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豚バラ肉と塩胡椒

作者: せおぽん
掲載日:2025/12/20

僕は山森タケル。19歳。大学1年生。


豚肉は最高だね。全ての料理にあう最高の食肉だ。


牛肉? 確かに美味いが、君のいう牛肉とは何かね?シャトーブリアン? それとも、牛丼に乗った薄切りかね?


鶏肉?素晴らしい。胸、モモ、ササミ、ハツ、レバー、手羽先、手羽元、ヤゲン軟骨。まるで、春の七草のような響きじゃないか。とはいえ、ヘルシーで物足りない。


だから、僕は豚肉が最高だと思うね。肉の旨味、脂身の甘み。至高の食肉だよ。今日は、この豚バラ肉を特製BBQソースにひと晩つけた物を焼いて食べるつもりだよ。豚バラかたまり肉を購入したんだ。半解凍した豚バラ肉を厚さ8mmにスライスしたものを、アメリカから輸入したBBQソースにつけてある。厚さのチューニングには苦労したよ。おかげで5kg太ってしまったけどね。



僕は、今、河原にいる。役場にはBBQの許可は申請済みだ。炭に火がついた。後は、彼女を待つだけだ。


程なくして、彼女が現れた。彼女の名は「田中かなた」。彼女は名前の通り、少し先を見ているような振る舞いをする。彼女も、大学のBBQサークル「ブタリアン」のメンバーだ。


彼女は、小さいトートバックをひとつ抱えて来ただけだった。僕は、2週間も前から用意してきたというのに! ご馳走だけ、いただこうという魂胆なのか! 「ブタリアン」の風上にもおけない。


「ありがとう。タケルくん。遅れちゃった。ごめんね。せっかくのBBQデートなのにね」


「い、いいんだよ。僕が、勝手に頑張ったんだから」


デ、デート? サークルの皆の為の予行練習だよ!


「お野菜は?」


「野菜なんて、豚肉に失礼じゃないかな?」


「ふふ、タケルくんはダメね。お野菜を食べないと、お肉の良さもわからないものよ。持って来たよ。少しレンジでチンしてきたから、少し焼けば美味しく食べれるはずよ」と、彼女はカットしたポリ袋に仕分けたキャベツ、ピーマン、人参などの野菜をトートバックから取り出す。


「もやしもあるわ。安価だし、栄養もある。習慣にしたいお野菜よね」と、スーパーで買ったままの袋に入ったもやしを取り出す。


「ありがとう。僕も良い肉を仕入れたんだよ! BBQ用のソースもアメリカから仕入れてね」


「ありがとう。美味しそうね。私もお肉もってきたわ。少しだけど」と、彼女はスーパーで買って来た、薄っぺらなパックの豚バラ肉を取り出す。


なんだよ。僕は君が喜ぶと思って準備したのに。


「焼きましょうよ」と彼女が言った。

「もちろんさ」と、僕は張り切り、トングで用意していた8mm厚の肉を並べる。炭火であるから火力調整が難しい。僕は慎重に配置を選ぶ。


彼女は、持って来た野菜をササっと無雑作に広げるだけ。パックの豚肉は、持って来たキッチンバサミでパチンパチンと切るだけ。肉も野菜と同様に場所など気にしない。


「味付けは?」と、僕が問うと彼女は、塩コショウをパッパッパっと無雑作にふりかけ「はい。おしまい」と言った。


僕が、8mm厚の肉を焦げすぎないよう睨んでいるうちに彼女は調理をやり遂げてしまった。


薄っぺらな豚肉の脂身の端が、ちりちりとキツネ色の焦げをつける。脂がぶくぷくと沸き立ち美味しそうな匂いを立たせる。


「もう、大丈夫。はい、あーん」と、彼女はその肉を箸で摘み、僕に向けた。


ちくしょう!ちくしょう!大好きだ。

僕は彼女にかなわない。

ちくしょう! 僕は彼女が大好きだ。


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