再び
俺がひたすら北に進んで数日が経過した。
気づいたこととしては、
邪神の封印が解かれたことによってほとんどの場所が廃墟と化していた。
一般の人々はどこかに避難したのか、もしくは邪神に怖気付いてSecretに属したか。
それともほとんどの人間が消え去ってしまったか。どうなんだろうな。
そして俺は相変わらず廃墟となった場所を仮拠点として過ごしていた。
俺は北に進むだけだが、特に何もなかった訳では無い。
邪神の手先が時々現れてそれを情報を吐かせた後に消し去る。
それが度々繰り返されていた。
その手先の実力を見る度、これは元々一般市民だったんじゃないとかと感じるようになっていた。あまりにも手先と言うには弱すぎる。しかも多い。
「ハァ…」
その日、俺はそのビルの中で休んでいた。
「相変わらず空は黒いな。」
仇討ちをした後の事。
俺は平和、平凡の日々を求めていた。
早く拠点を探さないとな。
俺もワープを使えるようになれば楽なんだが、今の俺じゃまだそこまで高度な事に使用はできない。
「は〜、またか。」
俺はその気配に気づく、
ざっと10人ほど、
「ここら辺に居たはずだ!」
俺は上からそいつらに空襲を仕掛ける。
「遅い時間にこんなことをするなんてな。まぁ、空は黒色に染まってしまったから時間なんて関係ないか。」
そう言って、その戦いの火蓋は切られた。
俺は文字通り蹂躙した。
あの学園での試験で現れた20人よりも手応えはなかった。
能力者なのかすら怪しいくらいだ。
大体のやつを気絶した後に消し去った後、
残った一人の奴に
「お前、この奇襲の目的は?どうせお前たちもSecretの奴らなんだろう。」
「ぁぁ…化け物が…」
「ほら、言えよ」
俺はそいつの首元にそのナイフを当てる。
そこで俺は思い出す、
「いや、これで地面に書け。」
そう言いそいつは恐怖で体を身震いさせながら、何かを書いた。そこには
上から命じられた
とだけ書かれていた。
「これ以上は、何も言えない…とっとと死んでくれ…化け物が…」
俺はそいつに触れて[×0]をして消し去る。
少し休息を取らないとな。
俺も数日ずっと動けば疲労が溜まる。
かと言って荒廃したところに風呂なんて娯楽のようなものはないけどな。
俺は壁によりかかって座った。
いつ平和は訪れるのだか、
そう考えながら、眠りについた。
「………っ……ろ……!」
「……き………ろ!!」
「起きろ!!!!!!!」
その言葉が脳に響いた瞬間俺は意識を覚醒させた。
「ッ?!」
腹に拳が突き刺されていた。
重たい一撃だった。
スマホを見て時間を確認する。
3:51
「ッチ、全然眠れなかったな。それにしても、お前は…」
気配を感じる。
相変わらず仮面をつけている。
あ?昨日のやつらは付けてなかったな。
まぁそうな事はどうでもいい。
今の目の前の奴は少し強そうだ。
「あいにくと俺は時間をかけてる暇はないんだ。」
そいつは何も話さなかった。
「何も話さないのか。なら、いい。」
俺は自分の身体能力に[×10]をする。
これが1番動きやすいくらいの速さだ。
俺は距離を縮め、そいつの腹に触れようとする。
そいつは俺の手首を握った。
「…ッ」
俺の能力の特徴を知られている。いや、流石にSecretの奴ら全員に通用するとは限らないか。
俺は外に放り出されていた。
にしても、中々の反応速度だ。
他の奴らはほぼ反応すらできずに俺にやられていたのに。
「ッ?!」
ビルの中からエネルギー弾が飛ばされる。
俺は何とかそれを弾き飛ばす。
爆発音が鳴る。
地に足をつけて上を見上げる。
相変わらず黒い空だ。慣れないものだ。
そいつも地に足をつける。
そして俺はそいつと対峙する。
「さて、お前の実力はどんなものだ?」
そいつは話さずに構えた。
「またか、」
俺は疑似創造でエネルギー弾を作る。
そしてそれとぶつかり合ってそれは相殺された。
「慣れねェな。」
そんなことを言ってると、
そいつは気がつけば俺の目の前にいて、
俺の腹にエネルギー弾を押し付けて爆発させた。
血を少し吐く。
やはり疲労が溜まっている。
いや、少し昨晩の眠りで癒されているが。
足りなかったみたいだな。
早く決着を付けなくてはと思い、俺は自分の足の力に[×20]をする。
この速さは弾丸以上に早くなる。
故に反応出来るやつはごく一部の化け物だ。
その力で俺は一気に畳み掛ける…
予定だった。
「私の能力についてお教えしましょう。」
