第14話 お嬢様、プロ疑惑だそうです
「さぁ軍資金は余裕しかありません。セツナ、進軍継続ですわ!」
「アイアイサー!」
またもや隣に並ぶ。どうやら2台続いて金の匂いがするそうな。気にせず1万円投入!
「お! この台は釘の調子が違う」
「金の匂い+金までの道を見極めたまだですわ!」
なんでもありかよこのお嬢様。
1000円14回転であるが、さっきの台よりマシだ……なんとも言えない妥協ではあるが……
「ご覧なさいセツナ、また虹色よ!」
「お前の台に確率は無関係なのか」
はたまたそれすら金の匂いとやらで嗅ぎつけているのか。1000円で当たりを引き寄せ、スムーズに確変へ突入である。
「オーホッホッホ! スキルの調整もそこそこ、もう一度ぶち抜いて差し上げますわーっ!」
「任せたお嬢」
笑うお嬢に出すお嬢(玉を)。
1500発のドル箱が再び積まれていくではないか。そして、こちらの初当たりを取る頃には、箱は30を超えていた。お嬢マジパネェ。
「これ、もっと積み上げてもらえないのかしら」
「シャンパンタワーじゃないんだから……」
どうやらドル箱積みが気に入ったらしい。わかる、わかるぞ。スマートパチンコの快適さもいいけど、古き良きドル箱もいいよね……
お嬢様の隣でひとり頷きマンと化していると、どうやら当たりの波が引いたようで。
「この台も金の匂いが薄くなりましたわね」
「んじゃ、移動しますか──」
「お客様〜?」
呼び出しボタンを押す前に、背後には糊の効いたシャツを着た女性の店員さんが立っていた。
……なんか嫌な予感。
◇ ◇ ◇
パーラー『らすべがす』、玄関。
店員さんはどうやら店長だったらしく、お嬢様ことセラ=バートリーをパチプロ認定し、ご退店願ったと言うことだ。
「ぷろ?」
「要は俺たちがやってるパチンコで稼いでる専門の人間だ」
見たことないけどな。そりゃ激渋の鍵で1000円50回転以上させてるなんてプロかゴト師(パチンコでイカサマする人)を疑う。昔馴染みの店とはいえ、さすがにお嬢様のパワーは強すぎたらしい。南無南無。
「まぁ、ギャンブラーはこの世界にもいますのね」
「パチンコは遊技です」
それでも特殊景品を交換してくれたのは温情だな。おかげで昨日と同じくらい稼げたらしい。お嬢様に貸してる財布が、札の厚みで悲鳴をあげている。
ちなみに俺は+1万円。勝ちは勝ち。
「さて、ある程度余裕もできましたし参りましょうか」
「パチンコ屋?」
「違います、服です服。まさか貴方、この私に汗臭い『じゃーじ』を永遠に着ろと?」
「お買い物っすか……」
そりゃパチンコに勝ったら高い買い物することもあるけどさぁっ!
「行きますわよセツナ、食事は奢りますから」
「アイアイサー!」
もしかして飼い慣らされてませんかね、俺。
※ ※ ※
実際の出禁はどうなんすかねぇ。
やりすぎると声かけられるそうですが。