冬の神と夏の女神
寒い寒い冬の森
深い深い森の中
1日だけ咲く1輪の太陽のように輝く赤い薔薇。
その薔薇にはこんな話がありました。
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昔、とある森がありました。
そこには1人の神が住んでいました。
冬を司る神です。
神の住む森には、冬しかありません。
明くる日も明くる日も一面銀世界。
故に神は孤独でした。
森に住むのは神1人。
他には誰もいません。
しかし、時々雪には違う世界が写ります。
その中には、夏の世界もありました。
神は、その世界に住む女神を愛していました。
そして、その女神もまた時折、湖に写る冬の神を愛していました。
そしてまた、その孤独な神を哀れに思っていました。
女神は知っていました。
自分の命があといくらも残っていないことを。
神とて、莫大な時を過ごす内に少しずつ力を失います。
やがては、新しい神と代わり消滅するのです。
女神は考えました。
そして、消滅する前に冬の神に会いにゆくことを決めました。
それは、冬の森で一番寒い日でした。
神は孤独に苛まれていました。
その時、目の前に女神が降り立ったのです。
何をしにきたのかと神は問いました。
女神はただ微笑むだけでした。
女神は夏の世界に住む神です。
冬の世界では、急速に消滅へと進みます。
帰れと神は言いますが、女神はやはりただ微笑むだけでした。
今にも、女神は消えてしまいそうです。
その時、やっと女神は口を開きました。
あなたは1人ではないと ・・・・・・。
消える瞬間、女神はありったけの力を使い自らを薔薇に変えました。
冬の神は、残された薔薇に触れました。
優しく優しく触れました。
その薔薇はとても暖かなものでした。
神は、この世に誕生して初めて孤独を感じませんでした。
薔薇の暖かさに涙が溢れました。
冷たい神が流す涙はあまりにも熱く、ついには神をも溶かしてしまいました。
深い深い森の中
冬の一番寒い日に咲く1輪の薔薇。
夏の太陽のように輝くその薔薇は、今でもどこかの森に咲くでしょう。
冬の世界の孤独をいやすために。
読んでくださりありがとうございました
拙い文章だったと思いますが、少しでも
心が暖かくなっていただければ幸いです。




