表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/45

第12話 乗り物と復讐の話

「・・・出口だ」


月ノ城に案内がされるまま、道を進んでいくと、奥の方に光が見えてくる。

そして、俺たちは洞窟から、出る事ができた。

澄んだ空気が、身体に染み込んでくる。


上を見上げると、太陽が俺たちを歓迎するかのように、照らしていた。

ここ2週間の間はずっと、洞窟の中にいたせいか。

もの凄く眩しい、目が痛くなるぐらいに。


「眩しいな・・・」

「太陽・・・!」


アイリスはYの字に腕を広げて、太陽を拝んでいた。

どこかで見たことあるようなポーズだが、気にしないでおこう。


少し前に、月ノ城が立ち止まり、胸の懐から、何かを取り出す。

そのまま、洋紙を取り出し、広げる。

後ろか、覗くように見ると、それは世界地図だった。


「へえ、この世界の大陸ってこんな感じなんだな」


全体に的に、ひし形世界だった。

地図には、しっかりと、町の名前や王国の名前が書いてあり、真ん中にフィルネル王国と書いてある。

その名前を見ると、アイツのことを思い出し、不快になってくる。


しかし、軌光石があるのに、何故、洋紙の地図を使っているのかを聞くと「こっちの方が、慣れているんだ。軌光石はどうも、慣れん」と言う。

どうやら、機械系が苦手な、おじいちゃんみたいだ。


「これを見てくれ」


月ノ城は北側の方に、赤い丸がついてる場所に、ペンを取り出して叩く。


「俺たちは、今はこの場所にいる。そして、ここから西へと向かう。」


そう言って、月ノ城のペンを動かし、西へと指す。

結構距離がある。ここから、歩いて行くとなれば、3週程は掛かりそうだ。


「普通なら、3週間ほど掛かるが・・・移動手段あるから、問題ない。」

「移動手段とは?」


この世界なら、空を跳んだり、馬車を使ったりすると思えば、月ノ城はカプセルみたいな物を取り出した。


「それは?」

「ああ、これはだな・・・」


月ノ城はカプセルのボタンらしきものを押して、そこら辺の平野に投げる。


ドンッ!!!


煙がもくもくと立ち上がり

やがて、晴れていくとそこには・・・漆黒の刺々しいフォルムをした、自動車が現れた。


そして、俺は思う。

これ見たことあるやつだーー!?

てか、ドラ〇ン・〇ールじゃねぇか!!


思って以上に、現代的な移動手段に、少し夢が壊れた気がする。

俺たちに世界は魔法に憧れるように、同じかもしれない。

まあ、これは、これでありかもしれないけど・・・。


そして、月ノ城は決め顔で言う。


「ブラック・ブケファラスⅡ世だ」

「ブフッ・・」


吹きそうになり、口を塞ぐ。

そもそも、二世ってなんだよ。これは後継機なのか?

さりげなく、無駄に車がかっこいいから、色々酷いような気がする。

このネーミングセンスは、絶対に日本人しかいないだろう。


「どうした、黒杉?」

「な、なんでもない・・・!」

「まぁ、いい・・・さぁ、乗れ」


そう言って、車のドアは縦にスライドする。

無駄に、かっこよくて、男心をくすぐらせてくる。

そして、月ノ城が無表情だけど、何故か嬉しそうな顔してるような気がした。

雰囲気で伝わるというのは、こういうことなんだなって思う。


「ヨウイチ・・・これ乗っても大丈夫?」


アイリスは、不安げな顔で自動車を見つめる。

初めてみる、表情だったものだから、少しでも不安を和らげるために、説明する。


「あぁ、大丈夫だよ、俺の世界では当たり前の乗り物なんだ」

「そ、そう・・・」


それでも、躊躇うアイリス。

まるで、本能的に身の危険を感じているかのように、身を構える。

見た感じは、何処かが壊れている個所はない、なぜ警戒するのだろうか、アイリスにしか見えないものがあるだろうか?

