表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放騎士と銃装ゴブリン傭兵団  〜聖女とはじめる辺境の永世中立国〜  作者: ふろんちあ
旗揚げの章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/26

第二十四話 治癒師ライラの温泉ライフ3

「ええと……貴女は?」


「アクアライナと言います……ブランドル様に魔導蒸気と錬金術のお仕事があると聞いて……」


「ああ、貴女が例の! トモエ、大丈夫だから離してあげて」


「キィ!」


へろへろと腰を抜かすアクアライナの手をそっと取り、ライラは名乗った。


「私はヴィクトル様の婚約者、ライラ・メディスンと申します」


「は……しっ失礼致しました!」


跪き、臣下の礼をとるアクアライナ。


「アムズフェルト家、元家臣が一人、水のアクアライナ。此度は我が師ブランド・ファイエルより招集を受け、推参致しました。どうぞアイナとお呼びください」


「そんなに畏まらないで、よろしくねアイナ」


「はい……ところでこのゴブリン砦は一体……」


「ブランドルさんから聞いてない? ヴィクトル様はゴブリンで兵団を作って旗揚げされたの」


「聞いてたらこんなゴブリンの巣に一人で来ませんよぉ……私ゴブリン苦手なのにぃ……」


「あらぁ……」


言ったら来ないから、黙って招集したんだろうとなと、ライラはちょっと困り顔でアイナを慰めた。


――


ブランドルは巡回に出ているらしく、先にアイナの仕事場になるランディルの所へ。


「久しぶりだなアイナ、それじゃそのタンクにがっつり水を溜め込んでくれ」


「お久しぶりで、え? わ、わかりました」


ランディルとアイナは面識があったようで、会うなり仕事の指示を出した。


――ザババババ


「……ふぅ、満タンです」


「ご苦労さん、それじゃまた明日頼むわ」


「え、これで終わりですか?」


「そうだよ? 途中で足りなくなったらまた呼ぶから、好きにしてていいぞ」


「……好きにって、何をすれば……」


「じゃ、じゃあ私と温泉に入りましょうか! 長旅で疲れたでしょう? のんびり温泉で親睦を深めましょう!」


ランディが人に合わせられない理由がなんとなく分かったライラだった。


――


「砦の中に温泉があるなんて便利ですねー」


トモエ達に貸切にしてもらい、脱衣場で湯浴み着に着替える二人。


アイナはライラより少し年上、長身だが猫背、控えめでスラッとした体型をしていた。


「とは言え、ゴブリンの巣なんですよね……」


「……すぐ慣れるわ」


ライラは少し遠い目をしていた。


――チャポン


「あつぅ!」


「大丈夫? そっちは源泉だからこっちへ」


「あつつつ……いや、全然無理です。少し冷まさせてください」


「冷ます?」


アイナが手のひらを下に向け、温泉に水を注いでいく。


「ふぅ……これぐらいならなんとか」


「さっきあんなに魔法を使って、まだそんなに使えるなんて、さすが水使いね」


「最近は魔導蒸気の依頼ばっかりで、大量に作らされますからね……完全に移動式の井戸ぐらいにしか思われてませんよ」


「戦いには使えないの?」


「昔は水を飛ばして切る様な訓練もしましたが……元々水は戦い向きじゃない生活魔法ですからね。ゴブリンにだって3匹もいたら敵いませんよ」


「そっか……でも魔法の水があればポーションが作れるから、私としてうれしいな」


「お役目をいただければいくらでも……アムズフェルト家にはお世話になりましたから」


アイナが腰を下ろして深々と温泉に浸かる。だいぶリラックスしてきたみたいだ。


「前はどんな暮らしだったの?」


「錬金術としてポーション水の補給がメインでしたね。女家臣は私だけだったので、みんなちやほやしてくれたんですよ」


「アハハ、ここでもきっとみんなに優しくしてもらえるわ」


「それゴブリンだったりしません?」


「まぁ……大半は」


「お師匠さまも人が悪いですよ……若様が旗揚げされたからって来てみれば、これですもん」


湯船のアイナがぶくぶくしながら不満をこぼす。


「ここのゴブリンはヴィクトル様に良く教育されてるから大丈夫よ」


「そう言えば若様はどちらに?」


「ええと……ゴブリン退治……かな」


「……ええ?」


――


「一番隊、前進! ハックション!」


「ギィー?」


「いや、大丈夫だ。そろそろ上を警戒しろ」


草原を抜け、山道が渓谷に差し掛かったところで騎乗したヴィクトルとエリートゴブリンらは周囲を警戒した。


「以前はこの辺りで商隊が襲われた。スカウト、先行偵察だ」


「ギィー」


ピョンピョンと跳ねて渓谷を進むスカウト。


警戒して進む一行に対し、渓谷では静かな風が吹き進んでいた。


――カラン


「スナイプ! あそこだ!」


ヴィクトルが導火線に火をつけると、阿吽の呼吸で狙い済ますスナイプ。


ダーンと渓谷に響く砲撃音。崖上から転げ落ちる山ゴブリン。


「あんな距離を……一撃で……?」


目算にして50m、それも渓谷から崖上。商隊からしてはあり得ない精度の射撃であった。


「……それより荷馬車に入っていろ……監視がいると言うことは、来るぞ」


――シュラン


剣を抜いたヴィクトルの視線の先、スカウトが猛スピードで戻って来る。


「ギッギッギーー!!」


警報を知らす三度鳴き、ヴィクトルは再度崖上に視線を向けた。


5……10……20……より多い!


「引き返せ! この人数じゃ無理だ!」


慌てて馬をきり返す御者、崖上から降り注ぐ投石。奥からはゴブリンライダーが砂煙をあげて向かって来ていた。


★★キャラクター紹介★★

ライラ・メディスン

称号:治癒師・名家の娘・奴隷の娘・正統教会古式派・呪殺の聖女

スキル:算術見習い・信学論・古式医療術

術技:治癒の祈り・活性の祈り・ポーション生成

ギフト:たわわな果実

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