表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/45

第41.5話 私は勇者になってしまったようです・・・(中中)の話


黒い何かが、最愛の人の胸に剣を突き刺した。

そして、私は助けようとしても、身体が動けずに、ただ見てることしか出来ない。

聖剣の力を使っても、身体に纏わりつく黒い何かは、払うことが出来ずに、動けずにいた。

そして、黒い何か、彼を引きずる。


(やめてくれ・・・!どうして、そんなことをするんだ!)


叫ぼうとしても、喉を締め付けるように、大きな声は出せずに、掠れる。

手を伸ばす事すら、許されない。


(動いてくれ・・・!私の身体・・・!オーバー・クロックッ!!!)


しかし、発動しなかった。

魔力も、力もあるのに、何故。

私は、それでも力づくで、黒い何かを振りほどこうとすると、急に体の拘束が解ける。

その勢いで、思わず転んでしまう。


(これで・・・!)


だが、黒い何かは、既に彼の首を掴み、目の前の深そうな穴の目の前に立つ。

この後、何が起こるのかは予想できる。

私は叫びながら、重い鎧を脱ぎ捨て、走り出す。


時は既に遅く、彼はそのまま・・・。

私は気づけば知らない天井を見つめていた。


(まあ、知ってる天井なんだけど・・・)


どうやら、最初の訓練で私は気絶したようだ。

窓を見てみれば、もう夜だった。

この短時間で、再び夢を見たようだ。

案の定、何も覚えていないけど、良い気分の内容でないのは確かだ。汗が凄い。

取り合えず、着替えよう。


「ん・・・?これは・・・」


鏡を見ると、目には涙を流していた。

最初は汗だろうとおもったけど、そうではなかった。

自分は何故、泣いているのか、覚えていない夢に関係しているのか、分からずじまいに、すぐに拭く。

そして、すぐに着替える。


「まだ、食堂空いてるかな・・・」


私のお腹の虫が、そこそこデカい音が鳴る。

お腹空いた。なんでここまでお腹空いているのか、考えられるのは大体は先ほどの訓練で踏み込んだ時に"変な"感じがした。

あれが、ここでの魔力なのかな?

まあ、それはさておき食堂に、向うことにした。


私はゆっくりドアを開ける。周りを見渡すが、人の気配は感じなかった。

廊下に出て、長い廊下を歩いていると、突き当りのから誰かが通り過ぎて行った。

それは、見た事のある人物。


「ん?あれは・・・板野?」


あれは板野と、もう一人は"国王"だ。

私は腕時計を見ると22時を回っていた、何故こんな時間にあの二人が?

気になる所だが、尾行は失礼だし、私には関係ない事だろう。

そのまま、食堂に向うことにした。


食堂に着いた、どうやらこの時間帯は食堂ではなく、酒場になっていて、騎士達が集まってて騒いでいた。

酒臭く、男同士に肩を組んで、大声で歌っているのが目立つ。

私は、そんな雰囲気が少し苦手で、人が少ないカウンターの席に座る。


「いらっしゃいませ。何かご注文はございますか?」


オールバックで黒髪のバーテンダーの服の男の人が立っていた。

年齢は30代後半ぐらいだろうか、朝食の時には、見かけてなかったのだが、夜だけにしかこないのかな?

それに、かなりの色男だ。普通の女性なら惚れてしまうだろう。


「なんか、食べられる物はないですかね?」

「成る程・・・」


男性は少し悩みながら、何かを思いついたように話す。


「分かりました、少々お待ち下しさい、今お持ちいたしますね。」


そう言って、カウンターの裏に行く。

向かう後ろ姿は、とても優雅で"隙"がなく、恐ろしいぐらいに規則正しい。

私は、戦いの経験が無くても、その動きで一瞬で分かった。この人はものすごく強い、それは人外レベルでの強さと、華やかさの裏にとてつもない覇気を感じる。

すると、私が何者か分からない相手に緊張していると、デカい笑い声で話しかけてくるおじさんがいた。

この声は知ってる。ベット送りのアルバートだった。


「わーっはっはっは!ミツルギの坊ちゃんじゃねぇか!どうしたんだ、こんなところで」


貴方に気絶されて、ご飯食べてないんですよ!!!

