2。ダメージ+1。
さらに独自に開発した剣技を所持する。技の使用にはそれぞれ体力消費がある。
一.相手に剣から生じる衝撃波を当てる。ダメージ1d6/消費1。
二.高速移動で間合いを詰め、瞬時に十数回切る。ダメージ2d6/消費2。
友人でもあるアンキー・テルドットから密輸の依頼を受けた。彼からの信頼も高くリーダー役も頼まれている。
マスター補足
第一章、物語の最初を飾るキャラクターです。圧倒的な戦闘力を持っていて冒険者や傭兵としても優秀な能力を持っています。
攻撃技の射程は、一が20m、二が10mとしておきました。もっともこの射程はフィーリングなのでそこはマスター判断で上手く扱います。
荷物を護るため獅子奮迅の活躍をし、コーディをあと一歩まで追い詰めました、規格外の攻撃によって命を落としました。
盗賊。ディス
体力6/技術 9/知力 7/運 9
盗賊ギルド所属の凄腕で、周りからも一目置かれている。
さらに盗賊としての特殊技術を所持する。使用に当たってペナルティーは無い。宣言することで発揮し、結果についてはマスターに一任する。
一.一つの動作(手業)を常人には関知できないスピードで行うことが出来る。
二.何か別の物に注意を逸らせ、一瞬の内に隠れ忍ぶ。常人には捉えることが出来ない。
今回はギルドからの要請で、王国より盗まれた聖剣を取り返す依頼を受けた。
聖剣は密輸で隣国に行くことになっており、その護衛の仕事を受けることが出来ている。
密輸ルート上に水の牙と言う山賊がいて、それに対する指示を出せる。
マスター補足
聖剣奪取が目的です。戦闘力で見ると低め。他者の状況を見ながら漁夫の利を得るスタンスが良いのですが、タイミングさえ合えば単独での奪取も可能と思われます。
物語に搭乗する山賊に指示が出せる特権を持っていますが、それらの戦闘力が低いために扱いきれなかったようです。
ディオンvsコーディの間に入って聖剣を奪うチャンスを伺っていましたが、コーディの規格外を見て撤収しました。
魔族。コーダー・ネビュラロン(コーディ)
体力10/技術 8/知力 7/運 6
その正体は高位の魔族。現在の能力値は仮の姿でいるときのもの。
仮の姿でも能力値に関係なく、尋常では無い筋力がだせる。
正体をさらすことで、ありとあらゆる魔法を操ることが可能。一度正体を明かすと元に戻ることは出来ない。今後のことも考えると出来れば正体を明かしたくは無い。
王国から聖剣が盗まれた。それを知った魔族から聖剣を手に入れるよう依頼された。
情報通り聖剣は密輸で隣国へ運ばれるところ。そしてその護衛依頼を受けた。
マスター補足
こちらも聖剣奪取が目的。規格外の戦闘力を持つ。単独で全てを終わらせるだけの能力を持っています。
高い腕力を持っている設定はセッション開始前の打ち合わせで決めました。その為設定には書かれておりません。
また、設定だけでは判らり難い幾つかの裏設定があります。
まず、聖剣には勝てない。これで斬られたら即死です。次に魔族の正体を現した場合、戦闘可能時間が限られる。と言うもの。
プレイヤーの方もなんとなくそれが理解出来ていたようで、ギリギリまで正体を隠して行動していました。
最後に使った規格外魔法は、よくある熱核爆裂魔法です。セッションではあの呪文名を叫んでおりました。
暗殺者。キース
体力8/技術10/知力 8/運 6
産まれた時より暗殺術を教え込まれた暗殺者。
一度結婚しており、娘も一人いた。しかし妻の暗殺の依頼がギルドに来てしまった。永い苦悩の末、自らの手で妻の暗殺を行う。その時に娘も一緒に暗殺する。
以後、暗殺者としての道を真っ直ぐに進んできた。自分が死ぬまでかそれとも全人類が死ぬまで続けるのかも知れない。
暗殺における奥義を持っている。
1.周囲10mに漆黒の影を発生させ闇に包む、さらにそれを刃として攻撃出来る。
(体力消費 2:ダメージ 1d6:持続時間 10R又は3回攻撃するまで)
