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冬の神と夏の女神

作者: はなぶた
掲載日:2013/02/10

寒い寒い冬の森

深い深い森の中

1日だけ咲く1輪の太陽のように輝く赤い薔薇。

その薔薇にはこんな話がありました。



*****************************************


昔、とある森がありました。

そこには1人の神が住んでいました。

冬を司る神です。


神の住む森には、冬しかありません。

明くる日も明くる日も一面銀世界。

故に神は孤独でした。

森に住むのは神1人。

他には誰もいません。


しかし、時々雪には違う世界が写ります。


その中には、夏の世界もありました。


神は、その世界に住む女神を愛していました。


そして、その女神もまた時折、湖に写る冬の神を愛していました。

そしてまた、その孤独な神を哀れに思っていました。


女神は知っていました。

自分の命があといくらも残っていないことを。


神とて、莫大な時を過ごす内に少しずつ力を失います。

やがては、新しい神と代わり消滅するのです。


女神は考えました。

そして、消滅する前に冬の神に会いにゆくことを決めました。


それは、冬の森で一番寒い日でした。

神は孤独に苛まれていました。

その時、目の前に女神が降り立ったのです。


何をしにきたのかと神は問いました。


女神はただ微笑むだけでした。

女神は夏の世界に住む神です。

冬の世界では、急速に消滅へと進みます。


帰れと神は言いますが、女神はやはりただ微笑むだけでした。

今にも、女神は消えてしまいそうです。


その時、やっと女神は口を開きました。

あなたは1人ではないと ・・・・・・。


消える瞬間、女神はありったけの力を使い自らを薔薇に変えました。


冬の神は、残された薔薇に触れました。

優しく優しく触れました。

その薔薇はとても暖かなものでした。


神は、この世に誕生して初めて孤独を感じませんでした。


薔薇の暖かさに涙が溢れました。

冷たい神が流す涙はあまりにも熱く、ついには神をも溶かしてしまいました。



深い深い森の中

冬の一番寒い日に咲く1輪の薔薇。

夏の太陽のように輝くその薔薇は、今でもどこかの森に咲くでしょう。

冬の世界の孤独をいやすために。

読んでくださりありがとうございました

拙い文章だったと思いますが、少しでも

心が暖かくなっていただければ幸いです。

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