ツッコミを入れたい衝動を抑えるの精一杯で、苦笑いをするしかなかった。

うん、ここで耐える、私は偉いと思うんだ。褒めてほしい。

まったく、大体はこの人のせいなのに、気楽なもんだ。


「ええ、ちょっと食事を取り損ねて・・・」

「そうかそうか!今日は運がいいな!なんせ、ミハエルの旦那が、来てくれたからな。あいつの飯とつまみは絶品なんだ!」


どうやら、先ほどの人の男性の名前はミハエルと言うらしい。

なんか、天界にいそうな名前だな。

アルバートの会話を聞いていたかのように、タイミング良く鉄板を二つ持って差し出す。


「こちらをどうぞ」


そこには、熱い鉄板の上でジュージューと音しながら焼かれているウィンナーが置かれていた。

香ばしい匂いが私の胃の中まで伝わる・これは絶対美味しい・・・!

だって、私の胃を刺激させてるんだから!これでも、食いしん坊なんだ・・・。


「アルバートも、これでいいですよね?」

「おう!ありがとうな!」


そう言って、アルバートさんのことを呼び捨てにし、ビールジョッキと同じウィンナーを差し出す。

呼び捨てにするってことは、親しい中なのだろうか?

そんなことは私は、油で暖かな光で反射するウィンナーを食べる。口に入れるとパリッと音が鳴って肉汁が口の中に広がる。

その肉汁は口から喉へ、喉から胃へ運び込まれるように全身に伝わる。


「美味しい・・・!」


こんな美味しいウィンナーを食べるのは初めてだった、よく見ると意外と大きいな・・・。

口に運ぶのが少し苦労するが、美味しいから問題はなかった。ハフハフッ・・・!


「やっぱり、ミハエルの旦那のつまみは美味しいな!」

「かの、 "嵐戮のアルバート"と言われた方に褒められるのは光栄でございます」

「冗談を言うのはやめろやい、お前さんの方が強いのに何を言うんだ」


お互いに笑いながら話す。

私はオールバックマスターとはどんな関係か気になった。

なんせ、アルバートさんが認める強者なんだから。


「アルバートさん、この人は誰だか知ってるんですか?」

「あぁ?ミハエルの旦那の事か?こいつは元騎士団の団長だぞ?」


私は驚く、温厚な見た目をした、色男が、元騎士団長なのか。

でもなぜ、酒場で働いているんだろう?


「いやー、俺的にはまた戻ってきてほしいのだがな。ミハエルの旦那は昔は"黒騎士"言われてこの国の最強の"戦士"だったんだ。」

「それは過去の栄光ですよ」


そう言って、ツッコミを入れるミハエルさんだった。

私は、その光景を見つつ、黙々とウィンナーを食べる。

うん、美味しいなー。


「だがよお、なんで騎士をやめたんだ?お前さんまだまだ戦えるのに」

「私はやりたい事をやってるだけですよ」


アルバートが言うにはやはり戦えるそうだ。アルバートさんと比べて、傷一つもないもんね。

そもそも、この人がやられる所が、なんか想像できないし・・・なんでだろう?

私は食べ終わり、席を立つ。


「ごちそうさまでした、美味しかったです」

「ありがとうございました、またお待ちしています」


ミハエルはお辞儀をする。

私は後ろのアルバートの笑い声が聞こえながら酒場から離れたのだった。


「さて、明日に向けて寝ることしますか・・」


私は今日の出来事を思い出しながら就寝した。



それからは私は剣を振り続けた。

アルバートさんにやられた事に、悔しかったのかただひたすら振り続けた。

意外と負けず嫌いなんだよね。これも、ある意味、家庭の影響かもしれないけど・・・。

そんな私は着々とLVを上げていた。


【御剣 正義】

職業 勇者

LV20

HP5000

MP2000

SP2500


攻撃 4500

防御 3000

魔力 3400

精神 2910

素早さ 1500

器用さ 1700

運  50


スキル

・天命剣「リミテッド・ソード」

・スラッシュ

・限突「オーバー・クロック」

・ブレイジング・ダンス

・剛力

・鉄壁

・クロス・ジャッジメント

パッシブ

・勇者の加護

・精霊の加護

・剣の加護


そんなある日、私の手から光り出す。

その光は徐々に剣の形になっていく。

それを見たアルバートは感心するように言う


「ほー!ミツルギの坊ちゃん、もう聖剣を出せるようになったのか!」


だから、私は女だって・・・内心そう思いながら、私は聖剣を手に取る。

剣なのにとても軽い、というか本当に軽いな。てか、本当にかるいなっ!?鶏の羽並みに!!

というか、見た目がご過ぎないか?というかもうちょっと普通の剣にならなかった?

