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第1話 お嬢様、ここはパチンコ屋です


 運命的な出会いって何だろうな? と、大学生のいま……ふと考える。まぁ大体唐突なもんだと思う。


 ベタなら空から女の子が降ってくるやつ? 実際のところ、あんまり例はないけど。空じゃないならさらに上、宇宙から? いやいや、異星間交流はまだ時間かかるって。一般的には転校生か? いやいや大学に転校生なんてそうそういてたまるか。


 だから変わった出会いとは何かって考えてたんだけど……


「貴方、私に()()のやり方を教えてもらえるかしら?」


 日がな大学をサボってはパチンコ屋に入り浸ること数か月。


 単位はとうに諦めて、パチプロになるかと淡く儚い理想を抱きつつ、今日も元気にパチンコ三昧。そんな中、唐突に横に座ったのは……藍のドレスを着た、金髪の女だった。


 そのドレスってのも妙で、現代のパーティーで着るようなもんじゃなくてコルセットでも付けてんのかってツッコみたくなる、スカート部分がデケぇまさに『お嬢様』が着るようなモンだった。


 顔立ちは整ってて目は吊り目がちなちょっとキツめのルックス。睨まれると自然と萎縮されちまいそうな威圧感漂う姿は、いつぞやの深夜アニメに出てた『悪役令嬢』そっくりだ。


「お嬢様?」

「そうよ、私はバートリー家が長女、セラ=バートリー。貴方は?」

「……主義刹那おもよしせつなっす」


 有無を言わさず名前を引き出されてしまった…………! なんだこいつ、ただのパチンコ屋の客じゃねぇぞ!?


「そう。それではセツナ、改めて言うわ。私に、コレを教えなさい」


 ここは権謀術数張り巡らされるお貴族様の社交場ではない。ジャンジャンジャラジャラ、ジャンジャンバリバリ銀玉流れる遊技場。握った諭吉と栄一を夢に変えるため、今日も戦士たちがハンドルを握る戦場……もとい、


「お嬢様、ここはパチンコ屋です」


 パチンコ屋でヘンテコな客に絡まれることは何度かあったが……


 お嬢様に絡まれるのは、これが初めてだ。

 

 

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