「人間嫌い」
私は幼少時代のトラウマと人と会話することが苦手で俗に言う「コミュ障」でした。
そんな奴が対人間の看護師を目指すと言うのだからこれが大変な道のり。
どうせ試験に落ちたら就職探そうという気持ちで、看護学校の受験は表面上はやってましたが、まあ頭も悪かったので(笑)、第1専攻は勿論受かる訳もなく。
2度目はおかんの病院系列の看護学校を受けたもののやはり落ち、それをきっかけに教習所に通う日々が始まりました。地元は車社会なので車がないとどこも行けない。都会のように地下鉄や電車が豊富ではなかったから。
そんなある日、なんと二つ目に受けた学校から「補欠で受かりました」と連絡が。親父がその電話にあまりにも喜んでいたので入学しませんとは言えず、ありがとうございますと電話を切ったのを今でも覚えております。
人生の分岐点って奴ですね。もしあそこで補欠合格していなければ私はまだ漫画家の夢を捨てきれずに親のすねかじりしながら細々と裏方チックなバイトで生きていたかも知れない。私は浪人してまで看護師になるつもりはこの時は一切なかったから。
とはいえ、学校が厳しく家には犬が居たから夕方には帰らないといけなかったし、バイトの許可がなかったので恥ずかしい話、私は人生でたった一度しかバイトしたことがない。
今思えばバイトもあの当時の根暗で人見知りな性格ならバイトすら受からなかったでしょうね。
入学した看護学校では教師と合わず、受け持ち患者を持つ看護実習では蕁麻疹に悩まされ、なによりも実習終わりに自分らが学んだことを発表し合うカンファレンスが地獄。
うちの親父は私の人見知りと人間嫌いを知っていたからこそ、荒治療だと言い「そういう仕事に就け」とよく言っておりました。しかし荒治療にもほどがある。私は看護学校で仲良しと呼べる仲間がほしくて、とりあえず高校が一緒だった子に話しかけ、たまたま苗字が一緒の子がとてもフレンドリーだったのでカタコトながらも昼飯を一緒に食べる仲に。
しかしそれも長くは続かない。趣味が絶望的に合わないのだ。私は引きこもりの根暗ゲーマー。クラスメイトは流行りのファッションやドラマ、音楽の話をする。聞くだけでも苦痛になり、できるなら一人になりたいと思う日々が増え、ストレスで激太り。
ストレスって怖いね。食べなくても太るんだよ。これホント。理由はその時食べなくても家でほっとして食べたご飯が美味しくて、身体がきっと過剰に栄養を摂るんじゃないかな。
三ヶ月くらいして、同じような漫画が好き、ゲームもやる、ちょいオタクな話が出来るというクラスメイトを見つけ、その子らと仲良くするようになってから何とか学校に行けるメンタルになりました。一応毎日通ってはいたものの、やはり血の見える授業では貧血を起こし、実際何度もぶっ倒れ、色々な方に迷惑をかけました……。
親父が荒治療の為に行けと言った看護学校。しかし私はここでも人間嫌いを治す事が出来ず、最初の一年目で担任から「あんた向いてないから辞めるんだったら早い方がいいよ」と言われたのは多分一生忘れませんね。
そりゃあやる気のない人間が学校に居てもしょーがないし、別にトラブルを起こすとかはないけど、こんな私に受けもちされる患者が可愛そうだよ。多分そういう事で担任はそう言ったんでしょうが、またきっつい一言よ。
当時はホームページに日記を書いていたのがバレ、結局全て消し去ったがあれ消す必要無かったなあ。良くも悪くも人が放った発言は何かしら影響があるんですよ。
私はこの時担任にこの「辞めたら?」と言われた時にはいそうですね、って気持ちでしたが、親父が悲しむのをみたく無かったから免許を取るまでは……せめてここまで高い授業料払ってくれた親の為に留年はしないで卒業はしようって気持ちで踏ん張りました。
ここまで書いてあれですが、まだこの当時の私は看護師に対してのビジョンがなく、学校には行っていたものの看護師になるつもりはありませんでした。