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1.リプレイ小説について

 テーブルトークRPGを表現する方法として、リプレイが使われることは多い。

 リプレイが作られる理由の一つとして、システムの紹介がある。ルールブックの殆どがこれを採用して居ることからその有用性が高いことが判る。ただし、ルールブックで採用されているリプレイの殆どが創作であると思われます。ルール判定の一つ二つを紹介するためだけにセッションが行われるとは思えないですしね。

 商業的な市販のリプレイ本については、実際にセッションが行われていると推察されます。市販のルールを販売する前にテストプレイを行うことは当たり前ですし、それを利用、あるいはそのルールをどのように扱うと面白いのかを紹介するためにリプレイが作られるからです。

 この場合そのボリュームから完全な仮想表現を利用するよりも、実際にセッションが行われた結果を使用する方がリアリティが高く変化に富んだ作品が出来上がるからだと思われます。。

 こう言った作品の場合は、実際のセッション風景を表現する手法が使われます。キャラクターだけでなく、プレイヤーを表現することで、ルールの適応方法などシステム的な表現を無理なく表現出来るからです。 


 もう一つのリプレイ表現として使われるのがリプレイ小説です。

 リプレイとの大きな違いは、プレイヤー表現が無いところ。参加キャラクターの誰かの視点を中心に書かれることが多く、一般的な小説と同様の手法が用いられます。

 リプレイ小説の場合は、前者と比べ小説に近しい作品となり、実際のセッションを脚色した物語として、読みやすく理解しやすく表現されている事が一般的になります。


 リプレイとリプレイ小説。どちらもリプレイ表現手法の一つであり、等しくリプレイ作品であることに間違いはありません。

 その事を念頭に二つの違いを確認してみましょう。


1.プレイヤーが表現されているかどうか。表現されていない方がリプレイ小説です。


2.システム的な表現がされているかどうか。表現されていない方がリプレイ小説。ただし、最近のリプレイ小説ではあえてシステム表現を加える傾向もあります。


3.付随する表現が増えるためリプレイは字数が増える傾向にある。リプレイ小説ではそれらが省略してあるため全体的にコンパクトに出来る。


4.セッション状況を明確にするため、録音や録画などの記録が必要となる。場合にもよりますが、リプレイ小説では記録が少なくてすみます。極端な話、記録がなくても記憶だけで作ることだって可能です。


5.リプレイ小説は感情表現や情景描写等、小説的表現を織り込むことで、実際のプレイよりもより表現豊かに改変することが容易。リプレイの場合、他の表現とのバランスを考える必要がある。



 これらの違いを認識した上で考えますと、リプレイは記録を確認する作業や手間が大きくなり、リプレイ小説ではその労力を減らすことが出来る。つまり作品を執筆する事が楽になります。

 逆にリプレイの場合は、記録音声または映像を何度も確認しながらの作業になるため、その労力は想像以上に大変なものとなります。

 また、プレイヤーの会話部分など、どこを省略するか、あるいは改変するかなど手間も多くなり、そこでの苦労も絶えません。

 そもそもセッションの記録音声や映像がない場合はリプレイを作成することが困難となります。始めから記録を取っていれば良いですが、突発的に行ったセッションが非常に印象深いものであり、それを後から記録として残そうとする場合、リプレイの手法は事実上不可能です。そのような場合にもリプレイ小説という手法が用いられます。

 また、セッション状況の記録が困難であるセッションも存在します。


 以上のような理由から、作者はリプレイをリプレイ小説として執筆することになっていきます。リプレイ小説として執筆するのは、当たり前のことですが何かしらの理由があるのです。



 さて、視点を変えて完成した作品を比べてみましょう。

 リプレイはプレイヤーが表現されていることと、それに伴う手間があることから実際のセッションが行われていることを容易に想像出来ます。創作だけでリプレイを作るのは、そうでない場合と比べ、より困難な作業を要求されるからです。

 一方でリプレイ小説はどうでしょうか。

 出来上がった作品だけを見ると、それは一般の小説との違いが殆ど無く、そもそものセッションがあったと言うことを作品を見ただけで知ることは困難でしょう。


 セッションを行った仲間内に向けてリプレイ小説を配布すること、これはおそらく問題ありません。お互いそれがセッションを行った結果であると認識出来ているからです。

 これが不特定多数の人に見せる場合、この前提が崩れるためその作品がリプレイ作品であると実証することが困難になるわけです。

 これはリプレイ小説を執筆する上で、作品の省略、追加、改変が容易であることも一つの要因であります。


 それらの理由から、リプレイ小説は実際のセッションを元にした「小説」として扱われることになるのです。

 作者がどう言おうが関係ありません。大事なことは、冷静な第三者がどのように感じ取ったか。それが最も大事な部分です。



 さて、改めて言いますが「国境を越えて」はテーブルトークRPGのリプレイ小説です。その事については私自身が一番よくわかっています。

 けれど、先に言ったとおりそれを冷静な第三者に理解してもらうことは困難です。むしろ作品を読んだだけでリプレイであると理解できる人の方が稀有な存在でしょう。当然の話です。

 そこで私は考えました。作品の補助として、シナリオや実際のセッションにおける状況などを追加することでそれが伝わるのではないだろうかと。

 別にリプレイであることを証明する必要は無い、と思われる方も沢山居るかも知れません。しかし私は、このセッションを行ったマスターとして、シナリオ作成者として、関わった者として、全てのプレイヤーに対する感謝の思いを込めて。


 前作品「国境を越えて」がリプレイ作品であることを多くの人に証明したいと考えております。


 要するに一言で言えば自己満足の世界です。

 でもリプレイ小説を書いている人で同じような思いをしている人は多いような気がします。その先駆者になるべく努力してみます。


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