そいつは俺の拳を握りつつ俺の首を締め上げながら、
「私の能力は、【喜怒哀楽】だ」
その言葉を聞いた瞬間、俺は心の中で何かが切れる音がした。
私がそう発言したあと、
彼、自称〈狂人〉は雰囲気、いや、気配その物が変わった。まるで人格が変わったかのように。
だが、人格は変わっていないのだろう。
姿、そのものは彼のまま。
私が気がつけば吹き飛ばされていた。
私の能力は【喜怒哀楽】。
そうだ、彼と友達だったソンという人物の能力だ。
この能力は邪神様によって私に与えられた。
瓦礫をどかして彼のところに向かおうとすると、どうやら彼が先に私のところに来てくれたらしい。
その形相は、鬼のようだった。
「流石、狂人と呼ばれるだけはありますね。」
その顔は笑みを浮かべている。
だが、その目は人を殺す目をしていた。
彼の掌に触れてしまえば消し去られる。
だから触れてはいけないと言われていた。
彼は私の腹に掌を押し付けた。
その瞬間、私は死を悟った。
だが、彼は違った。
彼は私のお腹に無数のエネルギー弾をつぎ込み。
私を吹き飛ばした。
「ッ…いったい…」
彼は吹き飛ばされてる私に追いついて、私の顔を掴み、ビルに投げ飛ばす。
彼はまるで化け物のように私を痛めつけた。
「ハァ…ハァ。」
全身傷だらけだ。
私は彼の抹消、始末を命じられた。
彼は狂人と呼ばれていたから少し強いとは思っていた。
だけど、これほどのものとは思わなかった。
この今の状態の彼なら邪神互角に渡り合えるのだろう。いや、もはやそれ以上なのかもしれない。
私は、跪いたまま。
彼を見上げる。
彼は私を見下ろすようにして。
「死ね」
と端的な一言を述べた。
彼の手にエネルギーが集まっていく。
どんな原理なのだろうか。
そんなことはいい。
私は彼の抹消命令された。
だが、もし、無理だと感じた場合は…
「死ね」
俺はそう言った。
怒りに身を任せたまま動いてそいつを死なない程度に痛めつけた。
苦しみをあじわってもらうために。
俺はそいつを見下ろす。
そして手に生み出したエネルギーを収束させる。そして放とうとした瞬間。
「今だ」
そいつは俺の手首を掴み。
そのエネルギー弾の軌道を変えて何とかそれを免れた。
「……ッ!!!!」
そいつがそんな声にならない声をあげた。
そしてそいつは俺の手首を離して、距離を取った。
「君は…未知数だ。だから、私はこれを命じられたのかもしれない。私は戦力にはなれないから。だから、私は君のいちばん厄介な消し去る力を封印しました。」
「ッ?!」
俺はそれを聞いた瞬間目を見開いた。
俺はそこにあった石を掴み、[×0]をした。
だが、その[×0]は使えなかった。
「×2」をするとその石は2個に増えた。
[×0]それだけが使えなかった。
たった一瞬、その一瞬の油断がこの状況を生み出してしまった。
俺はそいつを見る。少し透けていた。
「寿命を全部賭けてもそれしか封印できなかったみたいですね。一体君は何者なんだろう。邪神様から預けられたこの封印する力…この力に見合うことが出来たんでしょうかね。私はもう、死ぬ身ですから、考えても意味は無いでしょう。」
俺はエネルギー弾をそいつに打ち込む。
しかし、そのエネルギー弾はそいつを透けて、奥の方に飛んで行って爆発した。
「クソが!!!!!」
「まぁ、精々頑張ってください。応援はしてません。私は邪神様に忠誠を誓っているので。」
そしてそいつは消えてなくなってしまった。
俺は、その何もない地にただ1人で立っていた。
あの能力はソンが1番使えていた能力だと思っていた。だから、あいつはあんなに強くなった。それだけだと思っていた。
だけども、本命はあの封印だった。
クソが
本当に何も出来ない奴だ俺ってのは。
俺は地面に拳を叩きつける。
軽く地割れが起こった。
地面が揺れるのを感じる。
クソっ!クソっ!クソっ!!!!
あれから2日が経過。
2日も無駄にしてしまった。
封印してきたアイツが消えたあと、それからは何も奇襲などはなかった。
まるで、早く北に来いと言わんばかりの事だった。
いいじゃねぇか。やってやろう。
俺はビルの上に立つ。
食料は補充した。
あとは北に進んで拠点を探して邪神を撲滅するだけだ。
俺は目的のために生きる。
そして、守り切れなかったソンの分の願い。
邪神を殺したいという自分と同じ考えを持っていた友達の願いを胸に。
俺は北に進む。
ただ、その邪神を撲滅する為に。