それは、何か起きた時に、何とかしよう。

それよりも・・・。


「何故この乗り物がこの世界にあるんだ?」

「まぁ、それは乗りながら説明しようか」


そう言って、月ノ城は先に乗り込み、続いて、シルクも車の中へと飛び込みながら乗り込む、その姿は完全に猫だった。


「ほら、アイリスも行くぞ。大丈夫だって、月ノ城さんたちは、いつもこれで移動してるっぽいから、大丈夫だと思うぞ」

「う、うん・・・」


躊躇うアイリスの手を、引っ張り、そのまま一緒に車の中に乗り込む。

全員が揃ったところで、車を発進させる。

エンジン音が付いたことで、シルクが興奮するように、窓を張り付くように、外の景色を眺め始める。


「月ノ城さん、この乗り物は?」

「これは組織の一人の提案で作られた物だ。そして、そいつは転生者なんだ」

「転生者・・・」


転生者か・・・この車を作ったというなら、きっと俺と同じ世界の人なのかもしれない。


「なんでも、前の世界で記憶を引き継いで生まれ変わったらしい。」

「なるほどなぁ・・・」


この世界は、転生者がいる事がわかったことでも、良い情報だった。

召喚されること以外でも、この世界に行ける方法があるってことが分かえう。

ただ、それを知っても、それがどうしたって話になるんだけどな。


――――【2時間後】


「う、うぅ・・・」


何か、後ろでうめき声が聞こえると思えば、アイリスだった。

後ろを見てみると、シルクがアイリスの背中をさすっている。

成る程、だから、拒否反応したのだろう。


「ヨウイチぃ・・・」

「あーはいはい・・・もうちょっと我慢してくれ・・・な?」


そう言って、涙目になりながら我慢するアイリスであった。

どうやら、アイリスは乗り物系は苦手のようだ。


「あ、そうだ!!」

「どうしたんだ?シルクさん?」

「実は良いものがあるんですよ!!フッフッフ!!」


そういって、シルクは自分の鞄をガサゴソさせて、何かをとり出す。


「じゃじゃん!飴ちゃんです!!アイリスさん!これをなめてください!」


そういって、シルクはアイリスに渡して、その飴玉を舐めはじめる

そして、アイリスは目を閉じて、蒼くなっていた顔が、少しずつ引いていく。


「三日ぐらいだ、我慢してくれ。」

「わかった」


月ノ城の言葉で、アイリスは再び、うめき声が聞こえる。

こればかりは、我慢してもらうしかない。

ご愁傷さまだ・・・。


そう言って、外の景色を眺める。

やはり、ここの世界に車は似合わないなと思いつつ。

到着するのに、3日も掛かるそうだから、その間に月ノ城に聞きたいことを聞いてみようかと思った。


「なあ、月ノ城さん」

「なんだ?」

「俺のスキルなんだけどさ、分からないことがあるんだ」

「ふむ?スキルか・・・どれ、見せてみろ」


そう言って、軌光石を使って、成長スキルを見せる。

月ノ城は車を止めて、頷きながら見ている。

そのまま、画面を閉じて、黒杉に言う。


「成長スキルか・・・珍しいものを持ってるんだな」

「知ってるんですか?」

「ああ、知ってる」


良かった。

ようやく、スキルに詳しい人が出会える事ができた。

ハンドルを握りながら、口頭で話し始める


「その成長スキルは、自分の体を鍛えることによってステータスを上げることができる」

「き、鍛える?」

「簡単に言えば・・・筋トレだ」

「筋トレ!??」


衝撃の事実で、俺は勢いよく前に倒れそうになる。

まさか、筋トレするだけでステータスが上がるなんて、予想外だった。


「攻撃と素早さを、同時に上げるなら、重い物をもったりして走るといいぞ。器用さが微妙に高いってことは・・・モンスターを急所攻撃したり、料理とかしてたら上がったんじゃないか?成長スキルは、自分の日常動作にも影響するからな、細かい所を気にしてみると良いだろう」

「なるほど・・・ありがとうございます」


これで説明がつく、微妙にHPと器用さが高いのは、何度も魔物を攻撃を受けては回復したり、料理を作っていたからだ、自分がやっている事は、無駄にならないのは、大きなメリットだ。


「あと、成長スキルはもう一つ能力ある」

「そ、それは?」


思わず、俺は唾を飲み込む。


「それはだな・・・スキルを使うたびに、強くなっていくんだ」

「でも、それって普通じゃないですか?」

「少し違うな。通常スキルは、ステータスとパッシブ効果で、威力が上がる。だが、成長スキルは、スキル自体が成長するように、強くなっていくんだ。」

「んー・・・?」


ん、どういうことだ?ちょっとわからんな?


