第五十四夜 悲しいことが多すぎて、記すべき言葉がない。
ずっと書けない場面でした
いつか加筆すること前提で、このまま上げさせていただきます
故モーリッツ・イルクナー氏の直筆とされる手紙は四通あった。
いづれも同一人物によるものとの鑑定はなされており、それはユリアンもそう思えた。
閲覧にはマインラートにマクシーネ夫人、オティーリエにイルクナー家家令のヴァルターを伴った。
誰しも公式に出されたその『同一人物によるもの』とされた手紙が『モーリッツ・イルクナー』の筆跡であるという鑑定結果に懐疑的なのは言うまでもない。
しかし、その証拠を挙げるところまでは至らない。
暴行事件から二週間が経ち、ヨーナスの容態は安定している。
三日にあげず訪い、ユリアンは彼を見舞った。
遠方のヨーナスの両親へはリーナスを訪問させ、状況説明と謝罪、そして当面の賠償についての話し合いを設けている。
不自由な暮らしにならぬよう、メイドも二人派遣した。
「惨めなもんですね、こうなることは予測できたっていうのに」
ヨーナスは悔しげにそう言い、気持ちを同じくするユリアンもそれに頷いた。
マインラートは再び獄中の人となった。
その便りもまた突然だった。
ユリアンの義母、オティーリエの実母である、マクシーネ・イルクナーが、死んだ。
抗議のために朝廷を訪れた際の事故だという。
誰かが彼女とぶつかり、もしくは押し退け、そのゆえに階段を転げ落ちたのだ。
即死だった。
悲しいことが多すぎて、記すべき言葉がない。




