第15話 お嬢様、お買い物です(デートではありません)
タクシーで最寄りのショッピングセンターに移動すると、即座に服屋に連行されてしまった。金銭感覚がどうなってるのかは知らんが、ごく普通のアパレルである。まぁブティックなんか行かれても困るんだが。
そして俺は試着室の前で待たされているのである。カーテンが開かれると、ピンクのガーリーな格好のお嬢様が現れた。
「どうですセツナ?」
「似合ってるんじゃない?」
再びカーテンが開閉し、エレガンス系のファッション。ちなみに別店舗である。
「これは?」
「似合ってんじゃね?」
さらにカーテンは開閉し、アメカジ系お嬢様が現れる。
「どう?」
「いいんじゃないっすかね」
お次はアウトドア系の格好。格好が動きやすさ重視に向いてるようなないような……
「素っ気ないですわねぇ、美女が貴方の為に着替えていると言うのに」
「何着ても様になってっから感想の出しようがねぇよ。パチンカスを期待するな」
「ぱちん、かす?」
今の服装も購入して、店を後にする。ちなみに荷物持ちは俺だ。お嬢様は手ぶらで散策を楽しんでいる。
「えーっと、俺たちがやってるあの遊技……パチンコにハマり過ぎてる奴、かな」
「まぁ! では私もパチンカスということですわね!」
パチンカスお嬢様……? 相反する言葉な気もするが、現状そうと言えなくもないのがちょっと面白い。
お次のファッションはジャージのトップスにロングスカート、スポーツカジュアル系とかなんとか。というか当世の格好にふっつうに順応してやがる。
「いかがです?」
「下もジャージの方がパチンカスレベルが高いかな」
「動きやすさと私らしさの表現ですわ」
う〜ん、わからん。上下ジャージでも十分な気もするが……ファッションとはわからん。むしろおしゃれレベルが既に俺より上じゃね?
「ま、似合ってますぜお嬢様」
「よろしい。これも頂くわ」
結局その後も服やらなんやら買いまくり、今日の勝ち分の半分以上は消えていったようだ。
「ふぅ、やはり消費は気持ちがいいですわねぇ」
「後先考えず使ってませんかね?」
「経済を回していますのよ?」
さすが悪役令嬢セラ=バートリー。金使いが荒い理由が分かりますわ!!
「本当ならお店ごと買いたかったのですけれどねぇ」
……本気か冗談か、よくわからんのもお嬢様ですな。