2.含み針 口に含んだ毒針を目標に向けて放つ。低レベルの敵と戦っているぐらいなら使える。射程は約10m。小さな傷一つつければ充分殺せる。
3.その他、暗殺に適する技術や技を習得している。(マスターに要相談)
今回、「グェン・クム・ディセウ」を暗殺ターゲットとして請け負った。
マスター補足
本シナリオ最大のキモ。聖剣さえ手に入れれば他のキャラクターを殺す必要が無いのと違い、こちらは確実に死亡させることが目的です。
吊り橋のシーンでも見事な動きによって、正体を隠しつつ目的達成に邁進します。
難度の高いこのキャラクターですが、プレイヤーの演技力と併せて程よい胡散臭さと切れ味が光ります。娘の存在に気がついたのは戦闘中ですが、素早く状況を察したため攻撃の手が鈍ることとなりました。
貴族と幼馴染みの男。ベルディアス・リーブ
体力7/技術7/知力 6/運 5
クーナ(グウェン)と幼馴染み。幼少よりあこがれていた冒険者となる。現在は後から冒険者となったクーナと行動している。
今回は、クーナと共に荷運びの護衛依頼を請けることになった。
ディセウ家の人物より強力な呪いを掛けられた。呪いの内容は次の通り
1.常にディセウの安全を守ること。その身が滅んでも死人となり守れ!
2.その為に瞬間的に自分の位置とディセウの位置を変えることが出来る。(ダメージを見て死ぬことが判ってからでも位置を変えられる)
3.呪いに逆らえば命を失い、死人となり使命を続ける。
4.呪いの内容を他人に教えたり、書物等に残してはいけない。
ちなみに上記は呪いの効果であるが、もしそれが無かったとしても、命に代えてでもグウェン・クム・ディセウを守るつもりだった。
また、気配を察知する能力に長けており、判定に+2出来る。
マスター補足
一見普通の冒険者。しかし特殊能力があり、最終局面においてその存在感が急上昇します。
セッションではクーナとコーディが離れてしまったために二人の戦闘はありませんでしたが、この二人が戦えばリーブの特殊能力と併せてコーディの勝機は非常に低かったと思われます。
最後に呪いの内容を言おうとして崩れ去りますが、プレイヤーはそれを話してはいけないことを忘れていたようです。
大貴族の娘。グウェン・クム・ディセウ
体力7/技術8/知力 7/運 8
幼馴染みのリーブの後を追い、周囲の反対を押し切って冒険者になった。
ディセウ家は王家とも繋がりがあり、直系の血を引いている。
今回は、リーブと共に荷運びの護衛依頼を請けることになった。
なお、冒険者になるとき、魔法の剣と多額のお金をもらっている。なのでお金に困ることは全くない。必要ならいくらでも家の支援を受けることが出来る。また、今は偽名を使っている。
魔法の剣 命中に+1
マスター補足
装備的にちょっと優遇された冒険者。それがプレイヤーの認識でした。細かい設定、なにそれ美味しいの? この設定を見ただけだと、まぁ普通そんなところでしょう。
そこに隠された裏設定。「王家の血によって聖剣を扱える」に気がつけるわけがありません。
もちろん自分が暗殺対象であることにも全く触れられていません。
プレイヤーには申し訳ないが、見えない罠にガッツリと掛かってもらいました。次々と明かされていく設定に翻弄されまくりです。
もっとも、聖剣関連についてはセッション中に知ることはありませんでした。
小さな冒険者リリー
体力 5/技術 7/知力 6/運 7
幼い時に暗殺者に襲われ両親を失った。その時自分も死にかけたが何とか一命を取り留めることが出来た。闇に襲われる夢を時々見ることから暗殺者は闇を使う者だと思っている。
最近知り合った流れの盗賊と共に現在は行動をしている。彼はまるで兄のように自分を可愛がってくれている。
冒険者になって寂しい場所で野宿をするときなど、暗殺者に襲われたときの夢を見るようになった。漆黒の闇が周囲にわき上がり。おぞましい殺意となって襲いかかってくる。それは刃となり体をズタズタに切り裂く。だいたいそこで目が覚めるのだった。
マスター補足