もう少し、スマートにしてほしいんだけど。


「さすが、御剣君、男らしい・・・」

「聖剣を持つだけでイケメン度が増す御剣君。」

「しゅきぃ・・・」


おかしい。普通の女の子なのに、何故男らしいさが増したり、イケメンとか言われなければならないのだ。

私は泣く泣く聖剣を振った。

ちなみに聖剣は試し斬りで案山子に試すと、全く力を入れてないのに綺麗に切れてしまった。

ひえぇー・・・取り合えず訓練の間は使わないでおこう、人にあたれば振ってるだけで殺しかねないよこれ・・・。


残り一週間後には、北へと遠征に行くから、手を抜かずに訓練をする。

もっと強くなって、あの人をちゃんと守れるぐらいには強くならないと・・・。

そう言って、私は訓練を終えて部屋に戻る。


「疲れたなぁ・・・」


私は、いつも通りにシャワーをする。やっぱり訓練の後は汗を洗い流して、スッキリするのに限る

お風呂を済ませ就寝をしようとした、だけどなぜかこの日は眠れなくて、気分転換に外に出た。

私は外に出て、景色を眺め夜風にあたった、気持ちが良い・・・。

風にあたっていると、男女の声が聞こえる。

こんな時間に男女の声?

私は気になって声の方向を見てみるとそこには、黒杉くんと美空さんがベンチに一緒に座っていた。

その二人が笑っている姿を見ると胸がキュッとなった。


「楊一は我慢とか無茶をしそうだから、その時に癖で見極めるの、気づかないと思ってたら大間違いよ。それに何年幼馴染やっていると思っているの?」

「はは、違いないね」


美空さんが黒杉くんの頭を撫でてた。

あれ?普通逆じゃないか・・・?いや、私も撫でたいけども・・・。

細かいことは気にしないでおこう。


「私は、絶対に楊一を守るわ」

「み、美空?」

「普段から、貴方には色々助けられているわ、今も昔も」

「そうかなぁ?僕は昔から気が弱かったし、美空を助けるよりも、助けられるほうが多いような気が・・・」

「細かい事はいいの!!」


私はただ眺める事しかできなかった。


「(守るか・・・)」


そうだよね。今更、私が黒杉くんを、守るなんておこがましいのかな・・・?

二人はお互いに顔が赤くなる。

私は、ただ遠くで見つめる事しか出来ずに、胸が締め付けられるように痛くなり、虚しくなる。


「(あの二人はやっぱり付き合ってるのかな?)」


それもそうだ、私との関わりなんて合って無いようなものなんだから、必然的に美空さんを選ぶなんて当然なんだから。

私が、手を伸ばしても届かない位置にいるのだから・・・。


「(そんなことならもうちょっと勇気を出して仲良くしたかったなぁ)」


追いかける事しか出来ない自分を悔やんだ。

そんな二人の姿を見るとなぜか視界が何故か滲んでくる。

困惑した、なんでだろうと思って私は目を擦った。

それは自分が流した涙だった。


(はは・・・私、泣いてるんだ・・・ださいなあ)


苦しかった、ここまで苦しくなるのは初めてだった。

そして、私はここで自覚する。


「(あぁ、本当に好きだったんだな)」


そう、最初にして最後の恋だった。

最初はこの感情はなんだったのかが分からなかった、ファンとしての好きだと思っていたのだ。

だけど、私はこの出来事で知ってしまった。紛れもなく"恋"だった。

しばらくして、美空さんの声が聞こえる。


「私は・・・」

「(ッ・・・)」


私は聞きたくなくて、その場を逃げるように走り出した。

視界が揺らぐ中、私は自分の部屋にもどった。


「お?御剣じゃな・・・」

「ごめん・・・」


私は下を向いて走った為、誰だか分からなかった。

声すら誰かもわからないぐらいに自分を動揺していた。

その夜、私は枕を濡らして寝たのだった。


――――――


「・・・なんだったんだ?」


今の御剣だったよな?なんで泣いてるんだ?


「あれ、一樹こんなところで何してるんだ?」

「あぁ、帰りが遅かったからさ、板野に絡まれてるんじゃないかって思って探しに来たんだ」

「あぁ、ごめんごめん!丁度帰る所だったから一緒に戻ろう」


何もなかったようだ。

まあ、何もなければよかった。


「そういや、さっき御剣に出会ったけど何かあったのか?」

「いや?僕は会ったないよ?」

「そうか・・・」


じゃあ、なんで泣いてたんだ?

ふむ、どうやら楊一には関係なさそうだし、別の事か?

まあ、部屋に戻るか・・・何か、もやもやするが・・・考えても仕方ない。


そう言って二人は談話しながら部屋に戻ったのだった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