第4話 お嬢様、景品交換はあちらです
お嬢様の初パチンコ、右打ち確変が始まったわけだが……
33回転目、当たり。
52回転目、当たり。
24回転目、当たり。
当たり、当たり、当たり……
「オーホッホッホ! 金の鉱脈を見つけましたわ〜!」
「すげぇヒキだ……」
止まらない、終わらない。まるで泣きながらやった課題のようだ。お嬢様ってマジでそうやって笑うのね。
「セツナ、どのくらいのお金になってますの?」
「えーっと……今10万くらい」
「それはどの程度⁉︎」
「まだまだ足りなーい!」
「なら打って打って打ちまくります!」
10連、20連、30連。
1500発×当たり回数が止まらない。現代パチンコをお嬢様が攻略している。
「なんでそんなに当たんだよ⁉︎」
「セラ=バートリーに不可能はありませんわーっ!」
さっきまで2万発ちょいだった出玉が、あっという間に9万発。そして、台は急に止まる。
「あら? 壊れてしまったのかしら?」
「コンプリート、打ち止め……その台から出る分、全部吐き出させちまったんだよ」
すげぇぜお嬢様。金持ちには金が転がり込むようにでもなってんのか。
「仕方ありませんわね。今日はこの辺りで引き上げましょう」
「じゃあそこの係数押してカード出して……」
「読めませんわ」
言葉は通じても日本語は読めんのかい……
妙な設定はさておき、さっさと出玉を回収して交換しよう。
全く当たらない自分の台とはお別れして、藍のドレスを従えて景品カウンターへ。
「その板をお金に換えれば終わりかしら?」
「さっきの玉が直接お金になるわけじゃないよ」
無人の受付が増え始める昨今、贔屓の店の受付には未だスタッフを置いている。ジャラジャラ雑音が大きく何を言ってるかはよく聞こえないが、とりあえず「はい」と返事を繰り返す。
そして、受付の下から別の板が数十枚せり出し、俺とお嬢様へ渡されるのであった。色分けされたプラスチックの板の中には金が入っている。いわゆる、特殊景品というやつ。
「金?」
「そ、金。これを交換しにいくんですよお嬢」
「結構。それで、交換所はどこなのかしら?」
騒音の中でも、お嬢様の声は不思議と通る。
しかし例の如く、店員は回答に困るわけで。
「お嬢様、交換所はどこかスタッフは知らないんすよ」
「それでは交換できませんわ」
「知らないんすけど、この板を持った人はみんな……あっちの方へ行くんすわ」