理解ができずに、頭を捻る。

そんな、黒杉の姿を見て、月ノ城は、もう一度説明をする。


「説明が下手で、申し訳ないな。例えば、通常だとLVが上がればステータスが上がると、威力も上がるだろ?」

「そうですね・・・この世界では、当たり前のこと」

「ああ、成長スキルは、そのスキルを使い続ける事で、LVが上がらなくてもスキルが強化されていくんだ。勿論、上限はあるけどな」

「なるほど」


なるほどな、そういう効果があったことに素直に感心した。


「戦ってた時に、違和感とか感じなかったか?攻撃した時に、いつもより、攻撃がうまくいったり、魔法が制御しやすくなったとか」

「・・・確かに、ありましたね」


黒杉はオロチとの戦いを思い出す。

『風圧』のコントロールや『加速』を使う度に、速くなってたような気がした。

まだ強くなれる可能性がある。それだけでも、安心できた。


「・・・もっと、強くなれる」


黒杉は、板野のことを思い出す。

その度に、刺された胸を触り、自分の使命を確認する。

目がぎらついた目で、ナイフを取り出して、見つめる。

そんな、月ノ城は黒杉の表情を伺うように話す。


「黒杉は強くなりたいのか?」

「・・・ああ、俺は強くなりたい。ならないといけないんだ」


俺は強くなってアイツに仕返しをしなければならない。

絶対に忘れない、この胸の事も、俺の友を傷つけようとしている事も、許されない。

すると、自分の考えを読まれるように、月ノ城が話す。


「・・・復讐を考えているなら、やめとけ」

「何故、わかるんです?それに、仮に復讐をするとしても、それは月ノ城さんには関係ないだろ?」

「・・・関係ないか」


月ノ城は黙る。

碧い瞳が、目の前の景色を真っすぐ見つめる。

何処か、思い詰めるような顔をして、やがて口を開く。


「確かに、お前の復讐には、俺には関係ないな」

「だろ?じゃあ・・・」

「だけどな・・・」


黒杉が、何か言おうとすると、月ノ城は割り込むように話し続けた。


「その復讐が正しくても、それが達成されても、満たされるとは限らないし、あっけないものだ」

「なんですかそれ・・・」

「さあな、ただ言えることが、あるなら・・・虚しくなるだけだな」

「・・・」


月ノ城は優しい眼をして、「あとは自分で考えろ」と言って、運転を再開する。


虚しくなる。


その言葉が、胸に深く突き刺さり、重く感じる。

過去に色々あったんだろうか、彼の姿は、過去に自分に懺悔するかのように、生きてるようにみええる。


「まあ、強くなりたいなら、協力はしよう」

「本当か?」

「ああ、その代わりに、俺たちの仕事を手伝ってもらうことになるが、大丈夫か?」


きっと、魔獣王の開放の事だろう。

だが、元の世界に帰る為には、避けては通れない道。


「ああ!強くなれるなら、やってやるさ」

「良い返事だ・・・期待してるぞ」


月ノ城は、再び静かに笑う。

これから、もっと厳しくなりそうだ。


「安心しろ、"俺たち"がお前を強くさせてやるさ」

「月ノ城さん・・・ありがとう」

「強くなってから言ってくれ、まず、それからだ」



―――――【三日後】



車を走らせて、三日が立つ。

そして、何もない平原に止まる。

見渡せば、一本の木が立ってるのと、周りに自分たちの3倍はあるだろうと、思われる岩が、そこら中に落ちていた。


「着いたぞ、今日からお前たちの住処だ。」


月ノ城は、後ろに寝てた二人を起こす。


「んー?もうついたんでふかー?」

「んー、よういちー?」


二人は寝ぼけていた。

眠そうな目を擦り、瞬きをして、そとの景色を見渡した。


「ほら、先行っちまうぞ」

「まってえー」


そう言って追いかける、アイリスとシルク。

外に出ると、風が当たり、空気が澄んでいた。

それだけでも、心が晴れやかになる。

ここの世界に来て、今のところ、良かったことは、空気がうまいぐらいしかなかった。


「着いたぞ」


しばらく歩くと、月ノ城が立ち止まる。

その場所は、先ほどと変わらない、平原と沢山の岩だった。


「月ノ城さん?ここには何も無いんですけども・・・」

「まあ、待ってろ」


月ノ城は近くの岩に触る。

魔力を込めて、何かをしているようだ。

すると、音を鳴らしながら、大きな岩が横にずれる。


ゴゴゴゴォ・・・


音が聞こえなくなると、同時に岩が止まる。

穴が見える。覗けば、そこには地下に続く階段だった。


「ようこそ、フヴェズルングへ、君たちを歓迎しよう」


そう言って、月ノ城が先頭で、案内され、俺たちは地下へ降りる。



改稿版だよ(震え声

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