キースに対応する罠の一つ。能力は低めに設定してありますが、隠れステータスがいくつもあります。例えば気配感知。判定の必要なく情報が貰えたりします。
最終決戦ではプレイヤーの怒りに応じて戦闘力が上昇しています。それによってキースと同等の能力となりました。
プレイヤーはキースが父親であるとなかなか気がつきませんでした。そのためキースは命を落とします。
流れの盗賊イェルム
体力 8/技術 9/知力 7/運 8
スラム街に産まれ誰の子とも解らずに生きてきた。生きていく為に盗みを覚え、暴力を覚えた。集団で行動するのが苦手で、単独行動が多い。
人との挨拶は財布をすること。人との別れは金の切れ目をモットーに生きてきた。
ある町で少女の冒険者に出会う。彼女は幼い頃に両親を失い、それでもなお元気に生きている。自分にどことなく似た生い立ちを持つ彼女が何となく気になった。以後旅を共にするようになる。彼女は自分をまるで兄のように慕っている。
○特記事項
盗賊としての特技として次のようなことが出来る
1.早業:一つの手業を常人には関知できないスピードで行うことが出来る。
2.アクロバット:ジャンプに置いてかなりの自由度を持つ。
3.視力:どこに大事な物を持っているか外見から知ることが出来る。
上記はマスターに宣言すればOK。判定はマスターが行う。
マスター補足
特殊な設定のない冒険者(盗賊)です。リリーのフォローを行う役割です。リリー役のプレイヤー技量からキースのことを気がつかないだろうと察していましたので、その間を取り持つ役になっています。
実際セッションではそれが功を奏して、ギリギリでリリーがキースの正体に気がつけました。ある意味間に合っていないとも言えます。
NPC盗賊 カイロウ
体力 8/技術 8/知力 8/運 8
本シナリオ事実上唯一のNPC。「国境を越えて」を読んだ人は判ると思いますが、本編でそれなりに活躍しているのにも関わらず、彼視点でのエピソードがないのはそう言う理由です。
シナリオ進行上、マスターが状況介入するために存在しています。状況説明だけでは判りにくい部分や、各キャラクターに対する不信感の払拭あるいは増幅を担当します。
なお、実際のセッションで彼が介入する必要はほぼありませんでした。小説でもありましたがディスの救出ぐらいです。
以上がキャラクターの設定とその補足になります。
これらの設定については、シナリオ作成者である私が試行錯誤の上作り上げました。個々のキャラクター設定を読んだだけでは全体像の把握が難しいですが、それぞれの役割を知ることで面白みが増していきます。
1.荷物(聖剣)を護るものvs奪うもの
護る側:ディオン.リーブ.クーナ.リリー.イェルム.カイロウ
奪う側:ディス.コーディ.
中立:キース.
シナリオで依頼された荷運びですが、その荷物を奪おうとする集団が存在します。
奪う側の二人になりますが、個人で奪取したいので協力することはありません。そう言う意味では奪う側の難易度は高いと言えます。
2.グェン(クーナ)を護るものvs敵対するもの
護る側:ディオン.リーブ.クーナ.
敵対側:コーディ.キース.
中立:ディス.リリー.イェルム.カイロウ
聖剣奪取に近い立場でありますが、微妙に差があります。
コーディは魔族の正体を出すまでクーナと対立する理由がありません。キースは暗殺依頼があるので問答無用です。
各キャラクターの能力値を比べると判りますが、端的に言って激しい差があります。能力値の差は難易度にも直結しますが、特殊スキルや隠し要素の関係もあって単純に能力値だけでそれを判断することは難しくなっています。
キャラクターシートには能力値だけ記載されており、特殊スキルは書かれておりません。各プレイヤーは能力値だけを目安にして行動することになります。
特殊スキルの存在は自身も使用出来ることから周知のことであり、プレイに当たってはライバルキャラクターの特殊能力を予想することも必要となっています。
そもそも、ライバルとなる対象が誰であるかを見つけることも大切です。