第24話北の大陸
グロいシーンは、ありません。
安心して、お読みください。
寝床を探しながら、少し考えていた。
この巨体だと、難しいところだよなぁ。前は体が小さかったから、そこら辺で、寝れたけど、隠せない体じゃなぁ。何かないか、頭の中でいい物がないか、探る。
擬態〈ミミクリー〉
自身がなりたい姿になる。持続時間は、術者が解かない限り擬態する。
発動に消費するもの、血。
血ねぇ〜、どれくらい消費するんだ?スキル発動中は、血が減らないのか?....試してみるか。
全身に集中し、スキルを発動させる。
変化が終わった後、自分の体を確認する。
「成功だ。」
声も出る。慣れ親しんだ体だ。数日ぶりだが、数年ぶりな気がする。そう、俺は、人間に擬態した。
「ハッ!ハックション!」
くしゃみをする。裸だった。風邪ひきそう。あと、なんだか恥ずかしい、誰も見てないはずなのに...。
俺は、木の枝と、つた、大きめな葉っぱを何枚か、集めた。
木の枝は、一箇所に集め、火をつける。
「あったけ〜」
大きな葉っぱに、つたを通し、腰に巻く。息子は隠れたな。今のところ、血が減っている感じはない。どうやら、発動の時だけみたいだ。
そして、体を見つめ変化に気づく。
まず爪だ。本来なら薄ピンクな感じだが、少し赤みを帯びている。火の反射ではない。
あとは、ゴリマッチョではないが、なかなかいい体をしている。自分で言うの、恥ずかしいな。
それと、人間の体になって、あの時の、怪我の大きさを、自分の目で、改めて確認する。これでよく、左腕取れなかったな...。
ガサッガサッ
後ろを振り向く。
何かいる?気づかなかった。
「いや〜、道に迷っていたから、あかりがあって助かった〜」
「ホント、最悪。蜘蛛の糸にかかるは、魔物には追いかけ回されるわ」
「今度からは、頭にしっかり、地図覚えておかないとだな。」
「.......」
「.......」
3人の人間が、森の中から出てきた。そして、お互いを見て、固まる。
「キャー‼︎変質者ー!」
「お、落ちつけ」
「俺達とは違う、生活してるんじゃないかなぁ〜」
確かに、この格好してれば当然の反応だが、誤解は解いた方がいいな。
「はじめまして、初対面の方にとんでもない格好を、見せてしまい申し訳ありません。これには、深い事情が」
「喋りかけてきたー!孕ませられる。」
「おい、それはさすがに言い過ぎだろ、こんな格好じゃ仕方ないかもだけど!」
女は男の背に隠れ、言ってきた。
「じゃ〜、聞いていいかい?なんでそんな格好しているんだい?」
横にいた、2人がうなずく。
「話す前に、火の所に来たらどうだ?寒そうにしてるからさ、お互い温まって話そう。」
3人は、火を挟む様に、俺の前に立つ。
「それじゃあ話そう。俺は南の大陸から来てね、ちょうど噴火に巻き込まれて、逃げる様に海を渡り北の国に来たんだ。その際に、持ってた荷物も、服も無くしてしまったんだ。服は着ていたから、あったにはあったんだが、海を渡る時、魔物に襲われて、ビリビリに破れちゃったから、捨てたんだ。以上があり、今の姿になったのさ。」
「わかったが、あの海を、泳いだのか?人間には、そうそうできたものじゃないが?」
「よく言われるよ。俺は、普通の人より強靭でね。たぶん親のおかげかな?見た目は人間と同じだけど、獣人との間に、産まれたからな。」
「まぁ、それならありうるのか?」
「別にそれでいいんじゃね〜、悪い奴には見えないしさ〜」
「ちょ、いいわけないでしょ!」
「まぁまぁ、落ちついてよ。ただ、夜が明けたら俺達に付き合ってもらうよ〜。」
「どういうことだ?」
「俺は悪い奴には見えないって言ったけど、信用できる奴とは言ってない。」
「つまり?」
「連行してもらうよ。こう見えて、アナスタ国の冒険者でね、怪しい奴は、放って置けない。」
「断ったら?」
「そんな、おバカじゃないと思いたいねぇ〜」
元気のいい男は、剣の鞘に手を、置く。
「わかった、わかった。従うよ。」
どんな国だか知らないが、少しでも情報を知れるのはでかいな。この世界は、まだまだ知らないことだらけだ。
俺達は、夜明けが来るまで、待ち続けた。お互い警戒しているため、眠ることは無かった。
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