第38話
4人で一緒に寝る?
というマリッサの誘いを断って、更紗は自分の部屋に戻って行った。
長旅に出るに当たって、色々とすることがあるらしい。
更紗は城の一角に部屋を与えられており、神殿の仕事もこなしているそうだ。
ヴィーは、更紗と喧嘩ばかりするくせに、なんだかつまらなさそうだ。
窓の側に腰かけて、じぃっと月を見ている。
「なんか、みんな、アドバイスしてくれる割にアバウトなんだよねぇ・・・」
そんなことをつぶやくヴィーに、アップルとマリッサは顔を見合わせて苦笑する。
「一から十まで全部事細かにされるアドバイスは、最早アドバイスでなく指示だと思うぞ」
アップルが言う。
「指示されたら、絶対、反発するタイプよね、ヴィー王子殿下は」
マリッサも言葉を繋げる。
「でも今まで、大して怖い目にも遭ってないし、順調だねぇ〜」
ヴィーは、のんびりした口調。
亡き母の実家で、すっかりリラックスしているのだろう。
「お母さまの部屋を見に行きたかったのではないの?」
「別に今はいいや〜」
マリッサの問いにヴィーが首を振る。
「北の国に行った後で見に行くよ」
その瞬間、少しだけヴィーの顔が引き締まった。
翌朝、4人は東の城を出た。
これから先は、今までよりも長い旅が続く。
南と東の王城は、かなり近いところにあるが、西の王城は、だいぶ離れているからだ。
4人の頭上をカラスが飛んでいた。