Stage6 川の渡り方
さて、もう怪物は出てこないので、ドンドン先に進みましょう。
あと、ズリャくん。勝手に木の実を食べないでください。
「モグモグ……ズリャ!」
さて、激闘を制したテリャくんとズリャくんは、ジャングルの中を突き進んでいきます。
すると――おっと!
何という事でしょう。本来は橋がかかっていたのですが、壊れてしまって先に進めません。
見下ろすと、川が流れています。一見何て事ない川ですが……
テリャくん、試しに石を投げてみてください。
「テリャ!」
そうです。地面に落ちていた小石を思いっきりポーンと。
――バシャバシャバシャ
「テリャ!」
テリャくんが驚くのも無理はありません。
バシャバシャ跳ねているのは、恐ろしい牙を持った魚の怪物なんですから。
しかも、川の中に大量に。
「テリャ……」
テリャくん、怖いですよね?
さて、どうしたら渡れるでしょうか?
周りをよく見渡してください。
何かありませんか?
「テリャ……テリャ……テリャ!」
おっ! 何か思いついたんですか?
「テリャ! テリャテリャ!」
ふんふん、『あぞこにある丸太を使って渡れないか』と。
いいですね! 早速やってみましょう!
さぁ、テリャくん! 丸太をここまで運んで――あれ?
丸太がない。さっきまでそこにあった、壊れた橋からそこそこ近い所に設置してあった丸太がない!
えーと、設置ミスかな? それとも――ズリャくん。
「ズリャ?」
あなた今、何をしているんですか?
「ズリャ! ズリャズリャ!」
えぇ、キャンプファイヤーしているのは見て分かります。
どこの木材を使ったんですか?
「ズリャズリャ!」
やっぱり、そうでしたか。
ズリャくん、勝手にあの丸太を使ってはいけませんよ。
「ズリャ? ズリャズリャ!」
え? 『名前なんて書いてないから別に使ってもいいじゃないか?』って?
うーん、まぁ、言われてみたらそうなんですけど。
あのー、あれは、そこら辺に転がっている石とは訳が違うんですよ。
この橋を渡るための丸太であって、存在価値のある――って、川の魚焼いて食べるな!
「ズリャ!」
え? 『良い塩加減』ですって?
あれ? 調味料は渡してないはず――まさか!
うわー、やっぱりそうだ。この川、塩水でできている。
嘘でしょ。川の海なんてありえないよ。
間違えた。これは私のミスだ。
あーん、上司に色々怒られる〜! 眼鏡女神に怒られる〜!
「ズリャ?」
『食うか?』って、食べられる訳ないじゃないですか。
私、けっこう遠くの世界にいるし。
まぁ、それはいいとして――ふぅ、気を取り直して、行きましょう。
川はなかった事にします。海です。
小川みたいな海が山から流れています。
さて、ここに一隻の船があります。
どうしてあるのかは聞かないでください。早くこの場面を抜け出したいので。
さぁ、テリャくんズリャくん、乗って漕いでください。
「テリャ!」
「ズリャ!」
せーの! えんりゃこりゃ、えんりゃこりゃ、どっこいしょー! どっこいしょー!
えんりゃこりゃ、えんりゃこりゃ、どっこいしょー! どっこいしょー!
……ハイ、着きました。
「ズリャズリャ」
え? 漕ぎづらかったですか?
私の掛け声がいけなかったと――うーん、そうですか。
じゃあ、『アホイホイホイ! アホイホイホイ!』の方が良かったですか?
「ズリャ」
嫌ですか。じゃあ――
「テリャ!」
おぉ、テリャくん。どうかしましたか?
「テリャテリャ!」
え? 『早く進みましょう』って。
あぁ、そうでした! すみません!
すっかり忘れていました。私のおっちょこちょいさん。
「ズリャ」
引くな、ズリャくん。