先へ
俺はその振り上げられたでかい拳を回避してカウンターを仕掛ける。
[×10]した拳をそいつにぶつける。
だが、ソンはビクともしなかった。
「ヨワ、ィ」
「やっぱり、変わっちまったな。」
少し哀れんでいた。
そして俺はそのでかい拳を喰らって吹き飛ばされる。
邪神の数倍思い威力の拳だった。
俺は後ろの壁にぶち込まれる。
「ッ……ハァ…」
どうやって、勝てばいいんだろうな。
巨大化したソンの力は数倍強くなっていた。
巨大化した奴と戦うなんて初めてだ。
いや、
こいつは、敵だ。
殺せばいいんだ。
全て、忘れろ。
ソンとの思い出を捨てろ。
目的の為ならば。
どんな手でも……
目の前の煙の中からとてつもない殺意の感情を感じる。
「狂人、クン……?」
この能力を使って自我を保つのには精神力がとてつもなく必要となる。
すぐに能力に呑まれてしまいそうになる。
だけど、その分強くなる。
そんなことを考えていたら、
彼は僕の顔の目の前にいた。
目で追えなかった。
「ッ?!」
彼は僕の顔面にエネルギー弾を無数につぎ込んだ。
そして僕のお腹に拳を突き刺した。
そして僕を蹴飛ばした。
僕は吹っ飛んだ。
壁にぶつかる。
この巨大化は体が重くなる。
強い分代償はそれなりにある。
「ァア。」
彼はそう言っていた。
彼の目は黒かった。光を一つも反射していない。
どろどろになってしまった目だ。
殺意が溢れている。
僕は、彼を止めないと。
倒さないと。
制圧しないと。
僕は彼を殴り飛ばした。
そこから少し攻防戦が続いていた。
まずい、また、能力に呑まれてしまう。
早く制御しないと。
自分が壊れてしまう。
怒りを制して、最強になって……目的を。
俺はそこで途切れかけた意識を覚醒させる。
「ハァ…ハァ…」
俺は壁に打ち付けられていた。
息が荒い。
目の前に居るソンは元の大きさになっていた。
「やっぱり。僕はあの能力は使わないで戦う。」
「お前……何を…」
バキバキ
俺は腹に拳を突き刺される。
「ッおェ!」
血を少し吐いた。
「お前を、殺さないと……俺の目的は…」
「キミは目的に囚われているんだね。その目的を果たしたいなら僕の事を殺してからにしなよ。」
「言われなくても……!」
俺はソンに蹴飛ばされる。
「前より弱くなってるんじゃないの。」
ソンはそう言っていた。
確かにそうだ。
俺は疲労が溜まっている。
能力も上手く使えていない。
怒りを何とか収めたが、エネルギー源がなくなってしまった。
少し怒りはあるが、それはエネルギーにはしがたかった。
「狂人クン、その目的って、親の仇討ちだっけ……」
ソンはそう言った。
「そうだ…ッよ!!!!」
俺はソンに拳を突き刺そうとしたが止められた。
俺は反撃を喰らい、蹴り飛ばされる。
「キミがその程度で、あの邪神を殺せるとでも思っているのか…?」
「絶対殺してやるんだよ……!」
「……」
少し沈黙が流れる
「キミの親も、さほど弱かったんだろうね……」
俺はその一言で感じた。
かつてないほどの怒りを。
〈感情に身を委ねるな〉
俺はその言葉を思い出す。
そうだ。この怒りを力に。
「……お前…撤回しろよ。その言葉。」
「あ?」
「撤回しろよ……」
力がみなぎってくる。
疲労を感じない。
████[×80]
███⁴
██████³¹
脳に流れてくる。
力を強力にする何かが。
俺は気がつけば動いていた。
「ッ?!?!」
俺はソンをぶち飛ばしていた。
城の他の部屋に飛ばしたみたいだ。
俺はそのソンに追いついて顔面を掴む。
「どこに行くんだ?耐えろよ。邪魔者」
俺はソンの顔面を壁に叩きつけて腹に無数の拳を叩きつけた。
そこから俺はソンをボコボコにした。
「見…え、ない……」
ソンは壁に打ち付けられて倒れた。
傷だらけだ。
俺につけられた傷だがな。
俺はナイフを疑似創造で創り上げた。
そのナイフにエネルギーをためる。
「ソン……お前を殺す。」
「勝手にしな……狂人クン…」
目を瞑るソン。
「邪神は、さらに上のところにいる。だけども……門番のような奴もいる……おそらく僕より強いさ…もう、……君の好きにしな…」
「そうか。」
「やっぱり……僕はキミには勝てないんだな。」
「そうだな。たまたま俺が強くなれただけだ。」
「そうかよ……」
「……またいつか会えるといいな。ソン」
「その時は仲良くしてね……狂人クン…。あと、キミの親のことバカにしちゃって……ごめんね」
「……許せねぇよ。バカが…」
「そうかい……仕方ないか…」
ソンはそう言った。
「そういえば狂人クン…名前は……?最期だし教えてよ…」
「そうだな……仕方ない。教えてやろう。」
少し考えた。そして
「俺は███だ」
俺はそう言った。
「そうだったのかい…いつかその真相を教えてもらおうかな…?」
「あぁ、いつかな」
バシュ
その音ともにソンは殺された。
俺の手によって。
惜しい奴だった。
邪神に誘惑されてそれに負けたのだ。
そもそも俺があの時救えていたら。
そう考えると自分への怒りが湧いてくる。
なぜ助けれなかったのかと。
……
視界がぐわんと歪む。
能力の過度な使用だ。
無理矢理強力な力を引き出したことによる反動だ。
まずい。
倒れる……
「よく頑張ったな。狂人。」
薄れゆく意識の中そんな言葉が聞こえてきた。
「おい!キナ、ここでコイツの面倒を見てくれ。俺らは先にアイトと上に行く!」
「わかりました。」
ジョン……?
仲間……か?
考えるのはやめよう…
俺は眠りについた。
起きろ。俺…早く起きろ…早く起きないと…
俺は目を覚ました。
「ワァ!!目が覚めるのが早い方ですね。」
目の前には女の人が居た。
「ん……?あんたは…」
「キナです。よろしくお願いします。」
そのキナと言うやつの手は俺の腕に触れていた。
「あぁ、私の能力は【回復】なんですよ。触れた人の傷を癒すことが出来ます。」
なるほどな。
「わざわざありがとう。」
「いえいえ、大丈夫ですよ。仲間になったのですから」
「ジョン達はどこへ?」
「先に上に向かいました。」
「まじか。俺らも早く行かないと」
「無理はしないでください。」
「大丈夫だ。」
「そうですか。」
「それじゃ行くぞ。キナ」
俺は立ち上がりそう言った。
私はその狂人と呼ばれている人の背中を追っていた。
私が面倒を見始めて20分もしないうちに目が覚めていた。
その人は眠りについている時、何かにうなされていた。
何にうなされているんだろう。
悪夢でも見ていたのかな。
私は再びその背中を追うのであった。




